NHKスペシャルの感想

食糧危機はグローバル化金融商品化によるマネーの暴走の結果。

1)農産物のグローバル化

戦後のアメリカでは、農業生産の向上により農産物がだぶつき価格が下落。貿易赤字の煽りもあり、貿易自由化によって農産物を輸出して捌こうとした。アメリカの農産物を輸出するには、需要を拡大させねばならない。戦後のアメリカ主導の国際金融体制にかかればお茶の子さいさい。さらに、畜産業も押し付けて家畜の餌として農産物の需要を煽った。その結果、安いアメリカ産のトウモロコシは輸入先の農家に打撃を与えまくり、農村を荒廃に追い込んでしまった。農産物を安く輸入できるうちは工業化重視の産業構造の転換も狙えたが、一度価格が上がると食料を輸入できなくなり農村が既に荒廃しており食糧危機。

2)農産物の金融商品化によるマネーの暴走

農産物が金融投機の対象となる。金融経済は、金を右に左に流すことでその差額を儲けるゼロサムゲーム。トウモロコシだろうがコメだろうが関係なく、安く買って高く売っての差額にしか関心が無い。補助金まみれのバイオ燃料も相まってトウモロコシ価格は急上昇。金融投機+バイオ燃料穀物価格の上昇=マネーの暴走⇒世界食糧危機、日本畜産業衰退、食料自給率低下という負のスパイラル。農業の再生が唱えられるも一度荒廃してしまった農家が復活するのにはかなりのコストがかかる。重要なのは、食料自給率の低下云々というよりも、農産物の金融商品化によるマネーの暴走。農産物を金融投機の対象としたから、安定からほど遠いものとなった。