雑録

さかあがりハリケーン攻略メモ Act1「文化祭の許可を求めて」の感想・レビュー

学業に特化した私立進学校において文化祭を開催させようとするおはなし。
Act1は様々な障害を乗り越えて理事長から文化祭開催の許可を取り付けるまでを描いた内容。
基本的にはAct1は一本道で、許可を得るために行動する過程でヒロインを選択し好感度を上げる。
Act2ではAct1で人物像を掘り下げたヒロインと懇ろになる個別シナリオに分岐する。
故にここでは、主人公とシナリオについて述べていく。

主人公の人物像と物語の背景


主人公の巧は神社の跡取りで俗世から隔離された神道系の学校に通っていた。神職そのものは嫌いではないが、自分の将来を親に決められたのが不満なだけであって、何にでも反発したいお年頃。既成の価値観や合理的ではない因習、既得権益に反逆していく。目的そのものは尊いがその手段が問題視され、きちんとした手続きを踏まず暴力や恐喝などによって達成していたため、学校側は持て余して退学へ。巧は厳しい学校を退学でき嬉々としていたが、ところがどっこい、お目付け役の暴君的幼馴染が通う私立進学校編入する憂き目に会う。その学校は進学だけを目的にした学業特化の高校で、実際には予備校と化し、受験対策以外には目もくれないような状況であった。生徒たちはそれを承知で入学し、唯々諾々と日常を過ごしているわけではあるが、そこに満足しているかと問われればそうではないらしい。彼らは毎日が同じことの繰り返しである現状に飽き飽きしていたのだ!!その分、有名大学進学率は上がらず、学業成績も伸びないし、スポーツが振るっているわけでもない。厳しい校則と受験特化の弊害は学業面・運動面・生活面から志願者を遠ざけていた。そうすればそうするほど、経営側は厳粛さのみを追求し、負のスパイラルを生み出していた。巧はそのような慣習にとらわれる権力者に対して「楽しいことをしたい」の一心で立ち向かっていく。独りよがりで自分本位な人間が「自分の楽しさを周囲に押し付ける」という考えに気づき、人間的に成長していく青春活劇がみどころ。

さかあがりハリケーンは公民的資質の育成!!


主人公の人間性の面では、Act1の中盤は見ていてあまり気持ちの良いものではない。退屈で平穏な学園において「面白いもの」を要求され具体案として「学園祭」に設定するところまではいいが、そこから空回りっぷりが始まる。主人公くんの若さに任せた勘違い空回りスタンドプレイで、挙句の果てには失敗してへこんじゃえ!!とほろ苦さ寸劇が好きな人にはたまらないね。痛々しいと感じられるなら、それもまた若さ。「自分が面白い」という感性のみを他人に強要し、それが通らないとなればテロに訴えるという市民的未成熟さをとくとみよ。Act1ではそんな世間知らずの我侭坊ちゃんが公民的資質を育成していく物語である!!公民的資質とは「国家権力や社会に対して自分たちの権利を行使すること」と述べることが出来よう。合法的な民主主義としての立場をとりつつ、変革を求めるのだ。しかし、戦後における社会科教育の最終的目標は現在に至るまで一貫して公民的資質の育成なのに、日本ではあんまり馴染みないよね。お上や産業資本家に従い速攻泣き寝入りで、変革を求めるものは忌避され面倒がられちゃうの。立ちふさがるのは予算の壁・生徒の同意・理事会の問題である。主人公くんの空回り寸劇が見られるのは、生徒の同意を取り付けるところで最も顕著だといえよう。その場のノリで予算も含めカタチを創ってしまえば後は生徒は付いてくるという安直な考えが本当に成功すると思い込んじゃう。そして周囲からの配慮をものともせず失敗にいたるところのカタルシスはぞくぞくきちゃいます。もっともっと鬱展開!這い蹲れ!底辺まで落ちろ!くたばれ!!しかし話は青春活劇なので凹んでもすぐ回復しちゃうんだよっ。しかもカウンセリングを行うのがサブキャラ(後に実は死んだお母さんの亡霊であったことが判明)で主人公くんはヒロイン視点ではカッコ悪い姿でのた打ち回る様子を見せてないんだよね。しかも回復後にすぐ「生徒のやりたいことを慮る」という方向であっさり解決しちゃうしねぇ。

奈都希メインヒロイン強制イベント


生徒の同意を取り付けた後には束の間、理事長が徹底的に文化祭を潰そうとしてくる。理事長はヒロインのうちのひとり奈都希のママンであり、ここらは奈都希シナリオというべけんや?奈都希は一生懸命なもののママンにいいところを見せようと肩に力が入りすぎな女の子でツンデレ。ママン理事長をはじめ、主人公の父母の代にも学校変革はあったが手痛い目にあって潰されていたらしく、保護者・自治体・地域を巻き込み一悶着。理事長は、地元商店街への補助金打ち切りとPTAの根回しにより文化祭を完全に叩き潰そうとする。そこへ学生・保護者・地域の三位一体で立ち向かう。学生側はママンの言いなりであることに疑問を抱く奈都希が大奮闘。予備校と化した受験目的の進学校ではガス抜きが出来ず、そうして私学法人が結局は文化祭を開き成功した具体例を数値とデータと実証で示す。論理武装で制圧できるかと思いきや、公の立場で戦う巧と奈都希に対し、ママンは親としての権力発動。娘を出来損ない扱いし、馬鹿ならまだしも反逆するとは何事ぞと駒扱い。ママン大好きでママンに認められることを目標にしてきた少女は精神崩壊っ。学生がここまで頑張るのに、どうして保護者や地域が黙っていられようか。かつて学校改革に失敗した両親たちや、補助金に依存して経営努力をしなくなった商店街が立ち上がる。理事長の個人的な特権の発動は既に横暴と化していた。反逆された理事長はそこではただの女。無力。全ての住人の力で文化祭開催の許可をとりつけたぞぃ。文化祭の具体的な開催までの道のりで個別ルートに突入だ!!