ハミダシクリエイティブ「鎌倉詩桜」シナリオの感想・レビュー

高い能力と豊かな経済力を背景に傲慢不遜な態度を取る黒髪ロング先輩との攻防戦。
詩桜先輩は体験版の時点ではかなり不愉快なキャラクターとして造形されていた。
他ヒロイン√では温厚な主人公が先輩に対してはクソ女認定し鍔迫り合いを展開する。
(これが詩桜先輩シナリオの一種の魅力であったりもする)
主人公を「妹のカネでガチャを回すクズ」と思っていた先輩は徐々に認識を改めていく。
先輩が絆されていく様子や主人公が心を許していくやりとりはとても面白いのだが・・・
フラグ構築後の終局部において、主人公を事故らせて雑にエンディングとなり唖然。

鎌倉詩桜のキャラクター表現とフラグ生成過程

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  • 傲慢不遜なキャラがデレ化するというギャップ萌えを表現することにはかなり成功していると思われる
    • 鎌倉詩桜先輩は、既に社会的評価の高く経済力のある作家先生。しかしながらその性格にはかなり問題があり、小説のネタのために生徒会長になり、自分の思い通りにならないと役員全員を首にするという破天荒っぷりを見せつけていました。本作品はこの詩桜先輩が生徒会長の役職を放り投げてしまったが故に、主人公が奮闘していくという流れになっています。
    • しかし結論をあらかじめ述べれば、詩桜先輩が生徒会長の職を放り投げた元凶は、主人公の妹和泉妃愛のマネージャーにありました。【人気声優の妃愛は根本的に兄以外については人間不信である→兄に対しては理想的なイモウト像として振る舞うのでストレスの捌け口が無い→妃愛には学校生活においてトモダチが必要である→妃愛にトモダチを作らせるためには信頼できる兄を含んだグループを提供する必要がある→「生徒会」に目が付けられる→詩桜先輩は生徒会長を放り出し、籤引きとなるという体裁をとった(分かりやすいチャート方式)】
    • さらにまた先輩が主人公に対して冷酷な態度を取るのにも理由がありました。詩桜先輩は主人公に会う前から、ネガティヴな情報を与えられていたのです。主人公は妹のカネでガチャを回すクズであると。積極性の欠片もなく、無為に時間を過ごしているクズだと。このような色眼鏡で主人公を眺めていたため、体験版のような振る舞いにでたというワケでした。製品版では主人公と先輩が交流する中で、主人公は事前情報を覆すような男っぷりをみせていき、詩桜先輩の固定観念が打ち砕かれていきます。それらのイベントにはみかん喫茶とか四国旅行とかが題材とされておりライターは四国ネタにこだわりがあるのかしらん。

 
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  • 終局部雑すぎ。いきなり主人公を事故らせて幕引きとか。最大の見どころである文化祭イベントをおじゃんにさせやがった!!
    • 本作品はヒロインとのフラグ構築後のイベントとして文化祭が用意されています。文化祭において成果をあげることが求められており、個別√にはいったヒロインの特性ごとに生徒会の出し物を行うというものです。詩桜先輩√の場合は、主人公が脚本を担当しイモウトの妃愛が劇をすることになります。これまでやる気を喪失し燻ぶっていた主人公にとって詩桜先輩はガソリンであり、一気に燃え上がらせます。高2の夏から詩桜先輩と同じ大学に行くために受験勉強を始め、文化祭のために脚本を書き、その他雑用もこなしていきます。この時、主人公が書いた脚本を意図的に詩桜先輩が酷評し関係性が破綻しかけるのですが、これは上述した生徒会籤引き事件の真相を語る為の一種の装置であり、雨降って地固まる的な作用をもたらします。
    • 一層仲が深まった主人公と詩桜先輩でしたが、終局部から雑な展開。先輩の家に英語の問題集を忘れた主人公が、夜中に取りに行こうとして交通事故。一命はとりとめたもののベッドの上となり、文化祭イベントは完全にスルー。詩桜先輩がリーダーシップを取り文化祭イベントを成功に導くが主人公は関与できないのであったとさ。今まで丁寧に積み重ねてきた積み木を一挙に突き崩した気分となり唖然としたのは私だけではないはず。最後は詩桜先輩が留年し、もう一度文化祭へ向けてリベンジするよエンドとなります。

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