Like a Butler 弓野奏シナリオの感想・レビュー

Like a Butlerの弓野奏シナリオは、停滞した学園の風通しを良くするおはなし。
特権階級の常識を第三身分で打ち破れ。第三身分とは何か?それは全てである。
奏シナリオの主な内容は、結ばれるまでの夏休みバイト編と結ばれた後の体育祭編のふたつ。
エンディングは3つに分れます。ノーマルエンドはいりづれぇ。

弓野奏のキャラクター表現とフラグ生成過程


弓野奏は何だって一生懸命に生きる頑張りやな愛らしい幼馴染。記念受験した上流階級学校に特待生入学してしまう。主人公くんを具していざゆかんや特権身分。奏が特待生に選ばれたのは腐った特権意識を持つ上流階級どもに「社会」というものを教えることだった。勿論、そんな意図は奏には隠されていますが、奏の持ち前の明るさと頑張り屋さん精神は次第に影響して、雰囲気を変えることに成功しつつあった。七夕祭り終了後から個別ルートが始まります。奏ルートのメインイベントは、所謂テンプレの「幼馴染→恋愛への関係性変化」を描いた夏休みバイト編と学園の特権階級の意識を変える体育祭奮闘編。前者は固定パターンなだけにキャラクター描写に依存するので、どれだけ幼馴染としてのヒロインの魅力を表現できるかが試される。この作品は主人公執事のかずちゃんが、父子家庭で育ったため器用で何でも卒なくこなすものの、無意識の寂しさを抱いているということがクローズアップ。かずちゃんは多趣味だけどそれは寂しさを紛らわすためであって、その陰を幼馴染として理解しており、かずちゃんの支えに奏ならなれるということで関係性に変化をもたらす。奏のことを幼馴染でもなく妹でもなく主でもなく恋人として意識しちゃうようになっちゃう和樹や、和樹のことを思って悶々とする描写がきゅんきゅんしちゃいますな。奏おなぬーシーンがあれば尚良かった!!



で、幼馴染から恋人への関係性変化を遂げた後にすぐえちしーんにならんのよ。きちんと周囲に冷やかされるイベントをこなし、性交への成功を揶揄されるところがニヨニヨしてしまうわ。初々しい関係を見せ付けながら、それでも着実に進んでいく。そんな二人の目の前に現れたのが体育祭イベント。七夕祭りで学園理事長血縁お嬢様:更紗の独りでがんばるもん意識を変え、夏休みの宿題に対する階級対立の意識の溝を埋めてもまだ更紗ちんは意固地なの。和樹メンバーズは信じられても他の人々は信じられないわん。仕事いっぱいなのにね。そこで我らが奏ちん登場、和樹の「今までの生徒会は更紗のご機嫌取りだったんじゃないか?」と援護射撃し、生徒自身の成熟を促そうとする。公民的資質の育成!!奏の呼びかけに、最初は面倒くさがっていた上流階級の人々も、次第に自らが自主的に作り上げていく活動に感化され、体育祭実行委員や手助けに回ってくれることに。奏の人物像は、特権階級の意識を変えていく。これこそが奏という人物の資質だったの。体育祭は大盛り上がりになるがここでラストのイベント発生。金融恐慌で煽りを受けた中小企業が銀行からの融資を断られ倒産し、誘拐事件が発生、奏は人質に取られてしまう。執事として奏を守れなかった後悔や苦しみや罵倒を和樹ファミリーに支えられながら、奏を救って大団円。奏という人物は学園に刷新をもたらす役割を果たしてハッピーエンド。個人的にバッドエンドで奏が足に障害を負い、執事として恋人として奏を守れなかった悔恨車椅子エンドも好きですがね。