雑録

ましろ色シンフォニー 瀬名愛理シナリオの感想・レビュー

ましろ色シンフォニーは愛理ゲー。
完璧超人であろうと張り詰めすぎて痛々しさを感じさせる少女の支えとならん。
かたくなな少女のココロを解きほぐし、強迫観念である母への愛憎を和解させようぞ。
二人の色はましろ色。変わっていけるよ、二人なら。

頑なな少女のココロには


少子化の影響により女子校と合併することが検討されている主人公:瓜生新吾の学校。合併のメリットデメリットを推測するためテストクラスとして女子校に赴くことになる。だが歴史ある名門女子校では、合併のことを快く思わない人物が少なくなかった。その筆頭となったのが、新吾と同じクラスになった学園理事長の娘:瀬名愛理だった。クラスのリーダー的存在でカリスマ性を持つ愛理がつんけんしているため、クラスの雰囲気はすこぶる悪い。ましてや馴染もうなどとは誰も思わなかった。そんな空気をなんとかしようと新吾は奮戦する。クラスを円滑にしようと努力するが、悉く失敗に終わりうまくいかない。どうしてこんなに新吾は頑張るんだ?それは新吾の過去に起因する。幼少期、喘息持ちで呼吸にさえ苦しんでいた新吾は空気の淀み、円滑でない人間関係に人一倍敏感になっていたのだ。落ち込む新吾に対し、義妹の桜乃がアドバイス。お兄ちゃんは私にしてくれてるようにすればいいと思うよ?と。その真価は調理実習のときに発揮され、気配り手伝いスキルを見事に発動し、女子校お嬢様の偏見を取り払うことに成功する。クラスの雰囲気がだいぶよくなったことにご不満なのは、反対派の愛理。どうやら彼女は合併に反対なのではなく、理事長であるママンのワンマンに羨望と嫉妬との複雑な感情を抱いているみたい。

意固地な少女の支えとならん


一緒にクラス委員に選出されたことから愛理の心を解きほぐす作業がはじまるお。愛理はハイスペックで次々と雑用をこなしていき、ぐいぐいと引っ張っていくタイプ。逆に新吾はそんな愛理の先行気味なところを絶えずフォローしていく。二人は歯車のごとく波長があい、周囲からは愛理が新吾を独占しているように感じられるほど。それでも愛理はつっけんどん。そんなある日、大量に仕事をこなさなくてはならなくなり、放課後用事のある愛理はきりきりまい。仕事を投げ出すわけにもいかず、他人にも頼れない、責任感の強い愛理は反泣き状態!!見かねた新吾は、意地を張る愛理を互酬の原理で巧みに操縦(仕事引き受けてあげるからテスト勉強を見てよ)する。雑用終了後、暗くなった家路の途中でスーパーのタイムサービスに寄ることになった新吾と桜乃。しかしそこで見たものは!!お嬢様であるはずの愛理が特売シール値引き品を待ちぶつぶつとやりくりを考える姿だった。恥ずかしい姿を見られてしまった愛理は吹っ切れる。家を出ておんぼろアパートで貧乏暮らしをしていることをカミングアウトし、テスト勉強会でもちゃんちゃんこ+ジャージをさらすほど。新吾との交流の中で、すっかり少女のこころは解きほぐされ、愛理ルートに突入です。

依存関係から対等な関係へ


テスト勉強ですっかり新吾に気を許した愛理。以前には苗字+くん、さん付けで呼び合ってたのに、苗字呼び捨てで呼び合うように。愛理の行動は極端で、主人公くんをどんどん振り回すようなっていく。それは愛理がどうしょうもなく「安心」を求めてしまうことにあった。家庭の事情という過去のトラウマから自分が揺らいでしまうこと、自分が変わってしまう事を何より怖れる愛理は、瓜生なら大丈夫と新吾に自分を押し付けていく。新吾は肩肘張って生きていく愛理が時折見せる張り詰めすぎていて痛ましく見える様子の支えとなりたくて、色々と気を回していくうちにどんどん惹かれていくようになる。けど、愛理が信頼を寄せるのは新吾だからということで常に完璧超人スーパーヒーローでいることを要請される。愛理と接すれば接するほど疲弊していく新吾。新吾への御礼にと御飯に呼んだ愛理との家路の中、雨に降られて一緒にお風呂。その中でも新吾は欲情を抑え、愛理の絶対的な存在でなければならなかった。気まずくなっても、御礼へと呼んでくれた愛理の感謝の意は汲み取ってあげないとね、という桜乃の助言で事なきを得るもヒロインズからは格好のネタにされる。おちょくられる愛理はかわいいのう。だが日を増すごとに愛理の依存は大きくなっていき、肉欲と信頼の間で悩む新吾は煩悶に苦しむ。挙動不審な新吾を怪しむ愛理は桜乃に助言を求めるも、新吾が受け容れてくれるのをいいことに一方的に理想像を押し付けてるだけでずるいと示唆される。一方、新吾も嫌われたくない、自分が傷つきたくないが故に本性をひた隠しにするなど自己満足だと発破をかけられる。愛理も新吾も自分の本性をむき出しにして相手と格闘する覚悟が出来た。愛理の心情吐露の描写に新吾が応えるシーンは結構グッときたね、とフラグ成立。や、愛理のキャラ表現がかなりよい。テキストだけでなく、音声とか立ち絵とかデフォルメ絵とか。

愛理のママンに対するコンプレックス


新吾とのフラグ成立後、一歩一歩古風な男女交際を積み重ねていく。この過程をグダグダではなく初々しい保守系の女の子がココロ開いていくように感じさせているので表現上手いと思う。いや、ほらいきなり性交しないではじめてを捧げるのに失敗しちゃったりとかね。いちゃつきながら乳繰り合うようになっていくテキストでニヨニヨしてしまいます。愛理はデレ化しても根本は変わらず真面目に勉強にもバイトにも取り組む。しかしそのように真面目にとらわれ一種の強迫観念のように頑張りすぎる姿は、まだまだ痛ましいものだった。どうして愛理はそんなに突き動かされるのだ!?それは最強ママンの存在だった。愛理はママンが大好きで。でも離婚しちゃった後は忙しくなっちゃって。ママンは綺麗でおおらかで豪快な超人で。ママンと並び立ちたいという思いはコンプレックスになっちゃって。ママンが好きだからこそ怖れるようになり、安心したいがために家を出た。ママンに大丈夫って証明したかったから。だから無理をするほど自責に強迫観念で突き動かされる。だが無理がたたって体調不良。テストも最悪でココロ砕け散る。そんな折、ママンが見舞いに訪れ、愛理は自分自身の愛憎に気づき素直に感情吐露するが、ママンには愛理を愛するが故の拒絶があった。

母親との和解で大団円


ママンに拒絶されたのはどうして?ママンのために出来ることはなに?愛理は学園統合プロジェクトの難航の解決のために何かをしたいと思い立ち、古典的に署名を集めようと呼びかける。しかしそんな愛理に待ち受けていたのは厳しい現実。統合にあんなに反対していたのは瀬名さんじゃない?新吾と別れたくないからでしょと云々と散々と嘲笑され、涙が出ちゃう。そんな愛理のピンチをどうする。昔だったら空気を気にして率先して何かをやろうとする気概にかけていた新吾。しかし愛理との情交で成長した新吾は思いの丈を打ち明け大演説。私は出会ってしまったの!!自分をおぎなう半分に、云々と。その説得は効果抜群。新吾と愛理が先にくっついちゃってたのにちょびっと嫉妬しジェラシーしていたクラス一同は、ツンツン完璧超人の愛理が変わって行った様をまざまざと見ていた。私だって変わりたいの!!と一致団結。次第に全校を巻き込んで大きな輪となっていく。クリスマスには全校生徒で学園長である愛理ママンにメッセージを送る。嗚呼、大団円!!そしてその夜、学園正門前で対峙する母娘の姿が。署名を手渡し、今までの愛憎を互いに打ち明ける。新吾がいたからママンと向き合えたの、変われたのと和解が成立。安心を求め変化を怖れていた少女は、見事一歩前に踏み出せたのでした。ふたりの色は何色?白。だから変えていけるのよとハッピーエンド。