【感想】タコピーの原罪 第9話「大丈夫」を読んだ

東くんがしずかちゃんに惹かれたきっかけは母親の代償だったという話。
これまで描かれて来た優秀な兄に対する東くんの強烈な劣等感もついに絶頂。
兄と比較され母親から見放されて行くことに苦しむ姿に打ちのめされる。
その象徴となるのが兄は使わなかった眼鏡。量販店の3000円程度の期待値である。
母の愛を得られなかった東くんは、母の幻影としてしずかちゃんを求めたのだ。
東くんの承認欲求をしずかちゃんは見事利用し、自分の代わりとして少年院へ送り込む。

母親の東くんへの期待値の象徴が量販店の3000円メガネ

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  • 東くんが精神崩壊していく過程が丁寧に描かれて行く
    • これまでのお話で東くんが優秀過ぎる兄に強烈な劣等意識を抱き、何とかして母親の歓心を買おうとしていたことが描かれてきました。今回のお話はその東くんの感情がついに絶頂を迎えることになります。そもそも東くんの実家の医者は父親ではなく母親だったことが判明。ママンは専業主婦じゃなくて女医だったのね。じゃあ父親はどこ行ったんだ?と父の不在が意味深となります。ママンは自分が医者だったから完璧を求め、兄は見事に完璧だったので、完璧じゃない次男に対して愛情が冷めて行ったというワケ。徐々に次男を見放していくその過程の表現が秀逸で、特に量販店3000円メガネが母親の期待値を示している象徴。しかも作中で東くんのブランド性に寄ってくるビッチが眼鏡スーパーにドン引きしておりそれに気づかない東くんの滑稽さがより残酷性を増しています。
    • しずかちゃんに対して、当初東くんは自分が学級委員をしているクラスでイジメが起こると評価が下がるので、解決しようとするのですが……しずかちゃんの魔性の女っぷりは、東くんの母親への感情を惹き付け虜にしていきます。母親から必要とされたいという東くんの切望を、しずかちゃんは歪んだ形で満たすのです。東くんが求めていた抱擁を接吻のオマケつきで与えることにより自分にとって都合の良い男の完成だ!こうして東くんはしずかちゃんの代わりに自首することになったのですが、そこへ完璧超人の兄が立ちはだかり次回へ続く。東くんが心の支えとするしずかちゃんすら兄に寝取られたり、逆にしずかちゃんが兄をも虜にしてしまったりするのだろうか?


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