雑録

平成21(2009)年版学習指導要領;文部科学省『高等学校学習指導要領解説 地理歴史編』における世界史主題学習の叙述の特徴

平成21年版解説における主題学習の要点

平成11年版の解説において充実を図ったと強調されていた世界史主題学習は、平成21年版ではどのように変わったのだろうか。平成21年版では「主題学習」という用語は一切使われず、「主題を設定して行なう」学習となっている。だが、主題学習の原初とされる昭和35年版においても「主題学習」という用語は使われておらず、また平成21年版主題学習は平成11年版主題学習を継承しているところも多いので、この「主題を設定して行なう学習」を主題学習と捉えてよいであろう。主題学習は昭和35年版以来一貫して歴史的思考力を培うことを目指しており、平成21年版でもその点は変わらない。しかしながら歴史的思考力の質はその時々の時代状況を受けて変化しており、平成11年版ではその学力観の転換が見られた。すなわち「生きる力」の影響を受けた「生徒の興味関心意欲を喚起すること」と「現代世界の課題追究」である。今回もその2点は継承され、さらに平成21年版では、知識基盤社会とOECDのキーコンピテンシーの影響を受けた「習得した知識の活用・探究」、「言語活動」の充実が求められるようになった。この結果、「探究」としての主題学習が重視されるようになった。そして未履修事件の影響から「世界史」が必履修科目であることが強調され、地理や日本史との関連を明確にした主題学習が設定されている。また、平成21年版解説では、各内容において主題学習の具体例が示されている。以下では平成21年版の解説における主題学習に関する記述について分析していく。

「総説」における主題学習との関わり

改訂の経緯

今回の改訂の背景には、主なものとして3点挙げられており、それが「知識基盤社会」、0ECDのPISA調査、教育基本法改正・学校教育法改正である。この3つの影響を受け、平成20年1月の「幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校の学習指導要領の改善について」答申において7つの改善の方向性が示された。

  • 1.改正教育基本法などを踏まえた学習指導要領改訂
  • 2.「生きる力」という理念の共有
  • 3.基礎的・基本的な知識・技能の習得
  • 4.思考力・判断力・表現力等の育成
  • 5.確かな学力を確保するために必要な授業時数の確保
  • 6.学習意欲の向上や学習習慣の確立
  • 7.豊かな心や健やかな体の育成のための指導の充実

この中で主題学習と直結しているのは、4の思考力・判断力・表現力等の育成である。解説には「観察・実験、レポートの作成、論述など知識・技能の活用を図る学習活動を発達の段階に応じて充実させるとともに、これらの学習活動の基盤となる言語に関する能力の育成のために、小学校低・中学年において音読・暗唱、漢字の読み書きなど基本的な力を定着させた上で、各教科において記録、要約、説明、論述といった学習活動に取り組む必要がある」と述べられている。平成21年版の世界史主題学習では、知識の活用や言語能力育成のための学習活動が行なうようにされている。

改訂の趣旨

平成21年版の高等学校地理歴史科の改訂は平成20年1月の中央教育審議会答申を踏まえて行なわれている。答申の中で示された改善の基本方針・具体的事項において世界史主題学習と関係のある点は以下の通り。

  • 「改善の基本方針」
    • 知識の習得・活用・探究と情報の読み解き能力、解釈・説明・論述を重視することが述べられている
  • 改善の具体的事項
    • 高等学校 地理歴史科・公民科全体に渡るもの
      • 「・・・習得した知識、概念や技能を活用して・・・その内容を説明したり自分の考えを論述したりすることを通して・・・」
    • 地理歴史科
      • 「…各科目で専門的な知識、概念や技能を習得、定着させ、それらを活用できるよう改善を図る。その際、地図を活用した学習を一層重視する」
      • 「「世界史A」については、地図、年表、資料などを活用し、地理的条件や日本の歴史との関連に一層留意しながら、諸文明の特質と現代世界の形成過程を理解させるとともに、人類の諸課題を追究する学習などを通して、現代世界に関する認識を深め、歴史的思考力を培うようにする」
      • 「「世界史B」については、地図、年表、資料などを活用し、諸地域の地理的条件や日本の歴史との関連に留意しながら、世界の歴史の大きな枠組みと流れを理解させ、文化の多様性・複合性に関する認識を深めさせるとともに、適切な主題を設定して追究する学習を一層重視して、世界史の学び方や歴史的思考力を培うようにする」
改訂の要点

主題学習を行なう際に、世界史そのものの内容構成・指導方法も重要となるので、改訂の要点についてまとめておく。
まず地理歴史科全体において、主題学習と関係のある記述については「・・・習得した知識、概念や技能を活用して課題を探究する学習を充実して・・・言語に関する能力を育成するようにした。そしてその際には・・・地図や年表をはじめとした様々な資料を活用した学習を一層重視することにした」とある。教科全体の改訂の要点を受け、世界史A・B両科目で改訂の要点を打ち出しているので、下記に記す。

  • 「世界史A」における改訂の要点
    • ア 導入時期の学習における地理・日本史との関連付けと、中学校社会科との接続に配慮した内容構成
      • 導入の学習として「(1)世界史へのいざない」の新設。目的:地理と歴史への関心を高め世界史学習の意義に気付かせる。
      • 「ア 自然環境と歴史」、「イ 日本列島の中の世界の歴史」にかかわる適切な主題を設定;考察する活動を通して地理的条件や日本の歴史との関連付けに留意(地歴科共通の必履修科目)。
      • 「地図や写真などを読み取る活動」や「年表や地図などに表す活動」を取り入れる:中学校社会科の内容との連続性に配慮、世界史学習の基本的芸能に触れさせる
    • イ 近現代の歴史を一層重視した内容構成 
      • 前近代の歴史が従前の大項目から中項目の一つとして近現代の歴史の理解するための前提としての位置づけとなる:大項目「(2)世界の一体化と日本」中項目「ア ユーラシアの諸文明」
      • 平成11年版は前近代・近代・現代で内容を構成。平成21年版は世界史の導入、前近代を含む近代、現代で構成=「(1)世界史へのいざない」「(2)世界の一体化と日本」「(3)地球社会と日本」 →前近代が近代に組み込まれたことで近現代史が一層重視。
    • ウ 諸資料に基づく学習を重視した内容構成
      • 年表・地図その他資料の積極的な活用を通して、世界の歴史を理解させるが明確に位置づけ
      • 資料の活用は、知識基盤社会と言われる今日の社会の構造的変化に対応していくためにの思考力・判断力・表現力等の育成とも密接に関わる
      • 地図の活用は地理ばかりでなく、歴史の授業においても重要な活動として位置づけ
      • 年表、地図その他資料を活用して具体的に学ばせるなどの工夫。
    • エ 主題を設定させ、探究する活動の充実
      • 内容(3)「オ 持続可能な社会への展望」を設置。主題を設定して探究する学習。
      • 言語活動の充実に対応 →生徒自身が現代世界の特質や課題に関する主題を設定。それまでの世界史学習で身に付けた知識や技能を活用しながら探究、「世界の人々が協調し、共存できる持続可能な社会の実現を展望させること」をねらいとする。
      • 生徒の主体的な学習。各種の情報・資料の収集と活用、論述、発表、討論など多様な活動を取り入れる。
  • 「世界史B」における改訂の要点
    • ア 導入時期の学習における地理・日本史との関連付けと、中学社会科との接続に配慮した内容構成
      • 地理歴史科共通の必履修科目;地理的条件や日本の歴史との関連付けに配慮。
      • 導入で世界史学習の意義を明確化しておく
      • 「(1)世界史への扉」で従前の「イ 日本の歴史と世界の歴史かかわり」「ウ 日常生活にみる世界の歴史」を継承、新たに「ア 自然環境と人類のつながり」を設置
      • 中項目をそれぞれ一つ選び主題学習を行ない、歴史と地理、世界の歴史と日本の歴史の関連付けを明確化
    • イ 世界史の中での日本の位置付けに留意した内容構成
      • 日本国民にとっての世界史という観点
      • 内容構成は「地域世界」により区分。「(2)諸地域世界の形成」「(3)諸地域世界の交流と再編」「(4)諸地域世界の結合と変容」「(5)地球世界の到来」。
      • それぞれの時期での日本の動向を世界の歴史の中に明確に位置付ける:(4)の「ア アジア諸地域の繁栄と日本」「エ 世界市場の形成と日本」、(5)の「エ グローバル化した世界と日本」
      • 日本を含む東アジア世界の形成過程を把握させる;(2)「ウ 東アジア世界・内陸アジア世界」
      • 日本の歴史を世界史的な視点から取り上げることとし、日本の歴史を世界の歴史の中で動態的、構造的にとらえさせる:(5)「オ 資料を活用して探究する地球世界の課題」
    • ウ 主題を設定して行なう学習をすべての大項目に設定
      • 思考力・判断力・表現力等の育成を重視 →主題学習がそれを担う;内容(1)-(5)の全てで主題学習を設置、段階的継続的に指導、歴史学習の基本的技能を習得、言語活動の充実
      • 内容(1)は考察する活動を行なう。科目の導入時期であり教師が主題を設定し考察の過程を指導する
      • 内容(2)-(4)は追究する活動を行なう。習得する技能;(2)(3)では世界史を時間的つながりや空間的つながりに着目して整理し表現する技能の習得。(4)では資料を多角的・多面的に考察し読み解く技能を習得。ここでのねらい:作業的・体験的な学習活動を取り入れることで、学習に主体的に参加させ、歴史的な考察方法を習得させるとともに、歴史的思考力を培わせる
      • 内容(5);習得する技能:地球世界に関する適切な主題を生徒に設定させ、資料を用いて探究する活動を設け、資料を活用し表現する技能の習得。「探究」という学習活動の定義:生徒自身が主題を設定し、これまでの学習で習得した知識や技能を有効に活用して、歴史的観点から主体的に考察する。

平成21年版「世界史A」主題学習と科目の特性

「世界史A」における主題学習の分析には、まず「世界史A」がどのような科目かを知る必要がある。ここではまず「世界史A」のねらいを把握し、どのような内容構成原理となっており、主題学習はどのように行なわれるかについて分析する。

  • 平成21年版「世界史A」のねらい
    • 「近現代の世界の形成過程を諸資料に基づき地理的条件や日本の歴史と関連付けながら、学習させること」
  • 内容構成原理;「文明史的な構成」と「世界の一体化」
    • 「文明史的な構成」
      • 思想、宗教、生活様式などの観点を重視
      • 地球的人類的規模の課題の解決が要求されつつある現代世界において、国家や国民という枠を越えて、文明という枠組みから歴史を考察させる
    • 「世界の一体化」
      • 学習内容における文明や国家ごとの単なる羅列の否定
      • 世界史を動態的・構造的に把握する →前近代のネットワーク理論を近現代の世界システム論に接続
      • ネットワーク理論(前近代において諸地域が孤立していたのではなく海域・内陸を通じて相互の接触・交流があったことを強調)
      • 世界システム論(16世紀以降諸地域世界は交易・植民により結合の度合いを強め、19世紀以降は世界市場の形成により地球規模での構造的一体化)
  • 探究としての主題学習
    • 内容の最後の「(3)地球社会と日本」「オ 持続可能な社会への展望」において探究として主題学習を行なう
    • 探究とは?「生徒の発想や見方、疑問をもとに生徒自らが主題を設定し、これまでに習得した世界史の知識、技能を用いながら、歴史的観点から諸資料を活用して主体的に考察する活動」
    • この探究の意図は?「歴史的思考力を培い、言語活動の充実を図る」
平成21年版「世界史A」の目標と主題学習の関係

平成21年版「世界史A」の目標は「近現代史を中心とする世界の歴史を諸資料に基づき地理的条件や日本の歴史と関連付けながら理解させ、現代の諸課題を歴史的観点から考察させることによって、歴史的思考力を培い、国際社会に主体的に生きる日本国民としての自覚と資質を養う」とある。この記述の中で、主題学習と密接に関わってくるのが、「諸資料に基づき地理的条件や日本の歴史と関連付けながら理解させ、現代の諸課題を歴史的観点から考察させることによって」という部分である。「世界史A」では導入としての主題学習と探究としての主題学習が行なわれるが、いずれも諸資料に基づき、知識を活用・探究し、思考力・判断力・表現力を育成しようとするものである。

平成21年版「世界史A」主題学習はどう行なえばよいのか

平成21年版「世界史A」では、主題学習を3つの段階で行なうようになっている。それは内容(1)「ア 自然環境と歴史」と「イ 日本列島の中の世界の歴史」、内容(3)「オ 持続可能な社会への展望」の3つである。それぞれの実施時期は、まず導入として世界史学習の一番初めに(1)の「ア 自然環境と歴史」を行い、学習のまとめとして最後に(3)「オ 持続可能な社会への展望」を行なう。(1)の「イ 日本列島の中の世界の歴史」については、適切な時期に実施と学習指導要領の本文で述べられているが、解説では出来るだけ早い時期が望ましいとしている。

内容(1)「世界史へのいざない」:「自然環境と歴史、日本の歴史と世界の歴史のつながりにかかわる適切な主題を設定し、考察する活動を通して、世界史学習の基本的技能に触れさせるとともに、地理と歴史への関心を高め、世界史学習の意義に気付かせる」
    • 新項目
    • 導入時期、世界史学習の基本的技能、世界史への興味・関心、学習の動機付け
    • 世界史の基本的技能とは?「情報収集能力、情報整理能力、情報の解釈・表現・説明」=歴史的思考力を培う手立て。(手立てであり目的でもある?)
    • 地理歴史科の必履修科目の強調:地理と歴史との関連、日本史と世界史との関連の明化。地理と歴史の関心・学習意欲を高める。
    • 中学校社会科の内容に配慮して主題を設定
    • 地理歴史科に一貫して求められる基礎的な学習活動とは?「地図や写真などを読み取る」「年表や地図などに表す」
    • 「地図や写真などを読み取る」は(1)「ア 自然環境と歴史」でメイン。「年表や地図などに表す」は(1)「イ 日本列島の中の世界の歴史」でメイン。
    • 教師が主題を設定し、生徒に考察の進め方を示す
  • 内容(1)「ア 自然環境と歴史」:「歴史の舞台としての自然環境について、河川、海洋、草原、オアシス、森林などから適切な事例を取り上げ、地図や写真などを読み取る活動を通して、自然環境と人類の活動が相互に作用し合っていることに気付かせる」
    • 学習活動:「地図や写真などを読み取る活動」を行なう
      • 地形、気候、植生などの自然環境を表した地図や写真などの諸資料を用意し、情報を読み取る
      • 幾つかの同じような自然環境の地域との共通点・相違点を探す
    • 河川
      • 大河流域の沖積平野に形成された古代文明の自然環境と人類の生活や活動を取り扱う
      • 大河流域の自然環境と深くかかわることによってその地域特有の生活・文化が形成されたことに触れさせる
      • 治水や灌漑を行い河川を管理することが文明の在り方に影響を与えたことを考察させる
    • 海洋
      • 漁撈や交通、交易の場としての海洋と人類の生活や活動を取り扱う
      • 漁撈等からなる海洋文化に触れさせる
      • 海洋は経済や文化の交流、情報伝達を促す大動脈としての役割を果たしたことを考察させる
    • 草原
      • 内陸アジア北部に帯状に伸びる大草原の自然環境と人類の生活や活動を取り扱う
      • 家畜の飼育や狩猟に依存する生活が営まれ、羊・山羊・馬などを利用した遊牧民の機動力に富む社会が形成されたことに触れさせる
      • 農耕地帯との接触によって、遊牧民と農耕民の間に交流、対立等の関係が生まれたことを考察させる
    • オアシス
      • 内陸アジアの南部の砂漠に点在する環境地帯の自然環境と人類の生活と活動を取扱う
      • 地下水路や泉水、高山の雪解け水を集めた河川から得られる水を有効に活用した人類の知恵に触れさせる
      • 日較差の激しい過酷な気候に耐えるラクダを利用した隊商による交易活動の在り方を考察させる
    • 森林
      • 熱帯林、温帯林、亜寒帯林などの自然環境と人類の生活を取り扱う
      • 多様な気候帯に応じて生活に必要な様々な物質や動物を森林から手に入れ、その地域特有の生活・文化が形成されたことに触れさせる
      • 森林資源と文明の盛衰との関係を取り上げ、人類の生活の中で森林の果たす役割を考察させる
    • すべての事例を網羅的に取り扱うのではなく、一つか二つ程度取り上げ、主題を設定し学習させる。
      • 海洋と森林;森林から得られる木材が船の材料になる。海洋の活動に不可欠であったことに触れさせる。
      • 草原とオアシス;内陸アジアの多様な自然環境と人類の生活や活動について気付かせる。
  • 内容(1)「イ 日本列島の中の世界の歴史」:「日本列島の中に見られる世界との関係や交流について、人、もの、芸術、文化、宗教、生活などから適切な事例を取り上げ、年表や地図などに表す活動を通して、日本の歴史が世界の歴史とつながっていることに気付かせる」
    • 学習活動
      • 「年表や地図などに表す活動」
      • 取り上げた事例に即して、その起源や変遷、関係と交流、伝播や変容の事跡を扱う
      • 年表や地図などに表す
      • 同時代の歴史的事象や地域世界との動向と関連付けさせる
      • 日本列島を訪れたり、日本列島から海外に渡ったりした使節や僧侶、商人などを取り扱う
      • 渡航に至るいきさつやその時代の様子を大観させる
      • 使節や僧侶、商人などを通しての世界との関係や交流の事跡をまとめさせる
      • その歴史的役割や社会的影響を考察させる
    • ものや技術
      • 外来の道具や栽培植物、技術、日本列島内の各地や身近な地域に残されている遺跡や遺物などを取り扱う
      • 文明を支えたものや技術に見られる人類の知恵に気付かせる
      • 伝播や変容を経て現在まで受け継がれていることを考察させる
    • 文化や生活
      • 日本列島内の各地や身近な地域に残る祭礼や伝説、年中行事、歳時記、文字、暦などを取り扱う
      • それらの事柄の歴史的な背景やその由来について触れさせる
      • その変遷の歴史を世界史的視野から考察させる
    • 宗教
      • 仏教やキリスト教などを取り扱う
      • 外来の宗教と日本古来の思想との関係や、外来の宗教の受容の在り方やその展開について考察させる
    • 全ての事例を網羅的に取り扱うのではなく、一つか二つ程度取り上げ、主題を設定し学習させる。
      • 宗教に関する主題の中で、それに関係した歴史上の人物や遺物、またそれに関わる年中行事などに触れ、関連する主題を複数まとめて取り上げ主題を設定する
内容(3)「地球社会と日本」:「地球規模で一体化した構造をもつ現代世界の特質と展開過程を理解させ、人類の課題について歴史的観点から考察させる。その際、世界の動向と日本とのかかわりに着目させる」
    • 「オ 持続可能な社会への展望」において生徒が自分で現代世界の特質や課題に関する主題を設定、探究。
    • 「オ」の実施時期は指導計画の最後に位置付ける。
    • 生徒の主体的な探究を促すため、作業的、体験的な学習を積極的に取り入れる
    • 世界史学習全体のまとめに当たることに留意し、探究したり成果をまとめたり、発表したりすることができるよう適切な授業時数を確保する
    • 歴史的思考力を培う →その手段が現代世界の課題探求。生徒主体の発表・討論。
  • 「オ 持続可能な社会への展望」:「現代世界の特質や課題に関する適切な主題を設定させ、歴史的観点から資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について展望させる」
    • ここでの学習のねらい
      • 生徒の主体的な探究を通して、歴史的視野からそれらの問題に関する認識を深めさせ、世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現について展望させる
    • 主題は内容の(3)のア〜エに示された事項を参考に設定する。
    • 「ア 急変する人類社会」の例
      • 生徒が人々の移動や移民に着目して「移民と移住先社会での生活」という主題を設定する
      • 移住先社会での文化摩擦の問題や、移民が移住先社会の経済や社会に果たした様々な貢献について取り上げ、探究する
    • 「イ 世界戦争と平和」の例
      • 生徒が世界戦争の原因や人々の平和への思いに着目、「世界戦争と国際社会」という主題を設定。
      • 世界戦争の原因やその歴史的背景を整理
      • 諸国家や諸国民が協調し共存できる国際社会の実現について探究する
    • 「ウ 三つの世界と日本の動向」の例
    • 「エ 地球社会への歩みと課題」の例
      • 生徒が、地球規模で深刻化する環境問題に着目、「環境と人類の歴史」という主題を設定する
      • 産業革命以後の歴史を概観
      • 調和のとれた開発と環境の在り方について探究する

平成21年版「世界史B」主題学習と科目の特性

  • 「世界史B」の目的・ねらい
    • 「世界の歴史への興味・関心を引き出し、それをもとに世界の歴史の基本的な事項を理解させるとともに、それぞれの大項目の内容に示された事項を参考にして主題を設定し、生徒の主体的な学習を通して、歴史的思考力を培うことを目指した科目」
  • 内容構成原理
    • 平成21年版の「世界史B」の内容構成原理は、平成11年版と同じく「地域世界と世界の一体化」である。古代からの近代の歴史を「何らかの自律性と体系性をもつ複数の地域世界」に着目して「形成」、「交流と再編」、「結合と変容」に区分する。現代に関しては地球規模で一体化した世界として扱う。
  • 主題学習の段階的・継続的指導
    • 平成11年版の世界史主題学習は、学習の最初と最後に行なわれていた。すなわち「(1) 世界史への扉」において興味・関心・意欲を喚起させる導入としての主題学習と「(5) 地球世界の形成」において現代世界の諸問題の課題を追究させるまとめとしての主題学習であった。 平成21年版では、(1)の導入と(5)のまとめとしての主題学習に加え、各大項目全て、つまりは(2)〜(4)においても主題学習を行なうようになった。これにより(1)では導入として考察させる活動を主とする主題学習、(2)〜(4)ではそれぞれ時間軸、空間軸、資料の読解に関わる主題学習を、(5)では地球世界の課題の探究の主題学習を行なうことになった。
  • 探究とはなにか?
    • ここでの探究とは「生徒の発想や見方、疑問をもとに生徒自らが主題を設定し、これまでに習得した世界史の知識、技能を用いながら、歴史的観点から諸資料を活用して主体的に考察する活動である」と述べられている。この活動は歴史的思考力を培い、言語活動の充実を図ることをねらいとしている。

「世界史B」の主題学習はどう行なえばよいか?

「(1) 世界史への扉」:「自然環境と人類とのかかわり、日本の歴史と世界の歴史のつながり、日常世界にみる世界の歴史にかかわる適切な主題を設定し考察する活動を通して、地理と歴史への関心を高め、世界史学習の意義に気付かせる」
    • ねらい
      • ここでの主題学習は「世界史を学ぶ際に必要な視点を示し、地理と歴史への関心を高め、世界史学習の意義に気付かせる」ことをねらいとしている。
    • 生活経験の重視
      • ここでの世界史学習は、興味関心を高め、意欲を持続させるための動機付けの性格を持つため、生徒のこれまでの生活経験が重視されている。
    • 必履修科目と設定項目とその実施について
      • 世界史は地理歴史共通の必履修科目であるため、地理と歴史、日本史と世界史が密接に関わっていることに気付かせるための主題が組み込まれている。
      • その主題は「ア 自然環境と人類のかかわり」「イ 日本の歴史と世界史の歴史のつながり」「ウ 日常生活にみる世界の歴史」となっている
      • 「ア」「イ」「ウ」全てを主題学習として行なうが、「ア」を導入とし「イ」「ウ」を適切な時期に実施する
    • 生徒の主体性と教師による考察の過程の提示
      • 諸資料の活用、作業的・体験的学習
      • 過去の出来事を通史的に暗記するのではない。自ら課題を発見し、学習に主体的に参加し、考察することの大切さに気付かせる。
      • ここでの主題学習は導入的性格を持つため、教師が主題を設定し、考察の過程を示す指導が必要。
  • 「ア 自然環境と人類のかかわり」:「自然環境と人類とのかかわりについて、生業や暮らし、交通手段、資源、災害などから適切な歴史的事例を取り上げて考察させ、世界史学習における地理的視点の重要性に気付かせる」
    • 世界史学習における地理的視点とは? →自然環境と人類のこれまでの活動との相互関係を地理的視野からとらえさせること
    • 生業や暮らし の例
      • 様々な自然環境のもとでの人類の活動を取り扱い、地形・気候・植生などに触れる
      • 人類が野生動物を馴致し、山野に自生する植物の栽培を行い、衣食住のための技術を生み出してきたことを歴史的に考察させる
      • 自然環境の違いから農耕民と遊牧民の生活の違いについて比較させる
    • 交通手段 の例
      • 移動の手段として家畜化した動物や開発した技術と人類の活動を取り扱う
      • ツンドラ地帯におけるトナカイ、砂漠地帯におけるラクダ、草原地帯における馬などの家畜化と人類の活動とのかかわりを歴史的に考察させる
      • 天体観測に基づく航海術や、潮流やモンスーンを利用した海域移動に触れさせる
    • 資源 の例
      • 自然を構成する天然資源と人類の活動とのかかわりを取り扱う
      • 人類は水資源、鉱物資源、森林資源、水産資源、様々な天然資源を獲得し、利用のための技術開発を伴いながら生活に役立たせてきたことを歴史的に考察させる
      • 有限な天然資源の獲得とその利用が世界の歴史に与えた影響などに気付かせる
    • 災害 の例
      • 自然の猛威と人類の活動とのかかわりを取り扱う
      • 噴火、地震、洪水などの突発的な自然の猛威や疫病の流行の実態に触れて、当時の人々の対処法やその後の社会に及ぼした影響などを歴史的に考察させる
      • 人類の生活形態や行動様式の変化と疫病の流行とのかかわりについて気付かせる
  • 「イ 日本の歴史と世界の歴史のつながり」:「日本と世界の諸地域の接触・交流について、人、もの、技術、文化、宗教、生活などから適切な歴史事例を取り上げて考察させ、日本の歴史と世界の歴史のつながりに気付かせる」
    • 日本の歴史と世界の歴史のつながりを気付かせることの意義は? →世界史への興味・関心、学習意欲、異文化に対する理解を深める
    • 人 の例
      • 日本と世界の諸地域の接触・交流を促した使節や僧侶、商人などを取り上げる
      • 渡海に至るいきさつやその時代の様子を概観させる
      • 使節や僧侶、商人などを通した世界との関係や交流の事跡をまとめさせる
      • その歴史的役割や社会的影響などを考察させる
    • ものや技術 の例
      • 日本と世界の諸地域の接触・交流の結果、日本や世界の各地に運ばれた道具や栽培植物、あるいは各地に残された遺跡や記念碑などを取り扱う
      • 文明を支えたものや技術に見られる人類の知恵に気付かせる
      • 伝播や変容を経て現在まで受け継がれていることを考察させる
    • 文化や生活 の例
      • 日本と世界の諸地域の接触・交流の結果、日本や世界の各地に伝えられた祭礼や伝説、年中行事、歳時記、文字、暦などを取り扱う
      • その歴史的背景や由来について触れさせる
      • その変遷の歴史を考察させる
    • 宗教 の例
      • 仏教やキリスト教などを取り扱う
      • 外来の宗教と日本古来の思想との関係や、外来の宗教の受容の在り方やその展開について考察させる
  • 「ウ 日常生活にみる世界の歴史」
    • 日常生活を取り上げる意義とは?
      • 日常何気なく接している事柄でも、歴史的観点に立てば、日本と世界の諸地域との接触・交流の軌跡や生活文化の地域的特色について気付かせることができる革新性
      • 身近な事例であるため、期待できる世界史への興味・関心や学習意欲の上昇
    • 衣食住の例
      • 衣服:民族による差異を自然環境や生活・文化との関連でとらえさせる/時代的変遷に着目させ服飾意識の変化に触れる。
      • 食事:世界の諸地域間の交流を通じて人々の食生活の在り方が変わってきたことを考察させる/栽培・飼育方法の改良や発酵・冷凍保存の技術開発が人々の生活に大きな影響を与えてきたことを考察させる
      • 住居:その形態や建築材料などからその地域的特色に気付かせる/家屋の構造から生活習慣の在り方を考える
    • 家族の例
      • 時代や地域による家族構成の違い、産業社会の到来による家族の在り方の変容、親子や夫婦のきずなの歴史的変化を扱う
      • 家族の意義とその社会的性格に気付かせる
      • 家父長支配の伝統、女性や子どもの社会的地位の変化を取り上げることも可能
    • 余暇とスポーツの例
      • 日常生活において余暇が生じてきた歴史的背景を考察させる
      • 余暇の活用の事例としてスポーツや旅行などのレジャー、音楽や舞踏などを取り上げ、その起源や変遷を考察させる
      • 諸地域の伝統文化から代表的な祝祭、儀礼、遊戯などを取り上げ、地域の伝統文化や人々の心の在り様に触れさせる
「(2) 諸地域世界の形成」と主題学習
  • 「エ 時間軸からみる諸地域世界」:「主題を設定し、それに関連する事項を年代順に並べたり、因果関係で結び付けたり、地域世界ごとに比較したりするなどの活動を通して、世界史を時間的なつながりに着目して整理し、表現する技能を習得させる。」
    • 習得させる技能
      • 時間的なつながりに着目して整理し、表現する技能
  • この大項目で時間軸を扱う意義
      • この大項目では諸地域世界の形成過程を時間を追って学習するため、ここで時間的なつながりにかかわる活動を取りいれる。
    • 実施する学習活動
      • 主題を設定、関連する事項を年代順に並べる、因果関係で結びつける、地域世界ごとに比較させる。
      • 年表や地図、その他の資料の活用して説明する活動
    • 「イ 南アジア世界・東南アジア世界」の例
      • 主題「仏教の広まりと仏教に関する遺跡」を設定
      • 南アジアにおける仏教の成立から普及・変容の過程に関する事項を選び出す
      • 年代順に並べて年表を作成させるとともに、各時代に造営された仏教に関連する建造物を地図に示し対比させる
    • 「ウ 東アジア世界・内陸アジア世界」の例
      • 主題「中国の諸王朝と遊牧民」を設定
      • 戦国時代末期から隋・唐の時代までの両者のかかわりに関連する事項を選び出す
      • それらを年代順に並べ年表を作成させる
    • 地域世界間の比較を行なわせる場合の例
      • 「ユーラシアの諸帝国の統治と宗教」:ユーラシアの諸地域世界に形成された諸帝国の統治の様子とそれぞれの宗教・思想の状況に関する事項を選び出させ、年代を追いながら諸地域を横断的に見た対比年表を作成させる。
      • 「自然環境と人間の歴史のかかわり」:農民の反乱や人の移動に関連する事項を選び出し、それらと気候の変化を記した資料を関係付けながら、諸地域世界の動向に関する対比年表を作成させる。
    • 学習活動の指導法
      • 作成した年表、地図などを活用させる
      • 主題を追究して分かったことや新たに疑問を感じたことなどを説明したり発表したりさせる
      • 論理的に思考し、適切に表現する技能を習得させる
「(3) 諸地域世界の交流と再編」における主題学習
  • 「エ 空間軸からみる諸地域世界」:「同時代性に着目して主題を設定し、諸地域世界の接触や交流などを地図上に表したり、世紀ごとに比較したりするなどの活動を通して、世界史を空間的なつながりに着目して整理し、表現する技能を習得させる」
    • 習得させる技能
      • 空間的なつながりに着目して整理し、表現する技能
    • この大項目で空間軸を扱う意義
      • 諸地域世界の再編が促された時代を対象としているため、空間的なつながりに着目した学習活動を行なううえで多くの事例を見つけることが可能
    • 実施する学習活動
      • 同時代性に着目して主題を設定し、諸地域世界の接触や交流などを地図上に表したり、世紀ごとに比較したりするなどの活動
      • 年表や地図、その他の資料の活用して説明する活動
    • 「ア イスラーム世界の形成と拡大」の例
      • 主題「イスラーム世界の拡大」を設定
      • 領域を民族・宗派ごとに地図化し世紀ごとに比較させる
      • イスラーム世界の中心勢力の変遷を考察、作成した地図を活用して説明させる
    • 「イ ヨーロッパ世界の形成と展開」の例
      • 主題「中世ヨーロッパの交易活動と黒死病の流行」を設定
      • 各都市の黒死病の流行年と人・ものの移動ルートを地図上に記入させる
      • 作成した地図を活用して説明させる
    • 「ウ 内陸アジアの動向と諸地域世界」の例
      • 主題「ユーラシアの諸地域世界を旅した人々」を設定
      • マルコ=ポーロ、イヴン=バットゥータなどの旅行者の記録から分かる当時の諸地域世界の様子とそのルートを地図上に記入させる
      • 海域におけるモンスーン交易と内陸における東西南北のネットワークの結合に伴う諸地域世界の交易ルートや商人の移動範囲、住民の生活の様子を発表させる
      • 作成した地図を活用して説明させる
    • 諸地域世界の交流を世紀ごとに比較させる場合
      • 「十字軍の活動とモンゴル帝国」:十字軍の活動にかかわる西欧、東欧、イスラーム世界、モンゴルとの関係を示す地図を一定区間に区切って作成させる。作成した地図を用いてユーラシアの政治情勢の推移を説明させる。
      • 「ユーラシアの交易圏」:8、11、13世紀の各世紀におけるユーラシア交易圏の特徴をテーマにした地図を作成させる。商品やそれを扱った商人の移動範囲やそれを可能にした要因を考察させる。作成した地図を用いてユーラシアの交易圏の世紀ごとの変化を説明させる。
    • 学習活動の指導法
      • 論露的な思考、適切な表現をさせる
      • 目的に応じた適切な地図を作成・選択するよう工夫させる
      • 歴史地図で表す範囲、表す情報、選択する図法の違いから、地図の与えるイメージが異なることに着目させる
「(4) 諸地域世界の結合と変容」における主題学習
  • 「オ 資料からよみとく歴史の世界」:「主題を設定し、その時代の資料を選択して、資料の内容をまとめたり、その意図やねらいを推測したり、資料への疑問を提起したりするなどの活動を通して、資料を多面的・多角的に考察し、よみとく技能を習得させる」
    • 習得させる技能
      • 資料を多面的・多角的に考察し、よみとく技能
      • その時代の資料を取り上げて、内容、意図、ねらいなどについて考察し、生徒自らが歴史像を形成していく技能
    • この大項目で資料を活用した主題学習をする意義
      • 16世紀から19世紀までの世界は、印刷技術の進歩や写真技術の発明等によって、それ以前の世界よりも多種多様な資料が大量に生み出され広く普及していった時代であるため、ここでその資料を活用した活動を行なうことは有用
    • 実施する活動
      • その時代の資料を選択して、資料の内容をまとめたり、その意図やねらいを推測したり、資料への疑問を提起したりするなどの活動
      • 文字資料に加えて、絵画、風刺画、写真などの図像資料を取り入れる
    • 「ア アジア諸地域の繁栄と日本」
      • 主題「鄭和の遠征とアジア交易圏」を設定
      • 鄭和の遠征に関する航海誌を取り上げる
      • 内容をよみとかせ、インド洋や東南アジア海域の様子やアジア交易圏に関する当時の中国人の認識を考察させる
    • 「イ ヨーロッパの拡大と大西洋世界」
      • 主題「ルネサンスとは何か」を設定
      • ルネサンス期の聖母子像を取り上げる
      • 中世の聖母子像と比較しながらその特色をよみとかせ、ルネサンスの意味や背景を考察させる
    • 「ウ 産業社会と国民国家の形成」
      • 主題「19世紀のイギリスと世界」を設定
      • 第1回のロンドン万国博覧会の様子を描いた絵画を取り上げる
      • 内容をよみとかせ、19世紀におけるイギリスの経済的繁栄とその背景を考察させる
      • 主題「アメリカ合衆国と移民」を設定
      • アメリカ合衆国における大陸横断鉄道開通の記念写真などを取り上げる
      • 内容をよみとかせ、当時の中国人など非白人系労働者の実態や人種に対する当時の人々の意識を考察させる
    • 「エ 世界市場の形成と日本」
      • 主題「世界を一周した岩倉使節団」を設定
      • 岩倉使節団の報告書を取り上げる
      • 内容をよみとかせ、当時の日本と世界との関係や、明治政府の人々の国際認識について考察させる
    • 複数の中項目にまたがる主題
      • 主題「外国人が見た日本の姿」を設定。
      • 戦国末期に日本を訪れたキリスト教宣教師の著書や、江戸時代に日本に派遣された朝鮮通信使の報告書、あるいは幕末や明治時代に日本に滞在したヨーロッパ人の日記や書簡、風刺画などを取り上げる
      • 内容をよみとかせ、日本と世界のつながりや、外国人の目に映った当時の日本や日本人の姿について考察させる
    • 学習活動の指導法
      • その時代の人々が自分たちの時代や社会をどうとらえ、どう表現しようとしていたかに着目させるため、その時代に作成された資料を取り上げる
      • 授業で用いる資料は文字資料に加えて絵画、風刺画、写真などの図像資料などを取り入れる
      • 図像資料は歴史の実相や断面を具体的にイメージしやすいため、積極的な活用が望まれる
「(5) 地球世界の到来」における主題学習
  • 「オ 資料を活用して探究する地球世界の課題」:「地球世界の課題に関する適切な主題を設定させ、歴史的観点から資料を活用して探究し、その成果を論述したり討論したりするなどの活動を通して、資料を活用し表現する技能を身に付けさせるとともに、これからの世界と日本の在り方や世界の人々が協調し生存できる持続可能な社会の実現について展望させる」
    • 習得させる技能
      • 資料を活用して表現する技能
      • 歴史的な考察方法
    • この大項目で行なう「探究」の意義
      • 習得した知識や技能を活用して人類が直面する地球世界の課題を歴史的観点から探究し、持続可能な社会の実現を展望する能力・態度を培う=世界史学習の全体を通して育成すべき生きる力を身に付ける
    • 地球世界の課題とは何か
      • 地球世界の課題とは、紛争の解決と平和の問題、食糧・人口問題、資源・エネルギー問題、地球環境問題、現在の人類が解決を迫られている地球規模の課題
      • 生徒には今日の地球世界の課題と言い得るものがどのようなものであり、それが歴史的にどのように形成されてきたのかについて見通しを立てさせる
    • 学習活動の指導法
      • 生徒自身が主題を設定し調べたり、調べた成果を発表したり、学級全体で討論したりする活動を設ける
      • 生徒自身の探究を行なわせる
      • 核兵器の問題や世界各地に頻発する地域紛争、テロの脅威に関する認識や、戦争を防止し、平和で民主的な国際社会を実現しようとする意識を育成する
  • 「これからの世界と日本の在り方」について展望する例
    • 「イ 二つの世界大戦と大衆社会の出現」
      • 生徒が主題「大衆社会と戦争」を設定
      • 当時の国際政治、国際経済と欧米社会や日本の社会状況を対比
      • 戦争に突き進むことになった背景や原因を探求させる
    • 「エ グローバル化した世界と日本」
      • 生徒が主題「地域紛争と日本の貢献」を設定
      • 地域紛争の原因や背景の多様性や解決に向けて日本の貢献について探究させる
  • 「世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現」について展望する例
    • 「ア 帝国主義と社会の変容」
      • 生徒が主題「工業化と現代人の生活」を設定
      • 第二次産業革命以後の大量生産・大量消費が現代人に快適な生活をもたらす一方、資源・エネルギーの問題や地球環境の悪化など様々な課題を引き起こしたことについて探究させる
    • 「ウ 米ソ冷戦と第三世界
      • 生徒が主題「冷戦と核兵器問題」を設定
      • 科学技術の進歩を背景とした大量破壊兵器の開発競争が国際的対立激化の中で、人類の生存にどのような影響を与えることになったかについて探究させる
  • 「これからの世界と日本の在り方」と「世界の人々が協調し共存できる持続可能な社会の実現」のついて展望する際には、両者を相互に関連付けて取り扱うこともできる。