あえて無視するキミとの未来「三咲爽花シナリオ」の感想・レビュー

愛する女の為にトラウマと向き合い、過去を乗り越え、未来を獲得するため現実と戦うはなし。
全シナリオの中で、唯一といっていいほど放送部の活動が絡んでいる。
主人公くんが煩悶の末、足掻き、立ち向かう様子を眺めるのは楽しいものよ。
「少女救済による存在理由の肯定」をどのように描くかが見せ場というもの。
結局はまぁ運命を乗り越えるハッピーエンドになるのですがね。

三咲爽花のキャラクター表現とフラグ生成過程


  • トラウマ克服編
    • 三咲爽花は黒髪ロングの飄々として男前な女の子です。爽花は青春を追い求め、活力に溢れていましたが、その姿は焦燥感に駆られているようでもありました。それもそのはず、爽花は「今夏で死ぬ」という確定した未来を保持しており、死期を悟っていたのでした。そのため、自分が生きた存在証明を欲しがっていたのです。結局のところ、人間の命には意味は無く、ただ生命体として種族が生まれては死ぬを繰り返すのですが、だからこそ人間は無意味な死を怖れるのです。何かによって、自分の生命に理由付けがしたいのですね。そんなわけで爽花はとにかく「せーしゅん」がしたかったのであり、その手段として「ミニFM放送」を選びます。
    • 爽花の熱意を感じ取った主人公くんは自分が今まで怠惰に過ごしてきたかを突きつけられているかのようで、次第に感化されていきます。主人公くんには「両親の事故死を把握していたのに防げなかった」というトラウマがあり、ずっと悩まされてきました。だからこそ「未来は変えられない」と諦観していのです。ですがそのような諦観は「女を助けたい」という思いによって打ち砕かれます。爽花を助けるためにトラウマを克服し、過去を乗り越えたのでした。



  • 放送部で「せーしゅん」編
    • 女を救う為に足掻く主人公くんによって、女の方も生きる希望を持ち始めてフラグ成立。過去のトラウマを部活仲間に吐露し、共感を得てもらうお約束のシーンでは、お仲間友情演出がシナリオ構造上の装置と分かっていても眺めていてグッときてしまいますね。こうして放送部仲間たちと、活動に精を出し、様々な困難を乗り越えていきます。他ヒロインルートでは、あっさり部費ゲットして、放送インフラを整えますが、爽花シナリオでは学生が自分たちの力でケーブルやアンテナを修繕します。「若いうちに何かに一生懸命になっておくのはいいことだ」と『それまち』の婆ちゃんもいっていました。必要に駆られて何かを調べ試行錯誤してこそ自分たちの力にになっていくのです。遊びも勉強もスポーツも情報の獲得による自己能力の向上は一緒ですね。



  • 運命に抗え編
    • そんなわけで「ミニFM」できるようになったよ!!と喜んでいたら、今度はヒロインのせいで主人公くんが死ぬという未来視が発動。ヒロインはそっと身を引くのですが・・・ヒロインが海で溺れる→主人公くんが助ける→逆に主人公くんが沈没→コナンくんの映画「14番目のターゲット」よろしく水中でキッスによる空気の受け渡し→救助成功!!(※分かりやすいチャート式説明)。最終的には運命を乗り越え新たな人生を手に入れた爽花は、文化祭を待たずに転校。だが転校先でも電波の中継は可能だ!!というとで、主人公くんの熱い思いをRelay broadcast!とハッピーエンド。