向日葵の教会と長い夏休み「朧白・ヒポポ・金剛石」シナリオの感想・レビュー

田舎の雰囲気がしっとりと流れ、ノスタルジックになれる夏ゲー。
体験版で金剛石がシャチホコを屋根に乗せようとして破壊したイベントのアホさにスルーするつもりだったのですが。
金剛石シナリオもつまらなくはなかったですし、ルカのようなキャラクター表現は結構好きです。
シナリオの共通の背景として「霊的現象」が醸し出されています。

朧白・ヒポポ・金剛石のキャラクター表現とフラグ生成過程

金剛石は常識を知らない系お嬢様キャラとして設定されています。テーマは「身分差のある恋」モノに分類されるでしょう。金剛石は最初、民衆を見下したり、日常生活に無知であったりしますが、幼少期における主人公くんの啓蒙によって、生活力を身につけていきます。この生活力を身につけていく過程において、金剛石のミドルネームである「ヒポポ」の由来からシュヴァイツァーの「生命への畏敬」に繋げていく描写は面白く感じました。農業を毛嫌いする金剛石に対し、自然や生命の循環を体感させていくところは、上手な展開だと思います。物語の原動力は「金剛石と主人公くんとの関係を否定する母親に、二人の関係を認めさせる」こととなっています。古来より「身分差」モノは数ありますが、この作品はどのような味付けをして処理するのでしょうか?ここでは「つくも神」と「親も身分差があった」の2つで加工されています。亡くなった金剛石のパパの怨念は、夜な夜な主人公くんに、自分たちが結ばれるに至った過程を夢で見せつけます。これにより「金剛石のママンは両親の反対を押し切り、使用人と結婚したものの、愛する人はすぐに死亡し、精神的ショックを受けたあまり、過保護になってしまったこと」が判明しました。最終的に結ばれた二人は、ママンが持つ民衆に対する固定観念を和らげてもらおうとします。金剛石は自分が育てた野菜で料理を作り、自分の成長はたくさんの人との関わりから得たものだということを示します。こうしてママンの視野を開かせ、ハッピーエンドを迎えさせたのでした。