イノセントガール 御堂このか√の感想・レビュー

イノセントガールの御堂このかシナリオは「現代家族論」。
創作意欲が枯れてしまった母親との対立を乗り越え家族の絆を取り戻せ。
最期はご都合展開が発動し、両親の仲が復活してハッピーエンド。
「家庭崩壊を芸術で回復させた」というのが具体的な内容と言えます。
「現代家族論」はどんなに暗夜行路してても和解する結果になるからなぁ。

御堂このかのキャラクター表現とフラグ生成過程


  • 過去にすがって芸術をする少女
    • 御堂このかは尽くす系幼なじみで最初から好感度MAX。芸術分野では立体を専攻しています。しかしながら芸術センスが無く、作る作品もよく分からないものばかり。それには理由がありました。このかは出奔した父親が残した遺作を再現するためだけに立体を続けていたのです。周囲の才能がある連中に囲まれ劣等意識を感じつつも何度も諦めることなくチャレンジするその姿は主人公くんの心を打ちます。ついに苦心の結果、作品を再現できたのですが、なんと!このかのママンがそれを破壊してしまいました。ママンは娘に自分の二の舞いになって欲しくないと過去を語り始めます。


  • ママンの過去
    • このかママンは人の心を揺さぶる作品を作るために芸術を始めました。その想いを共有するダンナと励まし合いながら作品を作り続け、可愛い娘もでき作品も社会的な評価を受けるようになりました。しかし、自分の作品が人の心を揺さぶるものではなくただ成金の資本投資の対象としかなっていないことに気づき、作品を作れなくなってしまいます。作っては壊し、壊しては作るという行為を繰り返し、最後には何も作らなくなった時を最後に、ダンナは遺作を残して出奔してしまうのでした。こうしてこのかママンは娘に寄生し自堕落な生活を送るだけの生き物となったのです。才能もセンスもない自分の娘が根気だけで過去にすがる姿を目の当たりにしたとき、芸術を諦めさせるために娘が作った作品を破壊したのでした。


  • 巨大オブジェ作り
    • 絶望の縁にあったこのかに対して主人公くんはドロップアウトしてしまったポエムを再び紡いで慰めます。そう、いつだって主人公くんは家庭崩壊してしまったこのかを慰めるために詩を詠んできたのですから。そして主人公くんはこのかを救うために見様見真似で失われてしまったパパの遺作を作り始めます。この主人公くんの熱情は、諦念に浸るこのかの心を打ち、再起を促すことになります。このかの目的は作品を完成させ世間に出しパパに自分はココにいると気づいてもらうこと。そのためには数倍の大きさで再現することだ!!と息巻き巨大オブジェを作ることにしたのです。この巨大オブジェ作成の過程で対立していた母親と娘は和解することになります。足場が崩れて身を挺して娘を助けることで関係性回復ってのはご都合主義展開だな!!!こうしてママンの力も借り、巨大オブジェが完成してオークションに出品されることになったのです。


  • ご都合主義で家族回復!
    • オークションに出品しても巨大オブジェはまったく受けません。落札者たちからの失笑を買うことになります。ですがここで再びご都合主義展開が発動!!オークション会場が突如停電となり、懐中電灯でオブジェを下から照らすとあら不思議!!なんとこのか一家の幸せな家族像が影絵となって現れたのです。それもそのはず、オークションの警備員には出奔したはずのパパが就職しており、このオブジェの謎を知っていたからなのでした。パパは妻の芸術が枯れ果てたことに気づいて再起を促すために家庭を捨てて出奔していたのでした。こうしてオブジェの謎が種明かしされ、パパは家族のところに戻ってきました。このオブジェ作りによってママンも創作意欲を取り戻しめでたしめでたしです。最後にはパパから芸術論が説かれてハッピーエンドを迎えました。

芸術ってのは何を作ったかじゃない。その作品で何を伝えたかだ。作品そのものに価値はない。誰の目にも触れないで倉庫の奥にしまってあるようなものは、どんなに高価だとしてもただのガラクタだ。作り手と受け手の心の触れあいがアートだ。こんなことを言うとアートに夢を見すぎだと言われるかもしれない。でも夢を見て何が悪い。ルールを作ってそのアイデアや技術を競い合って投資の対象となってそれで誰の心が満たされる?誰かの笑顔や誰かの涙や誰かの心の糧になるものがアートなんじゃないかな