グリザイアの楽園「プロローグ・アフター」の感想・レビュー

グリザイアの楽園では本編をクリアすると、グリザイアシリーズの前日談とアフターシナリオが楽しめます。
社会不適合者たちが学園に集う過程を描き、「友情」の素晴らしさを説くプロローグ。
ヒロインズの中から正妻を決めようとするが決められず、みちるが孕むアフターシナリオ。
そしてサブキャラとの情事が楽しめるデイブ教授のオマケ。
ここでは、それらの雑感についてご紹介致します。

プロローグ編

プロローグ編は端的に述べるならば、「ボッチだった少女が社会不適合者の掃き溜めで同じような境遇の少女達と友情を築く」というお話です。雄二さんが学園に入学してくる以前の状況を由美子視点で描いたシナリオになっています。少女たちはどのようにして学園に集まったかの過程を描きながら、心の交流を描きます。「友情とは良い物だ」、「心を許せる仲間」、「ボッチは寂しい」と仲間同士の大切さをこれほどか!というぐらいに見せつけてくれます。読んでいて楽しくもあり、異なる人間関係の中で連帯意識を高める素晴らしさは、頭では理解できますが、こういった性善説は辛いモノがあります。いやー、自分が最後に友達と馬鹿やったのっていつの頃だったかなぁ?と。歳くってくると、本性さらけ出して接することもなくなり、自分を殺して相手に迎合的になり、円滑に仕事を進めることを念頭に置いて、人間関係を構築するようになってくるからなぁ。だから代償行為として慰みにエロゲをやってるのかもしれんな。

閑話休題。由美子は当初人間関係を構築することに対して無関心を装っていましたが、天音・みちる・蒔菜の順に学園に入学してくると、それぞれから人との接し方を学んでいきます。そんな時に起こった問題が、学園と地域住民のしがらみでした。由美子たちの学園は、住民感情を理解しようとせず利益優先で土地買収を進めて建設されたため、地域住民から不満の捌け口とされていました。そんな住民たちの不満をそらすために、地域奉仕が命ぜられますが、由美子はクラスメイトたちを守るべく、一人で地域奉仕に出かけたのです。由美子に浴びせられたのは、蔑視・侮蔑・偏見の態度でした。ゴミを拾う由美子に石を投げつけたり、これ見よがしに由美子の前で空き缶をばらまくのです。由美子の心が折れかけた時に現れたのが、天音たちでした。天音達のお陰でドンドン清掃活動は進みます。由美子は昔の自分と違って今では、仲間達が居ると感動にむせび泣くのでした。感動のシーンですね。こうして由美子は自分が手にした環境を守るべく決意を新たにし、その調和を乱そうとする男の転入生である雄二さんに敵意を燃やすのでした→→→『グリザイアの果実』に続く!!という展開です。

アフター編

アフター編では雄二さんが正妻を決めるのに苦悩しながらも、性交しまくるおはなしです。結局、みちるが妊娠して子どもが出来てエンドを迎えます。話の中身は、無いに等しいです。しかし、妊娠して子どもを孕んでも母になる覚悟が出来ないみちるを、蒔菜が一括するシーンはちょっと良かったと感じました。自分の腐った遺伝子を継承するかもしれないという不安を抱えるみちる。そんなみちるに対し、母から愛されなかった蒔菜が子どもが可哀想だと訴えるのです。本当ねー、なんかこう子どもを作ったら責任が生まれるわけですよ。そしたら自分の欲望より優先して子どもを育てなければならないと思うのが普通だと思うんですよ。子ども作ったことないからわかりませんが。


しかしながら生徒の保護者と接していると、親になっても自分の都合を何よりも優先する方々が多い気がします。天音のママンが彼女を仕込んだように、社会に出て笑われないようにする程度の基本的生活習慣を身につけさせるのは親の役目だろうと感じること限りなし。中学に上がっても、鉛筆を正しく持てなければ、箸の使い方もいい加減。掃除をさせれば箒も使えないし、雑巾も絞れない。そのほか、食事のマナーもなってないし、言葉遣いもできないのは、ろくな家庭環境でないことが分かってしまいます。なぜなら、上記のものは後天的なもので学ばなければ身につけることが出来ず、家庭の教育力に資するところが大きいからです。このような社会状況に対し、雄二さんが自分の息子が生まれたら「出来ることを一つずつ身につけさせてやりたい」と抱負を語るところは結構ぐっときました。