天色アイルノーツ「真咲=ガイヤール」シナリオの感想・レビュー

天色アイルノーツの真咲√は人狼獣のペットライフ。
世間的な倫理観から逃れ想いを成就するため、歪んだ道もかまわない。
真面目になりすぎると杓子定規になるのでファジーさも必要だ。
「いい加減っていうのは"良い加減"」とハッピーエンド。

真咲=ガイヤールのキャラクター表現とフラグ生成過程

真咲=ガイヤールは明るく元気系な人狼獣。家業は大衆食堂兼下宿を営み、主人公くんとは大家と店子の関係です。フラグ構築は真咲の父親が盲腸で倒れた所から関係性が深まっていきます。親が不在で自分の居場所であった食堂が休業とダブルパンチを受けてしまい精神的ショックも大きい。このような少女を見て、主人公くんは何とか元気づけられたらと親身に相談をし始めます。親方不在の中、大衆食堂の臨時営業を決め、この作品の舞台となるファンタジー世界では物珍しいカレーライスを提供し、成功をおさめるのでした。苦しい時に手をさしのべられたらそのご恩は一生忘れないものさ。さらに真咲は主人公くんにご褒美の「撫で撫で」をしてもらい、性的に絶頂するのでした。こうして真咲は主人公くんにぞっこんになっていくのです。

しかしながら主人公くんは難攻不落の生真面目キャラです。真咲が正攻法で主人公くんを攻略しようとしても、教師と生徒という倫理観の前には絶望的な壁が立ちふさがっていました。これに対し、真咲がとった方法は「ペット大作戦」。恋人がダメならペットでいいよね?というぶっ飛んだロジックで責め立て、主人公くんもこれを受け入れざるを得なくなります。こうして始まるペットライフ。真咲を一人前のレディにすべく?主人公くんはリーダーウォークやステイなどの躾を着実にこなしていくのでした。そんな歪んだ関係に「人狼獣」という種族問題が加わります。この作品の「人狼獣」は「恋心を封印するともう二度と恋愛感情を抱けなくなる」というのです。

普通なら真咲が卒業するまで待って交際をすればいいのですが、そうすると真咲の恋愛感情が喪失されてしまうという難問に直面してしまいます。この問題の解決方法として提示されたのが「真咲を振って失恋させる」というもの。さすれば真咲は恋心を封印することもなく、再び恋愛が出来るでしょうという展開になります。泣きゲーや鬱ゲーだったらちゃんと主人公くんが男を見せて関係を解消し、普通の恋愛関係ではなく世間からは受け入れられない価値観を肯定するのでしょう。『僕が天使になった理由』では結ばれなくとも寄り添うカタチでの幼なじみ関係で魅せてくれたしね。ですが、ゆるいお気楽ゲーですので、主人公くんと真咲は恋人関係を受容し、親公認を背景にして世間からは秘匿しながら関係保持を図るというぬるい落としどころでかたがつきます。「いい加減は良い加減」とハッピーエンドです。