雑録

天色アイルノーツ「天霧夕音」シナリオの感想・レビュー

天色アイルノーツの夕音シナリオは、「運動部トラウマ克服物語」。
挫折した代償を他者需要願望に求める歪んだ少女を解放せよ。
二人三脚で精神的リハビリを図る。
最後はトラウマ克服し、主人公くんのために頑張るよとハッピーエンド。

天霧夕音のキャラクター表現とフラグ生成過程

天霧夕音は他者に必要とされることを望むメイド気質でヤンデレ風味な女の子。留学生として主人公くんが勤務する学校へやってきましたが、その理由は「現実からの逃避」であったのです。夕音は身体の成長が早く、身体能力を活かして「高跳び」をやってきました。しかし、身体能力に依存したプレーは限界がやってきます。第二次性徴が終わり伸長が伸びなくなると、夕音は思うように記録が出せなくなっていったのでした。それに対して周囲は無責任な励ましの声をかけていきます。それがプレッシャーとなり練習に負荷を掛け過ぎてしまった夕音はアキレス腱断絶。リハビリをして回復するも、高跳びをするのが嫌になってしまいました。こうして逃げるようにして留学をしてきたというわけです。

夕音が過剰な奉仕精神に溢れるのは、高跳びの代償として他者需要願望に自己肯定感を求めたからだと主人公くんは考察します。夕音の過去を知った主人公くんは、何とかトラウマから解放させてやりたいと工夫を凝らすことになるのです。こうして太陽政策が発動します。嫌がる子どもに無理やり勉強させるのではなく、親自身が勉強している姿を子どもに見せる必要があるのですね。こうして主人公くん自身が高跳びにチャレンジしていきます。夕音は当初、渋々練習に付き合わされるのでしたが、主人公くんがあまりにも楽しそうに高跳びをする様子を見て、心が動かされていきます。そしてとうとう自分でも跳んでみることになり、主人公くんの頑張る姿に触発され、トラウマを克服するのでした。

高跳びのトラウマは克服できた夕音でしたが、それでも「逃げ癖」は一朝一夕に直るものではありません。主人公くんへの慕情の気持ちが高まると、夕音は「許されない恋」と思い込んでヒロイズムに走り始めます。「a.自分たちは教師と生徒」→「b.自分が恋心を抱くと教員が迷惑する」→「c.身を引こう」という展開(分かりやすいチャート方式)。そのため、実家で父親が倒れると金銭的な問題を口実にして留学を取りやめ、主人公くんへの慕情を捨てて実家へ逃げ帰ろうとするのでした。主人公くんは「逃げない勇気」が必要であることを説き、奨学金制度を斡旋することで、夕音を説得することに成功し、フラグが成立します。こうして自分の夢のために自分自身で奨学金を勝ち取る作戦がスタートします。主人公くんのトレーナー支援もあり、記録は上々となっていくのですが、留学生の身分では大会に出場できないことが判明。愕然とする夕音でしたが、もう逃げません。実家に帰ることになっても二人の想いは途切れないし、高跳びも続けるよ!!とハッピーエンドになるのでした。