Magical Charming!の感想・レビュー

魔法世界を題材にした娯楽性の強いいちゃらぶキャラゲー
テキストを読みながら「選択肢キーワード」を集めてヒロインを攻略していく。
ワードを使った共通√を攻略すると「ステディモード」でいちゃらぶに入れる。
だが、ここで終わりではなく「世界設定構築」モノとして真ルートが解放される!!
なんと本作品はループ物で、体験版の内容が原始-ZERO-の物語だったのだ。
ループを終わらせるべく、マホーツ界を救うため、大団円で立ち向かえ!
今まで集めた「選択肢キーワード」を使って、謎解き&カードバトル!!

真√概要

真√は物語の世界設定構築を解き明かしていきます。時代は中世ヨーロッパ。かつて魔女狩りが盛んに行われていた時代、オリエッタとイスタリカは双子で生またことにより周囲から偏見を浴びせられて暮らしていました。当時の魔女狩りカトリック教会が資産接収のため行っていた側面もあり、男性も例外ではなく根拠もないものだったのです。しかし、本作の二人はなんと本物の魔法使いであり、迫害も尋常ではありません。オリエッタはイスタリカを守るために仮死状態となり、絶望したイスタリカは桃源郷へ辿り着きます。イスタリカはその桃源郷で、自らを代償にして幻想庭国を建国し、迫害されるであろう魔女たちを保護することに決めたのでした。・・・時は流れ、現代となり魔女狩りの風習は途絶え、近代文明が支配する世の中になりました。同時にイスタリカの魔力も衰退し、それに呼応してオリエッタも目を覚まします。オリエッタはイスタリカの後を継いで幻想庭国を維持するべく修行に明け暮れるのでした。その過程で使い魔として召還されたのが、我らが主人公夏本律だったのです。この主人公くん召還までが体験版の内容で、ループに至る前の原初の物語です。ですが1周目は継承に失敗し悲劇に終わります。この悲劇を避けようと、イスタリカは自己犠牲を決意し、ループの世界が繰り返されることになったのです。こうしてループ世界として製品版の物語に突入するのでした。


製品版では4人のヒロインを攻略していきますが、主人公くんは「クロノカード」と呼ばれるループの干渉を受けないキーワード記録媒体を所有しています。本作品では各キャラには記憶の継承が行われないものの、「クロノカード」によって主人公くんは個別ヒロインごとの並行世界の出来事を記録していくのです。こうしてカードの記憶と違和感を積み重ねることによって、主人公くんは自分がループをしていることに気づきます。そしてループを終わらせるために幻想庭国を滅ぼそうと、各ヒロインを引き連れて世界の謎に挑むのです。ここで立ちはだかるのがサブキャラとして登場していた教師陣たち。真ルートに入るまでアホなテキストの掛け合いをしていたキャラたちが、女王イスタリカのために主人公くんたちと対決する描写は胸が熱くなるな!!個別ヒロイン√で獲得したカードを使って、精霊バトル、しりとり、魔導天秤で対決です。これらの対決見せ場にして散っていく主人公くんのヒロインたち。最後にとうとうイスタリカのところまで辿り着きます。

イスタリカの主張は以下の通り。「当初は幻想庭国をオリエッタに継承させるはずであったが失敗(1周目)。この時主人公くんはオリエッタをかばい存在が消滅させられる。ショックを受けたオリエッタは輪廻の魔法を使って無かったことにした。2周目以降イスタリカは各キャラの記憶をいじり、自分の存在は忘却させ、幻想庭国の継承は行わせず、自分を人身御供とすることで世界を維持しようとした」。自己犠牲で問題を解決しようとするイスタリカに対し、主人公くんはオリエッタもイスタリカも救うと幻想庭国と対決をします。1周目では無様にやられてしまいましたが、2周目以降は周回プレイで培ったクロノカードが存在します。幻想庭国の力の根源となっているのは「人の記憶」。主人公くんにはこれまで培ったオリエッタとの記憶がクロノカードに記録されているではないか!!ということで、想い出攻撃が走馬燈のように炸裂していく展開はBGMと共に思わずのめり込んでしまったね。こうして主人公くんの活躍により幻想庭国は崩壊し、オリエッタとイスタリカの双子を救出することに成功し、ハッピーエンドを迎えます。トゥルーエンド!!

キャラゲーをただのキャラゲーで終わらせない手法としては2パターンあります。一つ目は、個別ヒロインの少女救済後に、社会的な問題に立ち向かわせる方法です。二つ目は、作品の世界観の構成の枠組みの一つとしてヒロインを組み込むことです。本作は後者にあたります。後者の場合は、世界観の謎解きとキャラの協力といった展開で大団円を迎えてすごく盛り上がるのですが、キャラが物語を表現する手段になりさがってしまうという欠点もあります。本作品の真√の世界構築論編はとても面白くて血湧き肉躍ったのですが、正ヒロインのオリエッタ以外が使い捨てパーツになってしまっていて一抹の寂しさも感じなくはないです。個別ヒロイン√はそれこそイチャラブに主眼が置かれており、二人の仲を培っていく「段取リズム」が敷かれているので、それがあまりにも軽くなってしまったなぁと。