2013年発売のノベルゲームを振り返る

2013年に発売したノベルゲームを振り返っていきましょう。
もちろん私がプレイして感想書いたゲームなど氷山の一角であり、名作などを全て網羅できているわけではありませんが、お読み頂ければ幸いです。作品紹介として作品の主題と要旨を把握して全体像を掴めるといいかと思います。

目次

榊原拓、内田ヒロユキ、安西秀明『大図書館の羊飼い』((AUGUST、2013年1月)

小太刀さんゲー。オーガストといったらファンタジー展開。この作品では「羊飼い」という「人類の先導者」が存在しています。小太刀さんはその「羊飼い」になりたくてたまりません。しかしながら小太刀さんは自分の存在証明のために「羊飼い」になろうとしていたので、なかなかテストに受かりません。そんな中、抜群の才能を見せるのが我らが主人公さん。主人公さんは幼少期から周囲の顔色をうかがいながら立ち回らなければならなかったので、本を読み知識を蓄え、人間の行動について学んできました。その知識を生かして攻略ヒロインズたちの悩みを解放し少女救済していくのです。そうして最後は小太刀さんも解放。少女救済をする過程を通して主人公くんもまた特定の個人を愛するココロを学び、自己肯定が出来たのでした。佳奈すけこと鈴木佳奈さんがいいキャラをしています。


 

J・さいろー , 秋史恭 , 姫ノ木あく『プリズムリコレクション』(Clochette、2013年2月)

キャラゲー。個別√ライター頑張れ。近未来ユビキタス社会でタブレット端末を駆使して「観光案内部」を展開します。個別√では産業スパイの軍事工作大作戦を読まされることになるのですが、ご都合主義展開も多く、シナリオは結構残念な出来。個別テキストでは「長期記憶を保持できない妹」が情報端末を利用して、知識の整理・体系化を図る手法は結構参考になり、日常生活でも使っています。キャラゲーから抜きんでるためには、キャラを通して社会的な問題を描かなければなりませんが、描けなかったという出来です。


 

那倉怜司『僕が天使になった理由』(OVERDRIVE 2013年、2月)

シナリオゲー。男女間の情愛に否定的な主人公くんが、恋愛を成就させようとする天使を客観的に眺めていきます。ハッピーエンドでは到底終わらず、ビターな感じがとてもいいです。特に幼馴染みシナリオでは、恋愛感情を抜きにした男女関係の在り方が提示されています。最後は地球構成論にまで辿り着き、主人公くんがメインヒロインを救うため、自己犠牲となります。主人公くんとは関係のない男女関係をいくつか見なければ鳴らないので途中でだれますが、個別は良い感じです。


 

嵩夜あや『木洩れ日のノスタルジーカ』(STREGA 2013年、2月)

SF未来形ラノベ的映画ゲー。アンドロイドと人間が共存する世界。数百年の時を経て復活した古式アンドロイドの「しねま」は20世紀の映画を投影するアンドロイドでした。『英国王のスピーチ』や『炎のランナー』など世界史専攻者はワクワクするような映画を引用しながらシナリオは進んでいきます。アンドロイドと人間の共存などがテーマとされており、謎解きやアクションなどもしっかりと描かれていたと思います。


 

J・さいろー(夏咲 詠) , 藤倉絢一(鷺月 ルカ) , 紺野アスタ(野々原 雛桜) , 黒田カイエ(朧白 金剛石) 『向日葵の教会と長い夏休み』(枕 2013年、3月)

田舎・民俗学・家族愛を描いた夏ゲー。金剛石√はイマイチなのですが、詠シナリオと雛桜シナリオはしっかりと作り込まれています。詠シナリオでは「病弱少女が死ぬ死生観」「輪廻転生と魂の行方」「どうして猫が人間になれないんだ」という哲学・民俗学的要素がてんこもりで狂喜乱舞です。詠はキャラクター表現も可愛いし良い感じです。一転して「孤児と家族愛」をテーマにしているのが雛桜√で「父と娘になる」家族愛と男女の情愛への関係性変化が丁寧に構成されています。


 

長谷川藍『百花繚乱エリクシル』 (AXL、2013-04-26)

地方領主の放漫財政を立て直せ!田舎×ファンジー×領地経営モノ。主人公のジミーくんのキャラがたっており不器用ながらも実務官僚スキルを駆使していく姿は心躍るものがあります。経営の「け」の字も知らないおぼこ娘を支援して、特産品を作り殖産興業に励んで税収が取れるように励んでいきます。地域住民との交流やキャラの掛け合いも面白いです。しかしながらファンタジー展開で流通問題を解決したりご都合主義なところも多いところが微妙かもしれません。


 

葉山こよーて『ChuSingura46+1-忠臣蔵46+1』(inre 2013年、5月)

歴史物シナリオゲー。赤穂事件を題材にした忠臣蔵のキャラクター達を女体化して吉良上野介を打ち倒せ!!三国志を題材にした恋姫無双は中身スッカスカだったので歴史物は少し倦厭していたのですが、忠臣蔵はシナリオが作り込まれていてとても面白かったです。江戸時代にタイムスリップしながら時代の差異に戸惑いつつ普通に忠臣蔵をする大石内蔵助編、赤穂浪士を救出しようとするも歴史改変に挫折する堀部安兵衛編、ループに絶望した主人公くんが再び立ち上がる大石主税編、吉良家の末裔が上野介を擁護するため歴史改編に挑んで挫折する清水一学編、赤穂浪士たちが実は死なないで日本を防衛するグランドエンド編と楽しめます。世間の評価では大石主税編までが最高潮とのこと。確かにグランドエンドは蛇足感があるかもしれませんが清水一学編の赤穂事件の解釈は結構好きです。


 

ルクル『運命予報をお知らせします』 (ヨナキウグイス) (2013-04-26)

幼少期に好いていた女に振られ歪んでしまった主人公くんが鬱屈した日々から立ち上がり、再び関係性構築を目指すはなし。このように書くと『恋×シンアイ彼女』と構造がそっくりだわな。しかしながら、本作のみどころは何と言ってもフラグクラッシュゲーであるということ。ラスボス?である過去の女に辿り着くためには、主人公くんを支えるサブヒロインたちとのフラグを折らなければならないのです。それはもうバッキバキに。その先にようやく過去の女に辿り着くのですが、ここからも一筋縄ではいかず、過去に歪められてしまった感情と疑心暗鬼の呪縛からの解放が必要となるのです。ここで一際輝く活躍を見せるのが、主人公くんの親友系ヒロイン。『キミのとなりで恋してる』の親友ヒロインのごとく、主人公くんの幸福のためにならば自分との恋が実らなくても構わないと無償の愛を注ぐのです。こうして2回振られた主人公くんがみたび立ち向かう強さを与えるのでした。絶対に攻略できないからこそ、印象に残るキャラクター表現なのですね。アガペー


 

藤崎竜太 他『グリザイアの楽園』(FrontWing 2013年、5月)

グリザイアの果実』シリーズの完結編。なんだかんだ言って面白い。前作までは説教ゲー風味もあり教育心理学的要素も多分に盛り込まれていますが今回はアクション活劇が前面に押し出されています。前半部分は第1作で雄二さんに救われたヒロインズたちが第2作で拉致られてしまった主人公くんを助けるために立ち上がります。実は死んでいなかった一姫お姉ちゃんに率いられ、総力戦を展開。後半戦は救出された雄二さんが過去を乗り越えるためにテロリスト組織に戦いを挑みます。終局部では『装甲悪鬼村正』的な選択肢も登場し、世界を維持するための戦争を行う戦争屋エンドにも入れます(結構こっちも好き)。グランドエンドでは雄二さんが少女を解放するための無人島に移り住み、楽園を建設しました!ということでタイトル解題『グリザイアの楽園』となるわけです。


 

てつじん , しげた , 二葉つばさ , 冬茜トム『Magical Charming!』(Lump of Sugar 2013年、5月)

周回しながらカードを集めて選択肢を増やしていき様々な反応を楽しめるキャラゲー。個別√だけでもキャラクター表現が可愛くてクリックが進みますが、世界設定考察系までシナリオを深めているところが大変面白いです。カードの集め方次第では、生徒会選挙で成り上がり学園の支配者ハーレムエンドも見られます。構成が上手くできており、体験版が1週目の通常世界、製品版のキャラゲー部分が夢世界における周回√、グランドルートが世界設定を解き明かすという3段階になっていて伏線回収も面白い。グランド√ではいままで集めたカードを使用しながら世界の管理者である学園の先生方とのバトルとなるのですが、魔導天秤にはまいったね。そんなわけで良くできたキャラゲーだと思います。


 

衣笠彰梧『レミニセンス』(てぃ〜ぐる 2013年、5月)

衣笠さんのシナリオは『こんぼく』からやっています。衣笠さんの作品は挫折を経験したor凄惨な過去を持つ主人公くんが格好いい。しかしながら『暁の護衛』の分割商法もありましたが、ヒロインを攻略するシナリオは微妙なんですよね。『レミニセンス』も例外ではなく、凛と希望のシナリオは必要があったのだろうか。そしてすさまじい「あのね商法」が展開されます。伏線回収をしたければ続きを買ってね!!続きが気になります。


 

サイトウケンジ、代瀬涼、深山ユーキ『月あかりランチ OZ sings, The last fairy tale.』 (EX-ONE)

思念体セカイもの。交通事故で死んでしまった主人公くんを想うメインヒロインが、異世界において未練を抱えたものたちと共に、魔女のセカイへと召還されます。主人公くんは自分が死亡した記憶を喪失しており、教員として各ヒロイン達の未練を解決していくことになります。この魔女界は魔女として現実を歪めてしまう可能性のある少女たちを浄化する機能を有しており、主人公くんが少女を救済すると元のセカイへ戻ってしまうというビターエンドな展開が待っています。最終的に記憶を取り戻した主人公くんは既に死んでいるため、魔女界で少女達を救済し続ける道を選ぶのでした。


 

渡辺僚一『なつくもゆるる』(すみっこソフト 2013年、6月)

世界の終末を扱った未来形SF。太陽系の消滅に際して形而上学的存在である思念体となってしまった人類が、「体」を残すために2000年代初頭の世界で再チャレンジ。ループを繰り返しながら主人公くんの可能性を広げていき、世界の謎へと辿り着きます。生物部で食物連鎖を実験する描写やミステリーホラー系謎解き、アクションバトル、世界設定考察と様々な仕掛けで読者を楽しませてくれます。生物部の描写はどれも面白いテーマとなっており、これ単体でも読む価値があるかと思います。


 

海富一 他『双子座のパラドクス』(コットンソフト 2013年、6月)

並行世界を行き来しながら世界の破滅を防ぐSF。異世界へ飛んでしまった学園を探索するミステリー描写は少しだれるのですが、1930年代アメリカの原爆開発シナリオから一段と面白くなります。兄弟の間で好いた女を取り合う醜い盲愛や並行世界を跳躍して世界の破滅を防ぐ展開は熱くなります。また双子の兄弟が実は双子ではなく、並行世界から飛んできたもう一人の自分という設定もなかなか作り込まれていたと思いました。


 

J・さいろー , 鏡遊 , 天宮りつ , 紺野アスタ『天色アイルノーツ』(ゆずソフト 2013年、7月)

挫折した社会科教師がファンタジー世界で再チャレンジして少女救済に成功し、本当の教師になるはなし。社会科教師が少女救済と書くと『遙かに仰ぎ、麗しの』。なんで舞台をファンタジー世界にしたんだ?と思わざるを得ません。さすがにメインのシャーリィー√はよく描かれていて、挫折した主人公くんが過去のトラウマを乗り越えるシーンでは思わず手に汗握ってシナリオを読んだ記憶があります。各個別√のシナリオの出来の差がバラバラで共通√と個別√で愛莉なんかは人格崩壊しています。あと、ファンタジー世界の核となる世界設定を扱える木乃香√がオマケ扱いです。残念。


 

元長柾木ギャングスタリパブリカ』(WHITESOFT 2013年、7月)

思想対立を扱った哲学ゲー枠。第一部はダラダラとした日常描写に耐えなければならないのですが、本番は第二部から。ヒロイン達が自分の思想信条を引っさげて、その他ヒロインと思想対決を繰り広げます。これが中々面白い!日本人的感覚すると、自分の意見を他人と戦わせるのは良いこととされていません。周囲の空気を読んで協調することが求められるのですね。しかしそんなぬるいおざなりな人間関係は本当の人間関係だと言い得るでしょうか。福沢諭吉が議会の討論を見学した際と同じ感覚です。自分に思想・信条があり、それが他人の価値観と違うというのなら、根拠を示した論理性を駆使して相手と納得いくまで言論をぶつける必要があるのです。それが本当に他人と付き合うということだと!!


 

飯田和彦『グリムガーデンの少女』(COSMIC CUTE、2013-07-26)

少女救済モノ。異能を保持したが故に社会から排斥されてしまった少女たちを監督官となって救済する。黒髪ルートとグランドエンドは良くできているが腐女子と陸上部は少しだれる。俺ツエーな主人公くんが異能者を忌避しているわりにはヒロイン達の異能をあっさりと受け入れる。あっさり。主人公くんは妹が異能者に襲われたため復讐として犯人を追っていたが、主人公くんは記憶操作されていて、妹は双子であり妹Bが犯人だったというオチ。作品のテーマが「再チャレンジできる社会を要求」という挫折系立ち直りモノなので、未来を求めて現在をあがく姿は励まされる。


 

王雀孫・森林彬・東ノ助・真紀士『乙女理論とその周辺 -Ecole de Paris-』 (Navel) (2013-07-26)

つり乙のバッドエンドからりそな√に繋げるりそなゲー。りそな√は資産家の家督継承争いとパリにおける服飾専門学校の様子が本当に丁寧に描かれていて、異母兄妹の絆をひしひしと感じる良作です。また兄;衣遠お兄様に対して遊星が無償の愛を捧げて和解するシーンは名場面であり一見の価値あり。三兄妹が和解し、一致団結して服飾コンテストと大蔵家継承問題に臨む展開は思わず熱くなります。またりそなは遊星が女装化した朝日に対してではなく、長年異母兄である遊星に長年思慕の念を示してきたため、一層思い入れも深くなるというものです。このようにりそな√は間違いなく名作と言えるでしょう。だがしかし、『乙女理論とその周辺』というタイトル通り、メインヒロインであるりそなシナリオ以外は本当に周辺です。特にエッテ√は本当に数合わせ感が強いだけでなく、りそな√で丁寧に描いた諸問題をあまりにもアッサリと解決してしまうため、作品の雰囲気を台無しにしてしまう危険性を孕んでいます。(エッテ√いらなかったんじゃね?)あとエッテもメリルも女装化した朝日を通して遊星を好きになっているのであり、遊星自身の存在がないがしろにされていることは少し悲しいですね。まぁ『つりおつ』のルナ様√におけるフラグ構築もそういった傾向がありますが・・・。


 

北川晴 , 吉川芳佳 他『星ノ音サンクチュアリ』(ま〜まれぇど 2013年、8月)

学園異能バトルが展開されるキャラゲー。指揮系統を司る参謀系主人公くんが頭脳を使ったチーム戦で強敵を撃破する体験版までが一番面白いです。おそらくラノベの「劣等生」が意識されているのでしょうが、世間からは評価されていない、特異的な異能を保持する主人公くんが知恵と工夫で薙ぎ払っていくというシュチュはやっぱり面白いなぁと。日本人は寡兵で大軍を撃破するのが大好きなので、こういった展開になるのでしょうが。個別に入ると物語は失速し、ご都合主義三昧なキャラゲーと堕してしまうのが残念なところ。


 

瀬尾順 , 砥石大樹 , 御厨みくり 他『カルマルカサークル』(SAGA PLANETS 2013年、9月)

人間関係に挫折した少年が仲間と共に7つの呪いを解除するお話。過去を作り変えられる天球儀の野望を打ち砕くため、仲間を率いて大団円。家族関係がうまくいかず、憤怒の呪いで暴力者のレッテルを貼られてしまった主人公くん。傷心を抱いて田舎に戻ると、ココロを殺してひっそりと暮らしていました。諾々と現状を甘受しているものの、それに納得しているかと言われればそうではない。ヒロイン達が抱える問題を解決しながら、主人公くんが再び立ち上がるパターンは結構好き。惜しむらくはシナリオによってかなり出来に差があること。サブヒロインの夕姫羽シナリオの方がメインヒロインのニコルよりも面白い。


 

科 ほか『BALDSKY Zero』(戯画 2013年、9月)

未来における戦時下の東南アジアを舞台にしたSLG的なロボットバトル。1周目死にまくりで次のステージに進めず何度コンテニューしたことか。3Dのロボットバトルでドンパチやったのも面白かったですが、舞台が東南アジアというのもいい。近未来な雰囲気に交えて戦時下のエスニックな風景が描かれていて、とてもワクワクしました。薬物中毒になった敗残兵や兵士を生産するための人間牧場、人間そのものを庇護されるべき家畜として扱う家畜論などシナリオのテーマも魅力的。しかし、マレル√がなく伏線が回収されません・・・。


 

柊☆たくみ , 狩野伊太朗 , 陸奥竜介他『小さな彼女の小夜曲』(feng 2013年、10月)

夏休みの喫茶店を舞台にしたキャラゲー。キャラは可愛いがシナリオは・・・。どこかで見たことのあるようなパターン展開とテキストが組み合わされているだけのようにも感じます。ネタにはことかかず、ワケアリモトカノ√でメインヒロインの汐音さんが盛大に失恋したり、『中二病でも恋したい』が流行ったので量産されたヒロインがいたり、民俗学を扱うと見せかけてご都合展開に終わるブルジョワ階級√などがあります。汐音さんはとても可愛い。


 

高嶋栄二 , なたけ , 八璃『ココロ@ファンクション』(PULLTOP 2013年、10月)

近未来においてタブレット端末が普及されたユビキタス社会の学園モノ。人間関係におけるコミュニケーションがテーマとなっており「友達幻想」や「スクールカースト」などにも触れられている。ある日、タブレット端末にアンストできないアプリがインストされてしまい、様々な問題が生じてしまいます。生徒会長であった主人公くんはエロ妄想が垂れ流されるようになり、その地位を失脚。過去に人間関係にトラウマを持つヒロインズたちと協力しながら、謎を解き明かしていきます。


 

サイトウケンジ , 三日堂 , 深山ユーキ『HHG女神の終焉』(ういんどみる 2013年、11月)

コードギアスが流行った時に描かれた社会反逆系主人公くんの物語の続編。今回も主人公くんは社会に対して反逆を目指すのですが、目的は「世界箱庭論」からの解放運動がメインになっていきます。多元宇宙設定により、いくつもの世界があるという世界観で、主人公くんは前作の世界線Aから本作の世界線Bへとやってきます。世界線Bは「歴史の超越者」である「女神」が自由に世界を書き換えられるという設定です。主人公くんはヒロインを攻略しながら世界線BにおけるB-1,B-2,B-3といった並行世界を構築していきます。これらの並行世界のヒロインズたちが力を合わせ「歴史の超越者」を打ち倒し、世界線Bを解放します。こうして主人公くんは前作の舞台である世界線Aと舞い戻るのでしたエンド。


 

大三元 , 志村那由多 , 瀬戸涼一『まじかりっくスカイハイ』(Whirlpool 2013年、12月)

キャラゲー。メインヒロイン以外のシナリオが残念すぎて、「ライターさんもっと頑張って!!」と熱いエールを送りたくなります。サブタイトルが「空飛ぶ箒に想いをのせて」なのに、メインヒロイン以外のシナリオで全然空を飛んでいない。物語の目的は、「魔法で空を飛べなくなる現象を解決する」ことと「主人公くんが魔法の箒の所有者である資質を周囲に認証させる」ことだが・・・「主人公くんがガキすぎる」「主人公くんが特に何もしない」「ご都合主義展開」と三拍子揃っており、とっても残念。『12の月のイヴ』は12月に出ないし、『世界と世界の真ん中で』も1月に延期になったので、12月の新作として買ったのだが・・・。