ココロファンクションの朝顔ルートは「友達幻想」。
友達に裏切られてヒッキーになってしまった妹を社会復帰。
「友達」とは何かについて考え、うまい距離感の人間関係を構築せよ。
コミュニケーションツールが発達した時代の人間関係をうまく扱って面白かったですよ。
速見朝顔のキャラクター表現とフラグ生成過程
速見朝顔は不機嫌デフォルト、ヒッキーでお兄ちゃん大好きなツン妹です。物語の前半は「如何にして朝顔はヒキコモリになりしか？」が語られていきます。朝顔は元々内向的な性格であり、積極的に友達を作るタイプではありませんでした。ですが中学時代に自分に話しかけてくれる女子たちがいたのです。ぼっちな朝顔にとって、それはとても嬉しいことでした。しかし、その女子たちは朝顔が所有するＩＴスキルが目当てだったのです。それでも自分の能力を頼られることは嬉しいもので、惜しげもなく技術を使って上げました。しかしある時、友達だと思っていたら完全に裏切られてしまったのです。下心満載で朝顔に近寄ってきた女子は、自分の欲望の達成のために朝顔に犯罪教唆をし、朝顔はそれを実行してしまうのです。当然朝顔は補導されるわけで、その際友達だと思っていた女の子たちは一斉に朝顔に向かってこんな奴友達じゃない、無関係だと言い放つわけです。友のためにと身を削った朝顔は精神崩壊→人間不信になってしまったのです。こうして朝顔は兄にだけ心を開くようになってしまったのでした。
お兄ちゃん大好きな朝顔はツン妹として振る舞っていましたが、好感度マックスなわけで義妹関係変化があってフラグ成立。近親相姦の禁忌を犯していることは周囲に黙っておこうと約束する二人でしたが、ここからが面白くなるところです！！！ぶっちゃけ、ここまで「あー、いつものいもうと関係性変化ね−、はいはいキャラクター消費」とか思っていたのですよ！！ですが、「友達幻想」を上手くテーマにして内容を持たせているので深みがあります。朝顔が近親相姦を隠したことというのは友達に嘘をつくこと、つまりは友達を裏切る好意に該当するのではないかとの問題が提示されるのです。朝顔は友達に裏切られて傷ついたわけですが、その裏切るという行為を今度は自分が行っているのだと糾弾されるのです。そのため、「友達とは何か？」という命題に答える必要が生じてくるのですね。朝顔は兄に支えられながら友達を信じてつながりを保つという結論に辿り着きます。
友達でいることを諦めたから。友達から逃げ出したから。朝顔は友達に絶望し、そこに俺が手を差し伸べることで、結局、人との関わりを閉ざしてしまうことに力を貸してしまった。でも俺はある意味間違っていたんだな。朝顔を励まして、そっと背中を押してあげるべきだったんだ
すれ違って、傷つけ合って、それでも一緒にいることを選んで。人はどうあっても一人では生きていけないから。どんなに強がっても、どんなに否定しても、それだけは変えられなかった。そう、私たちは一人だから一人では生きてはいけない。貴方が居るから。貴方が生きているから。この残酷すぎる世界で支え合いながら助け合いながら生きていくことができる。
俺たちは一人で、だからこそ一人じゃない。時に傷つけあい、誤解し合い、迷うことだってあるだろう。でも、それは人である限り、決して避けることはできない。だから俺たちは自分を信じて、相手を信じて、友達だと思うことで、絆を保ち続けるんだ。決して諦めなければ、そのつながりは途切れない。こうして触れ合っていれば、それだけで十分伝わることもある。コミュニケーションの方法に、きっと正解なんてないんだ。
こうして、再び人間を信じようと思った朝顔は立ち上がる強さを得て、人間関係を構築し始めるのでした。ハッピーエンド。
