百花繚乱エリクシル各個別√の感想・レビュー

中央から地方に派遣された役人である主人公くんに現地妻を娶らせ定住化させようとするはなし。
そのために各ヒロインが立候補し、様々な手段で主人公くんを籠絡しようとする。
しかし妻帯の禁止を忠実に守り、恋愛については諦めきっている主人公くんのガードは堅い。
果たして各ヒロインは主人公くんを僻地の指導者として定住させることが出来るのか!?
キャラとしては主人公くんを支えるアンドロメダが一番グッとくる。
シナリオはご都合主義展開にならずに信条を貫いたバジル√が特に面白かったかな?

アンドロメダ


  • アンドロメダがいないとダメなんだ!
    • アンドロメダ巡察使である主人公くんのサポート役を務める護衛使です。巡察使は飲酒・妻帯などが禁じられておりました。たとえ、それが形骸化したものだとはいえ、堅物の主人公くんは規則を守り通そうと決意していました。そのためアンドロメダは自分が主人公くんと結ばれたいという想いと、仕事に励む主人公くんをサポートし続けたいという気持ちで葛藤することになります。そんな折り、アンドロメダに昇格の話が持ち上がり、主人公くんの下を離れる可能性が出てきます。主人公くんはアンドロメダのためを思い、昇格を祝福するのですが、それは主人公くんのもとに居たいと願い続けていたヒロインの気持ちを踏みにじるものでありました。複雑な感情を抱いたアンドロメダは自分の存在を分からせるために主人公くんの下を出奔します。主人公くんはアンドロメダのありがたみを失ってはじめて気がつきます。しかし頑固で堅物な主人公くんは意地でも自分の信念を貫き通し、過労死寸前まで働き続けるのです。愛する者の不在を嘆きながらも、働き続ける主人公くん。その姿をヒロインが見せつけられることによって、心が動かされるという表現技法ですね。こうして二人はお互いがなくてはならないものだと気づき、フラグが成立するのでした。



  • 不正な専売流通問題を解決せよ
    • フラグ成立後は、村の特産品を帝都で流通させるために、不当に専売されている商品の取り締まりを行うことになります。しかし、ここでアンドロメダに呪いがかけられてしまうのです。主人公くんを一生護衛使として支え続けることを決意したアンドロメダでしたが、自分が子どもを孕んで幸せに暮らすという幻想を抱いてしまうのです。この心の隙に付け込まれて洗脳されたアンドロメダは主人公くんたちを窮地に陥れることになってしまいます。専売品を取り締まるためにために工場に潜入した主人公くんたちでしたが、実はそれは罠で主人公くんたちをおびき寄せ抹殺するためのものだったのです。ヒロインを庇って死に至る深い傷を負ってしまう主人公くんでしたが、それはホレ、ご都合展開というやつさ。仲間のパワーで窮地を脱します。こうして不正専売を取り締まることに成功した主人公くんに、アンドロメダは自分の葛藤を吐露してケジメをつけるのでした。全てを許した主人公くんは、巡察使を引退したあかつきには一緒に暮らそうと約束をします。巡察使として辺境の領地を次々と立て直した主人公くんは、引退後、アンドロメダと定住して老後を暮らしましたとさ。ハッピーエンド。

マーガレット√


  • 無能な領主代行
    • マーガレットは辺境領の娘で、領主代行を務めています。しかしながら領地経営はうまくいっておらず、帝国に納税せず不作の時には飢餓に至るまでの状況だったのです。当初主人公くんは領主が腐敗し脱税と収賄を重ね領民を搾取していると推測していましたが・・・ところがどっこい!なんと領主が無能なだけだったのですね。主人公くんは現実を知り、領地経営のイロハをマーガレットに叩き込んでいきます。農業指導と耕地整備を行って生産量を増やし、流通と商業を盛んにして貨幣獲得を狙い、地方特産品を売り出して町おこしをしていきます。親身に寄り添って真剣に辺境のことを考えてくれる主人公くんにマーガレットの好感度はうなぎのぼり。ですが、主人公くんは妻帯が禁止されている巡察使の身分。さらに経営を立て直したら次の領地に転勤しなければなりません。主人公くんもマーガレットに惹かれていく一方で、仕事にも誇りをもっていたため葛藤することになります。このことがすれ違いを生み、マーガレットは適当な男性と婚姻関係を結んでしまおうとするのですね。


  • 巡察使の辞任に対する葛藤について
    • 愛する女を喪うという危機に陥って初めて主人公くんは結論をくだします。自分の使命は帝国に貢献して孤児の自分を育ててくれた皇帝陛下の恩義に報いること。それには巡察使にこだわる必要はなく辺境領を豊かにすれば帝国が栄えることに繋がると。こうして、巡察使を辞任しマーガレットと結ばれることを選ぶのでした。見事、結ばれた主人公くんとマーガレットでしたが、社交界で腐敗した貴族たちから嘲笑を受け忸怩たる思いを余儀なくされます。有能な巡察使であった主人公くんが辞任すれば、自らの汚職を取り締まることはできまいと愚弄するのです。ですが☆ここでご都合主義が発動し、皇帝陛下の鶴の一声!巡察使の妻帯の禁を廃棄する勅令をだし、主人公くんが巡察使を辞めずに済むようにしてくれたのです。領主代行をしていたマーガレットはパパの病気が快復に向かい、自由を得ました。こうして主人公くんはマーガレットとアンドロメダを率いて帝国内を巡察し、帝国の中央集権化と発展に力を尽くしたのでした。

カトレア√


  • 流浪の民カトレア
    • カトレアはあららうふふなお姉さんキャラ。しかし年齢の話になると激怒します。それには理由があって、カトレアは不老の魔女の末裔だったのです。本当のことがバレれば魔女狩りにあうため、カトレアは素性を隠し通すため流浪の生活を余儀なくされていました。そのため村人たちと交流を持ち仲良くしていても、いつかは別れなければならず、本当に心を解きはなてる相手は存在しなかったのです。そのため深い孤独を感じていました。そんなカトレアの心の隙間を埋めてあげればフラグは成立さ。主人公くんは持ち前の論理的思考を駆使し、カトレアの正体を突き止めます。孤独と戦いながらも気丈に振る舞い、いづれは別れることになる別離の悲しみを抑えて明るく生きようとしているカトレアに心動かされていきます。


  • 魔女狩りのトラウマを解放せよ
    • こうして懇ろな仲になる二人でしたが、残された問題がありました。それは僻地の領地開発に成功する要因となった特産物の霊薬についてです。霊薬は魔女であるカトレアしかと作れないのですが、魔女であるカトレアは定住できないのです。この問題を解決する方法が、薬草栽培による領地開発。カトレアの魔女スキルにより古代文明を調査した結果、失われた薬草栽培の技術が発見されます。この技術を利用して開墾を行い領地開発を行うのです。順調に開墾が進んでいくのですが、突如、怪我人が発生。地方領主の娘と歌姫が馬に押しつぶされ命の危機に直面します。魔女の秘薬を使えば彼女らの傷は回復するのですが、カトレアは自分が魔女だとばれることを恐れて、葛藤します。このトラウマを解放するのが我らが主人公くんで、どんな状況でもカトレアを支え裏切らないと誓うのでした。カトレアは魔女で流浪の民であり、主人公くんは妻帯が禁止され帝国各地へ派遣される運命にあります。これらが好条件となって、結婚はしなくとも側に寄り添って生きてくれ!!的な展開になりハッピーエンドを迎えます。

バジル√


  • 挫折して打ちひしがれたとしても
    • バジルはちょっと強欲な教会のシスター。巡察使である主人公くんを利用して利益を啜るために接触してきます。しかしバジルががめつくなってしまったのには分けがあったのです。バジルの実家は貧困階層で口減らしのために娘を教会に入れたのです。たゆまぬ努力の結果バジルはめきめきとシスターとして台頭していくのですが、実家からの資金援助も無く賄賂をろくに送れないため、出世できずにぐずぐずする結果になってしまいます。そんな折、バジルの才能をやっかんだ連中により、辺境領に左遷されてしまうのでした。辺境でも土民たちとなじむことが出来ず、日々孤独を堪え忍び、蓄財と中央に返り咲くことだけを夢に生きることになったのでした。そんなバジルを変えることになったのが主人公くんの存在です。不正を正したために帝都から左遷された主人公くんはバジルと同じような境遇。しかし主人公くんは寒村を立て直そうと持てる限りの力を尽くして領地経営を行っていきます。頑張る主人公くんの姿はバジルを感化させていきます。


  • 査察官シスター問題と閨の営み
    • 当初バジルは主人公くんを利用することだけしか考えていませんでした。そのため自分の手駒とするために、主人公くんが好きそうな教会の文献を餌にして足繁く通わせることに成功します。ですが、主人公くんとの交流により、気がついたらバジル自身が夢中になっていたのです。そこへ教会からの査察問題が勃発します。折角土民たちが復興させた辺境領が教会領として寄進されそうになるのです。今まで自分の力だけで全てを解決してきたバジルでしたが、ここで初めて心から主人公くんを頼ることになります。教会領にするよりも地方領主の経営改善の方が領地の安定に繋がることを客観データを示しながら説明していくのですが・・・。バジルのシスターとしての器を示すために、主人公くんとの夜伽を査察官シスターに見せつけることに。大まじめに閨房の様子を査察されます。


  • 教会と領主の団結
    • こうして嬉し恥ずかしライフを送ることになるのですが、バジルに仕えていた見習いシスターが悪霊の呪いにかかってしまいます。毎日性交に励む二人のために滋養強壮となる薬草を採取しようと森に入ってしまい、眠り病に犯されたのでした。悔恨を味わうバジルでしたが、領民が一丸となってリリーの呪いを解くために動いてくれることになりました。今まで険悪だった地方領主代理のマーガレットからは宝剣の使用まで提供されます。バジルの祝福を受けたマーガレットの剣を使ってアンドロメダが除霊に成功します。領民と一体となり問題を解決していく様子は査察官にも伝わり、無事教会領となることを防げたのでした。閨房術テストは査察官シスターが学生時代にギャグで作ったものであったということを知ってバジルが恥ずかしがる展開は少しニヨニヨしてしまった。


  • 好きだからそばにいないといけないということはない
    • 査察官問題解決後、バジルに待っているのは主人公くんとの別れ。寂しさ故に引き籠もるバジルでしたが、領民達の手助けで最終的に和解。巡察使を辞めようとする主人公くんに対して、バジルは自分の夢を語ります。その夢とは帝国全域における貧困対策。奨学金制度や社会福祉を充実させ、出自で未来が決まることのない世界を作りたいと熱弁をふるいます。安易に巡察使を辞めさせないところがステキです。「結婚だけが全てではない。恋や愛にはきっと色々なカタチがあって良いと思うんだ。好きだからそばにいないといけないということはないだろう?」。主人公くんは巡察使として帝国の開発に従事し、バジルは辺境領の孤児院を足がかりに福祉政策を実現させていきます。こうして二人はお互いを想い合うカタチで愛を育んでいくのでした。

ジャスミン


  • 田舎の村娘、帝都の歌姫を目指す
    • ジャスミンは辺境領に属する村長の娘。領内の若者の中では一番の年少であり、周囲のお姉様方から妹分として可愛がられて育ってきました。数年前に派遣されていたシスターから聖歌指導を受けており、歌唱力は抜群のもの。辺境領の復興祭でも大活躍し耳目を集めることになりました。そんなジャスミンは主人公くんに釣り合えるようになろうと、帝都の歌姫を目指します。前座をこなしつつも着実に頭角を現し、ついには歌劇場で公演できるようにまでなります。そんなジャスミンを主人公くんは陰に日向に支えるのですが、ヒロインが出世し自分の手から離れてしまうと一抹の寂しさを覚えるのでした。そんな折りジャスミンに魔の手が迫ります。なんとジャスミンは大貴族子弟に目をつけられ性的奉仕を迫られるのです。拒否すると強姦されそうになるのですが、寸前のところで主人公くんの助けが入り、危機を逃れます。こうしてお互いの想いを知った二人は結ばれるのでした。


  • 大貴族子弟との戦い
    • しかしながら大貴族子弟の介入は続きます。自分の権威とカネで何でも思い通りにしてきたボンボンにとって、平民にコケにされたことは著しくプライドを傷つける結果になったのです。そのため、ジャスミンがついに勝ち得た帝都劇場での主役の座を買収してしまうという暴挙に出ます。これに対し主人公くんたちはゲリラライブを決行し、大貴族子弟が主催した舞台を閑古鳥にしてしまうのでした。ブチギレた大貴族子弟は主人公くん一行に襲いかかり、親の七光りで何でも思い通りに行くことをペラペラとしゃべります。この結果、大貴族子弟は言質を取られることになり汚職と腐敗も明るみされたあげく、パパからも叱責と社会的制裁を食らうことになり、問題は解決します。そして物語は終結部分へと移行。次の巡察地が危険な土地であることを知った主人公くんはジャスミンを置いていこうとします。しかし、ジャスミンは主人公くんのために歌を歌ってきたのだと随行を希望。紆余曲折を経て、願いを叶えたジャスミンは主人公くんの傍らに侍り、巡察先で僻地の人々を歌で和ましていくのでした。