Clover Day's(体験版)の感想・レビュー

スーパー幼なじみタイム・漫才系テキスト・ノスタルジック過去回想ゲー。
攻略対象は全員幼なじみ。時を経て成長して関係性が薄れてしまった友人達。
人は変わらずにはいられないです。でも変わらないものあるはずです。
不易と流行ってやつだ。失われてしまった友情を今、取り戻す!!
体験版は幼なじみ達が関係性を回復させるところまでプレイできます。

主人公くん:孤児で養子の苦労人

  • 主人公くんはイギリス人と日本人のハーフ。現在編では明るくノリのいい好人物を装っています。ですが内面では思慮深く、過去のトラウマと葛藤し人間関係の維持に心を砕いているのです。主人公くんは幼少の頃、イギリスの孤児院に入れられ、アジア系の血筋を引いていたために周囲から排斥されていました。そんな主人公くんでしたが修道女の躾を良く守り、辛くても前を向いて笑顔で生き抜いてきました。愛想よく丁寧な物腰が良かったのか、とある日本人貿易商の目に留まり、養子となって日本にやってくることになりました。しかし日本でも主人公くんは苦労します。貰われた先は父子家庭で義妹の二人は父親に懐いておらず、主人公くんにも敵意むき出し。学校へ行っても英語しか話せないのでイジメの対象となってしまいます。なんと苦労人な主人公くんであることよ。
  • 主人公くんは貰われた家庭から追い出されたら他に行き場がないので精一杯努力していきます。頑張る主人公くんの様子は周囲を感化し、手を差し伸べてもらえたのです。こうして主人公くんは仲間たちと深い友情パワーで結ばれました。時は流れ、幼なじみたちはお互いに個人の目標を持ち前に進んでいきます。年がら年中常に一緒というわけではなくなります。CLANNADの渚も言っておりました「人は変わらずにはいられないです」。しかし、主人公くんは言います「変わらないものもある」と。主人公くんは再び、友情パワーを取り戻すべくレクリェーションを計ります。これが体験版の主な内容。この結果、幼なじみたちは旧交を温めるのですが、逆に主人公くんの軛(くびき)ともなるのです。主人公くんは友情を壊したくないため、ヒロインたちの好意を受け流していく事になります。この関係性変化を本編ではどのように描いていくのでしょうか!!

鷹倉杏璃:日本語の勉強と社交スキル

  • 杏璃は主人公くんの義妹のうちのひとり。「しっかり者のようでいてどこか抜けている系ヒロイン」として設定されています。当初は主人公くんに対して敵意を見せていたのですが、主人公くんが日本に馴染む為に必死で日本語を勉強している様子を見てデレ化します。そして主人公くんに日本語を教えてくれるようになったのです。またどのようにすれば日本の学校に馴染めるかもレクチャーしてくれました。俯いてボソボソしゃべるのではなく、明るくにこやかにあいさつをすることが重要だと。こうして主人公くんは杏璃のおかげでクラスメイトと馴染めるようになりました。また、この日本語講習会はそのまま二人の勉強会へと変わり、毎日机を並べて?学習タイムを育むようになったのです。杏璃の夢は貿易商を継ぐ主人公くんと、共に歩むこと。高等部に進学すると主人公くんは父親の仕事のイロハを学ぶようになります。これに乗じて杏璃は学校の勉強だけでなく初歩的な経営・経済・商業についても学び始め、主人公くんと緊密な時間を過ごすようになりました。主人公くんを兄としてではなく異性として意識する杏璃との関係性はどのように変化するのでしょうか?

竜胆つばめ:初めての友達

  • 日本における主人公くんの初めての友達。クラスで排斥されていた主人公くんに興味を持ち、たどたどしい英語で話しかけてくれた人物です。実は関西弁キャラなのですが、幼少時の主人公くんが日本語を苦手としており関西弁を理解できなかったので、現在でも共通語で話そうとするところがいじらしいではありませんか。演劇部に所属しているのですが、現在は部活の人員も少なく悩みを抱えているような様子が描写されています。主人公くんもかつて演劇部に入っていたため、二人でじゃれ合いながら繰り出す小芝居はかなり好感度高いです。『あえて無視するキミとの未来』における「真鍋計」と同系統のキャラクター設定。主人公くんに対して何度もアプローチをしているのですが、お互いに幼なじみたちとの関係性変化に躊躇しているので、冗談で済まされてしまう結果になります。幼少時はごっこ遊びが好きで変身ヒロインの真似をしていた所をDVDで撮影されていたため、黒歴史としていじられることになります。

結橋泉:テンプレツンデレ

  • テンプレ系ツンデレ少女でバイト戦士。おそらくですが片親しかいないような描写がなされているので、金銭的に苦しい家計なのかもしれません。そのため富裕階層が多い幼なじみーズに引け目を感じさせるような匂いを漂わせています。主人公くんに対して素直になれないのですが、究極のかまってちゃん体質で、何度も絡んできては迎撃され、恍惚とした表情を浮かべます。バイト先はパン屋。何故かメイド服を着用しており本人も表面的には嫌がりながらもノリノリで接客しています。体験版の内容はこのヒロインがかつての幼なじみたちと和解することがテーマとなっています。泉は幼少時のお別れ会で、暴言を吐いて逃げ出してしまったのです。それは感情表現が豊かではない天才系芸術少女のヘキルが悲しそうな顔をしなかったため、泣いている自分が恥ずかしくなったからでした。泉はその過去にこだわり、現在でも距離を置いていたのですが、周囲からの働きかけもあって和解に至ります。10年前にも謝りたかったのだと古いクレヨンを渡すシーンはグッとくる演出ではないでしょうか?

加賀美ヘキル:天才芸術系天然少女

  • 天才系芸術少女で天然無表情キャラ。幼少時、主人公くんは孤立していたためイマジナリィフレンドを召喚することを心の支えとしてました。主人公くんはこのイマジナリィフレンドとのやり取りを他人に見られることを恥じておりましたが、笑わずに肯定してくれたのがヘキルなのでした。ヘキルの家庭は父親が強い権力を握っている封建的家父長制のようであり、ヘキルが絵を描くのも父親の影響が強いことが窺われます。幼なじみーズが疎遠になっていく原因となったのも、このヘキルでした。父親の転勤に従って海外へ転校することになったヘキル。ですが幼少期のヘキルは人間の感情をあまり良く理解できなかったのです。みんなが泣くのを我慢しているにも関わらず平然としており、なぜ泣くのかが分からないと言い放ってしまうのです。こうして些細なことで友情にひびが入り、幼なじみーズは崩壊してしまうのでした。体験版ではこのヘキルが再び日本に戻ってきて、失われた友情を取り戻していくことが内容として扱われています。

鷹倉杏鈴:イジメ、髪の毛と人種問題

  • 杏鈴は主人公くんの義妹のうちの一人。母親が異国の人だったため、金髪碧眼であり周囲から排斥されることになります。杏璃が主人公くんと比較的スムーズに仲良くなったのに対し、杏鈴は引っ込み思案で人見知りが激しくなかなか主人公くんに懐きませんでした。二人の間に溝が出来てしまったのはなぜでしょうか?それは杏鈴が主人公くんとイマジナリィフレンドのやりとりを目撃してしまったことによります。杏鈴は善意でイマジナリィフレンドのことを指摘したのですが、主人公くんは自分の恥じている部分を晒され精神的に動揺し、大人げない対応をしてしまい、溝が出来たのでした。以来、主人公くんは根気よく杏鈴に話しかけ、穏やかに丁寧に接するのですが、距離は縮まりません。ただ、杏鈴が主人公くんのことを心底拒否しているのではない証拠に、毎日主人公くんの部屋の前におやつを運んでおくという行動をとっていました。そんな二人の関係が、べったり甘々になるまでに至ったきっかけはイジメ問題の解決にありました。金髪碧眼であった杏鈴は髪の毛のことで苛められ断髪する結果になってしまったのです。イジメをけしかけたのは上級生でしたが、主人公くんたちは恐れずに戦いを挑みます。自分のために必死に戦ってくれた主人公くんに対して杏鈴は心を開き今までの鬱積を解放させます。こうして杏鈴はお兄ちゃん大好きっ子になったのでした。