南十字星恋歌(体験版)の感想・レビュー

南十字星恋歌の体験版は「観光案内ビデオの作成」という形式。
体験版にありがちな本編を途中でぶった切った方式とは別のスタイルです。
キャラ紹介を中心にしつつ時代背景・舞台設定・人間関係が把握できるようになっています。
序盤は『恋色空模様』の時と同じように逃走劇を繰り広げながらフラグを立てていくようです。
新興国で日本企業の資本進出による経済植民地という帝国主義ネタを上手く生かしてくれればいいなぁと思います。
キャラゲーで終わりませんように(切実)。ライターさん頑張って!!

体験版概要

  • 主人公くん(砥部亮輔)の設定
    • 主人公くんは田舎の山奥の村出身。猟師の祖父に育てられ山村スキルを身につけて育ったサバイバルソルジャーです。進学と共に都心へ出てバイトをしながら学費を稼ぐという苦学生ライフを送ってきました。さらに主人公くんは幼い姉妹の生活費も稼がなければならず、とうとう過労で倒れてしまったのでした。そんな主人公くんのために幼き姉妹は立ち上がります。なんと彼女らは飛び級の天才であり、新興国の研究機関に勤務すれば生活費の保障をしてくれるという話になります。こうして主人公くんたちは物語の舞台である新天地「グインベルン公国」にやってきたのです。どーでもいいことなんですが、南十字星かつ南洋諸島っていうとアジアじゃなくてオセアニアのイメージが強いんですよねー。ちなみに東京書籍の中学の地理の教科書では「国旗とナショナリズム」の学習の際、「南十字星は南洋の誇りの象徴」として説明されているのですよ!(北半球では南十字星は見られない地域が多いため)

  • メインヒロイン布志名香乃梨さんのキャラクター設定とシナリオ予想
    • 主人公くんは新天地到着早々迷子になってしまいます。ここでメインヒロインとBoy meets Girlな展開。お約束な「身分違い物恋愛」が発動するわけですね。メインヒロインの布志名香乃梨さんは公国のお姫様で公務に追われる偶像崇拝的な国民統合の象徴。しかしながら実は日本人女性との御落胤であり純血ではありません。そのため血統主義者達からは疎まれる存在であり息の詰まる思いを強いられてきたのです。そんな少女に対して「社会的ステータス」ではなく「一個の人格」として扱ってあげれば「承認欲求」が満たされてフラグは成立さ。こうして香乃梨は主人公くんにきゅんきゅんくることになり、お兄ちゃんぞっこんラブなツンドラ従妹と死闘を繰り広げることになるのです。
    • シリアスモードでは企業誘致や雇用対策、貧民街救済などの経済発展と社会福祉事業に力を入れていることが語られます。香乃梨のキャラクター表現の重要なファクターであるその劣等意識を催すハーフという生い立ちから「血統主義者の保守的な王族との人種問題」がシナリオのメインテーマになるのかな?それとも新興国で日本企業の投資を前提とした経済発展であることから「輸出指向型工業における先進国の資本流出による経済危機」とかが扱われるのかな?キャラゲーだけにはならないでくれよ!!と願います。


  • その他気になった攻略キャラ;従妹枠のツンドラ(お兄ちゃん大好き)波佐見都
    • 体験版では攻略キャラと主人公くんの出会いのきっかけが説明されていくのですが、『恋色空模様』と同じ様に追われている主人公くんが次々とヒロインズと遭遇していくというパターンになっています。炉利枠騎士少女、私生活崩壊系研究一筋先輩、ICT機器大好き後輩のキャラ紹介が行われるのですが、やっぱり安定のツンドラは破壊力が高いなぁと。幼少期の頃、主人公くんと共に祖父の元で育てられた従妹という想い出共有に加えて、毒舌を吐きながらも理由をつけてはお兄ちゃんの部屋に入り浸り恍惚の表情を浮かべるという古典的手法を上手く活用なさっているではありませんか。「主人公くんのバイト三昧の生活で遅れてしまった勉強を取り戻そうと必死に努力する姿」を見るために都ちんが足繁く図書館に通うとかステキ。ツンドラ従妹の都さんは新興国に出資する大企業の令嬢とのことなので、「急激な経済発展と引き替えになった犠牲」とか伝統文化の破壊とか移民問題とか経済的従属とかが来るかな?とシナリオ予想!キャラクター消費だけで終わらせて欲しくないものよ。ライターさん頑張って!!