ソレヨリノ前奏詩(体験版)の感想・レビュー

良い感じに鬱ゲーしててバッドエンドで傷心となりステキ展開。
内容としては「無意識に感情が読めてしまう少年と強制的に感情を遮断する少女の物語」。
地味系黒髪ロングツンドラになじられるだけでも体験版をやる価値アリ。
中二的異能×セカイ系×序盤でメインヒロインに振られると書くと『夏空のペルセウス』。
体験版だけで一つの世界を形成しているので、本編で台無しにならないことを願う。
(『夏空のペルセウス』は体験版が一番面白かった)

体験版概要


  • 中二的異能と少女救済
    • 主人公くんは他人の感情を読み取れる異能を有しています。その力の名はエンパシー。他人の思考を読みとれる程強くはなく、ただ他人の感情が流れ込んでくるという厄介なものでした。そんな主人公くんが高校進学後に出会ったのが、他人の感情を遮断してしまう少女;姫野永遠(地味系黒髪ツンドラ)さんでした。お互いに正反対な二人は、次第に惹かれあっていきます。主人公くんは永遠といれば他人の感情に悩むこともなく、永遠は主人公くんと触れ合うことで他人の感情を理解することができるからです。主人公くんが異能を使いながら、永遠が他人の感情を遮断してしまう「心の壁」を解き放っていきます。お互いに欠点を補いながら日常生活を送りフラグ成立。まぁ、このへんは無きゲにありがちなフツーの展開ですので、素直に好感度蓄積の様子を楽しみましょう。地味系黒髪ツンドラとの交流はそれだけでもわりと良いテキストです。しかし、面白くなってくるのはここから!!鬱ゲー展開が始まり、個人的に狂喜乱舞です。



  • 主人公くんと永遠の過去
    • 紙芝居ゲーのお約束として主人公くんは凄惨な過去を経験し記憶の抑圧によって忘却することがしばしばあるのですが、この作品もそう。かつて主人公くんは永遠と懇ろな関係であったのです。幼少期の永遠は「心の壁」を形成しておらず、両親が不仲の家庭で苦しんでいる感情を垂れ流しにしていました。それを感じた主人公くんは永遠を救おうとしてしまい、家出に付き合うことになります。しかしながら幼少期の家出なんぞが成功するもなく巡回のポリ公に捕まって保護者を呼ばれるという流れになります。そこでお互いの両親がやってくるのですが、永遠の両親は夫婦で醜い言い争いをするばかり。永遠の心は崩れかけます。そんな様子を見た主人公くんは異能を使い、永遠の両親の内実を暴露してしまうのです。永遠パパは別の女のことを考えており、永遠ママは仕事のことしか見えていないこと、そして両方がこんなことを他人に知られたくないと思っていること等々。永遠の家庭を完全に崩壊させた瞬間でした。言いたいことをぶちまけて我に返った主人公くんの眼前には感情を無くした永遠の姿が!!そうなんです。永遠の心の壁は(両親の関係の悪さにより徐々に出来つつあったとはいえ)主人公くんが完成させたものだったのでした。主人公くんは自分がしでかしたことの恐れ多さに精神崩壊。記憶を忘却させ、永遠もまた引っ越して主人公くんの前から去ったのでした。



  • 永遠が傷ついたのは過去の出来事によるものではなく現在の主人公くんが異能に依存したから
    • 永遠から送りつけられた幼少期の写真により、過去を思い出した主人公くん。壮大な自作自演的展開であったことに苦悩します。今まで永遠の「心の壁」を溶かしたことに自分の能力の意義を見出すことが出来ていたけれども、実は永遠の「心の壁」を作ったのも自分であったというノリです。散々煩悶した結果、永遠に真摯に謝ろうと主人公くんは決意します。しかし、そこで主人公くんはやってはいけないことをやってしまったのでした。それは永遠に嫌われないとしようとした余り、異能を発動させ永遠の感情を読んでしまおうとしたことでした。永遠は主人公くんが感情を探ろうとなどせず、ただ単に謝ってくれればそれで良いと思っていました。しかし実際には異能を恐れながらも異能に依存するヘタレな主人公くんがいるだけでした。さぁ、ここで体験版最高の台詞(個人的)が飛び出します。

あなたは、エンパシーに苦しめられている。
でも実際は能力に頼っているのよ。
人の感情を読み取って、自分が上手く立ち回れるように動いている。
怒られないように、嫌われないように。
今もそう、どうやって、わたしの本心を聞き出そうか必死にエンパシーをぶつけてくる。
自分が傷つきたくないから。
私を傷つけて、嫌われたくないから


  • 断罪されながら振られるシーンはグッとくる。
    • 哀れな主人公くんは、永遠の最も触れて欲しくない部分に触れてしまったのでした。永遠は主人公くんのことを好き好き大好き好き好きで好感度マックス状態です。しかし愛情は裏返せば憎悪。愛憎を抱える永遠は、主人公くんが永遠自身のことを愛してくれるのではなく、自分が傷つかないために異能を使ったことで見切りをつけたのでした。そして最後通牒。現在の主人公くんは過去と比べて全く成長していないどころか、永遠にまっすぐ向き合おうとせずコソコソと立ち回るヘタレであると断罪されてしまうのです!!!自分の弱さを突かれた主人公くんはただただ呆然とするばかり。永遠はこの時も立ち去ろうとする自分の手を主人公くんが掴んでくれると信じていたのです。しかし主人公くんは何もしない!!!!!お互いの心がすれ違ったまま立ち去るという結果に陥ります。夏休み明けの新学期に登校すると、永遠は黒髪ロングを断髪していました。またもや衝撃を受ける主人公くんは異能を発動させてしまい、最後にもまた永遠に悲しそうな顔をさせるのでした。この表情が主人公くんの脳裏に焼き付くことになり、永遠との関係が断絶された証となったのでした。傷心の主人公くんはここからどうなるのでしょうか!?続きが気になりますね。『夏空のペルセウス』もそうでしたが、主人公くんがメインヒロインに断罪されるシーンはグッとくるものがあるなぁ。個別がイマイチだっただけに『ソレヨリノ前奏詩』は頑張って欲しいものです。


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