雑録

恋がさくころ桜どき「神鳳杏」シナリオの感想・レビュー

神鳳先輩シナリオは「死神のバラッド」。
死者と向き合い続け心をすり減らす少女を救え。
神鳳先輩は数百歳を優に超えるBBAで死神「エレオノーア」を内包している二重人格。
不死と永遠の命を持つ寂しさ、異種婚、死者の未練などが描かれる。
最後は死神人格に引け目を感じていた神鳳先輩を肯定してハッピーエンド!
「死者の未練」に対してはもう少し掘り下げられたかもしれない。

神鳳杏のキャラクター表現とフラグ生成過程


  • 死者と向き合うことでココロをすり減らす
    • 神鳳先輩は二重人格、一つの身体に二つのココロ!一人目の人格は人間として日常生活を送る生徒会長の「杏」、二人目の人格は死神の仕事を受け持つ「エレオノーア」。不死で永遠の命を持つ二人?は次第に生きることに疲弊し始めます。エレオノーアは永遠に死者の魂と向き合うことによって、杏は死神の仕事をエレオノーアに押しつけているという罪悪感によって。そんな折り、二人は生まれたての死神の姉妹に出会います。のちに主人公くんに命を分け与えることになる「リィナ」と本作のグランドエンドのヒロインとなる炉利枠の「ティナ」。生まれたての同族を放っておけない杏たちは彼女らを引き取ることにしますが、そこには姉妹を一人前にすることによって自分たちは死神から解放されるかもしれないという淡い期待をもっていたのでした。しばらくして姉の「リィナ」は死神の仕事を十分にできるまでに成長し、対等な存在として杏たちと友達になります。ですが、ここで事件が発生。幼少期の主人公くんが事故で死にかけた際に情が移ったリィナは自らの命と引き換えに蘇生してしまうのでした。メガザル!消えゆくリィナは主人公くんをどうか見守ってくれと杏たちに託すのです。ココロをすり減らす杏の独白のテキストは結構好きなので引用しておきましょう。

世界から取り残されている。そんな不安が、寂しさが、時折あたしを包み込む。…死者の思い残しなど気にする必要はない…そう、本当は死んだ人のことなんてどうでもいい……死んだ人は帰ってこない。願いを叶えても本当は誰も喜ばない。あたしのやっていることはただの自己満足にすぎない。だけど、それをやめることもあたしにはできない。罪悪感と偽善を続ける嫌悪感。もう長い間、それらの感情にとらわれ続けている。ずっと、ずっとそんな生き方を続けた結果、少しずつ……生きることに疲れ始めている。



  • 二重人格における他人格への引け目
    • 数年後、主人公くんは無事に成長し、託された命を他者のために尽くそうとする立派な青年に成長しました。当初は遺言から主人公くんに接触してきた杏たちは、その姿に惚れてしまうのですね。杏は自分が不死であることから恋愛に対して置いて行かれる寂しさに苦悩することになるのですが、そこは主人公くんが男を魅せて杏を受け入れます。フラグ構築後の杏は、別れのその日が来たるまで恋人同士ですること全部を堪能したいとイチャラブを展開するのでした。しかしながら杏は自分だけが幸せになることに罪悪感を抱いてしまいます。死神として死者の魂と向き合う仕事はすべてエレオノーアに押しつけ、自分だけ恋愛を享受していることに引け目を感じてしまったのですね。エレオノーア自身が主人公くんに惚れていくようになると、杏は自己の存在を封じてエレオノーアに自分の身体を託そうとしてしまうのです。杏にはココロを閉ざさないで欲しい。そう願った主人公くんはエレオノーアに魂を刈り取って貰い、杏の思念体の中で邂逅を果たします。ここで杏とエレオノーアはお互いを想い合うが故に衝突をするのですが、最後には主人公くんが二人とも幸せにしてやる!!と肯定してあげることによって和解が成立。杏とエレオノーアの二人を受け入れてハッピーエンドを迎えます。