晴のちきっと菜の花びより(体験版)の感想・レビュー

病気で1ヶ月遅れて登校、ぼっち系ヒロイン…「俺ガイル」みたいな設定!と思っていたが…
園芸部の活動描写を基盤としながらイジメや存在の認識を扱うキャラゲーだった。
部活描写も上っ面ではなく園芸の基本知識や専門性に基づいて描写されているので好印象。
周囲が主人公くんに隠している嘘やメインヒロインである菜乃花の存在の揺らぎをどう扱うか。
ただのんべんだらりと過ごす学園モノとは一線を画する作品です。
リトバス」や「せかせか」のような思念体世界の中で主人公くんは一体何を見るか!?

体験版の主な内容と疑問点

  • 園芸しようぜ!
    • 主人公くんは花屋の息子(高2)。病気で入院したため1ヶ月遅れで進級を果たしました。世話焼き幼馴染み後輩と理解ある父親に囲まれ、家業の生花にも造詣が深く満足した毎日。久方ぶりに登校したクラスでもボッチ系世話焼き幼馴染みと貧乏転校生ガールと知り合います。このうち貧乏転校生ガールは廃棄された学校の花壇を復活させようと目論んでおり、それをみた主人公くんが花屋的ガーデニング知識ツッコミをしていくうちに共感を得ていきます。土壌学の話とかの会話を描写しているのは好印象で、こうした専門知識に基づくシナリオがあるとグッと厚みを増しますね。園芸フレンズとなった二人ですが、ガーデニングは何かとお金がかかります。貧乏ガールのメインヒロインにはとてもそんなお金はありません。と、いうことで園芸部を復活させて部費をゲットし学園の花壇を再生させようではないか作戦が始まったのでした。


  • メインヒロインの存在の揺らぎ
    • メインヒロインは貧乏ガールで炉利枠の綾崎菜乃花さん。この菜乃花さんですが、プレイヤーたちに存在の揺らぎを感じさせています。まるで他のクラスメイトには認識されていない様子や部活を成立させる人数にカウントされないなどとビシバシと違和感を漂わせています。また貧乏ガールという設定から山の中の祠に住んでいたり、時代外れの着物を身に纏う少女と金銭的に繋がりがあるなどと別時間からやってきたようなニュアンスを感じさせていきます。
    • そしてバイト先でのイジメ問題。ハンバーガー屋のギャル系バイト先輩から辛辣な言葉を投げつけられ雨の中で涙を流す菜乃花さん。イジメは絶対許さないと主人公くんが知り合いでもあるオーナーに交渉しに行こうとするも止められてしまいます。主人公くんは自分の空回りっぷりを空しく思います。さらに菜乃花さんの山の祠暮らしを見かねて一緒に暮らそうと提案するも拒絶され、さらに自分の勘違いっぷりを悔いる主人公くんの惨めさ。このあたりの描写がなかなかグッド。結局は、菜乃花さんが貧困であるが故の清貧の虚勢を張っていただけで最終的に主人公くんの優しさに陥落することになるのですがね。

  • 主人公くんの病気と記憶の混濁
    • この作品は主人公くんが病気をして1ヶ月遅れの5月から進級したという設定なのですが・・・。作品をプレイしていると実は1年と1ヶ月遅れなのではないか?と思わせる雰囲気が漂ってきます。人間関係が希薄だったから新しいクラスに昨年度の同級生の知り合いがいないという悲しき設定も同級生は既に3年生に進級しているよ!という展開なら納得できるのではないでしょうか。その証拠として以下のことが挙げられます。
      • (1)主人公くんの世話を焼いてくれるクラスメイトのボッチ系ヒロインが主人公くんのことを「先生」と言って慕う
      • (2)1こ上の3年生がやたらとタメ口を使うよう求めてきたりする
      • (3)主人公くんが復活を目指す園芸部について、幼馴染み後輩が3年生の先輩方を糾弾
      • (4)幼馴染み後輩が自分は嘘をついているので主人公くんと恋愛をする資格がないと独白