南十字星恋歌 第一部の感想・レビュー

架空公国ゲー。公国のお姫様や護衛の騎士、企業帝国の令嬢などを攻略するキャラゲー
主人公くんが合わない人にとってはそれはもうグダグダした感じ満載。ぐだぐだー。
苦労人設定主人公くんなのは良いが、その境遇を誇るかのようにペラペラ自慢して微妙。
あとヒロインの話にいきなりカットインかまして相手の考え方を否定するのもねぇ・・・。
そんなダラダラしたしょうもないテキストを読んでいくとイジメ問題編に辿り着く。
第一部の山場であるイジメ問題編はわりと面白かったです!!



  • 主人公くんが合わなくてもここはぐっと我慢の子ですよ
    • 自分の境遇自慢が激しくて
      • 体験版が主人公くん視点ではなく学校紹介ビデオという形であったので油断していました。プレイヤーにとっては主人公くんのキャラクター表現というものは何よりも重要であるハズなのに、それを確かめずに買ってしまっただなんて!!いやはや、買う前にはキャラゲーだろうなぁと思ってはいてもそれなりに期待はしていたのですよ?「苦労人な主人公くんが周囲にどやされながらも身につけた渡世術を駆使して困難を解決していく」というパターンは日本人だったら大好きな物語消費の類型パターンですよ。ええ。しかし、能ある鷹は爪を隠すといいますか、主人公くんには隠者の様にそれとなく行動して欲しかった。我らが南十字星恋歌の主人公くんときたら「自分の境遇自慢」が激しく、攻略ヒロインたちにそれはもうペラペラと「田舎の山奥の猟師の家系・サバイバル技術・苦学生でバイト三昧・人生経験豊富で多様なスキル持ち・これまでイモウトを養ってきた」という具合でしゃべってしまうのですね。もう少し、好感度高めて親密になってから過去話はするべきかと思われます。俺スゲーな人物像の俺スゲーだろ?な過去晒しはやめてー。
    • ヒロインの はなしを カットイン
      • おそらくライターさんは主人公くんが周囲とは異なる価値観の持ち主であることを表現したいのでしょう。テキストの構造としては(1)ヒロインたちが一般的な常識でものごとをとらえる→(2)主人公くんが独自の視点や物事の見方を提示→(3)新たな視座の提供により好感度蓄積というパターンです。しかしながら、主人公くんがバッサバッサとヒロインたちの会話にカットインして否定してのける姿は、微妙な感じ。いや、その考え方は確かに一理あるけど、今会話しているこの時にそれ言っちゃうの?って思わざるを得ません。おそらく自分の意見を否定されたことのないヒロインたちが自分の価値観を揺さぶられるところに好感度蓄積を置いているのでしょうが・・・。それならばヒロイン自身が自分でその考えに至れるように思考を促すという形にして欲しかったなぁと。自分の意見を押しつけてドヤァってな具合になっていると正直いたたまれません。こんな調子で日常パートがダラダラと続いていくのです。



  • イジメ問題編はわりと面白かった
    • 第一部で山場となるのがイジメ問題編。メインヒロインである公国のお姫様がやっかみを受けてイジメ問題に発展してしまうのですね。個人的にはメインヒロインがイジメにあうシナリオはH2Oが至高だと思っています。この作品のイジメ問題はどのようなものでしょうか?イジメの類型としては自分よりも能力が高い人物に対するやっかみや羨望による憎悪という傾向が強いです。イジメの手段としてはケータイやスマホなどの情報端末を用いて嘲笑や侮蔑などの記事を拡散させ見せしめにするというものです。そんなわけで公国のお姫様はクラスメイトからはぶられ事あるごとに嘲笑されながらも独りでじっと耐えていたのです。涼しい顔をしていますがそれでも何も思わないことはありません。自分の権力を使えばあっという間に片がつくでしょう。それでも周囲に迷惑をかけずに自分で解決したいと気丈に振る舞っていたのです。そんなヒロインの心の拠り所になってあげれば好感度を鰻登りですとも。主人公くんは攻略ヒロインズの皆さんとイジメの首謀者を見つけ出そうと画策するのでした。
    • しかしそんなことをしなくても向こう側が勝手にボロを出してくれます。陰湿系イジメで直接的な行動に出てこない場合は、困っている姿をあざ笑いたいという願望があるわけです。その狙いに反して涼しい顔をしていれば、我慢できなくなり尻尾を出すという寸法。お姫様を貶めたい女子連中は男を使って強姦する展開に。攻略ヒロインズの協力により、主人公くんは危機一髪で姫様の元へ駆けつけます。ここで主人公くんが散々強調してきた狩猟スキルが発動されるのかとぷれいやぁは割とワクワクしていたでしょう。しかし主人公くんは余り活躍せずにフルボッコ。その姿を見た姫様が本性を現し、展開させていた護衛の遠距離射撃で強姦版たちを狙撃させていったのでした・・・。つまりはぷれいやぁ達にメインヒロインはこういう側面を持っていますよということを示すための装置だったのでしょうね。
    • イジメ編は主人公くんと姫様の関係性変化の転機となります。これまで主人公くんを気にかけながらも遠巻きにしていたメインヒロイン。そしてイジメ問題に巻き込んでしまったが故に関係性を絶とうとします。そんな姫様の演技を見抜いた主人公くんは孤独を孤高と読み替えて自我を誇りを保とうとしている点を指摘し、仮面をはがすことに成功するのでした。こうして本性を受け入れてもらえた姫様は弱い自己をさらけ出す強さを知り主人公くんと新たな関係性を構築することになったのでした。