南十字星恋歌 共通√第二部の感想・レビュー

南十字星恋歌攻略中。寝る前に10分ぐらいコツコツとやってます。
第一部は香乃梨イジメ問題解決後、入寮するまで。
第二部はヒロインとの寮生活がメインとなりキャラを掘り下げていく。
選択肢は実質1個しかなく、そのまま第三部の個別に入れる。

公爵家の陰謀


作品の舞台となっている東南アジアの公国は、国王家と公爵家の間に確執が発生しています。公国史を辿ると、あるヨーロッパの王家が植民地として獲得した土地を、公爵に下賜したのが公国そのものの始まりだとされています。かつて本国では公爵が政権を運営し実質的な支配権を得ていたため、それを疎んじた国王が公爵を辺境へ追いやったとのことでした。しかしながら公爵を僻地へ排除してしまうと、政権運営は思うように進まず、本国は戦争の惨禍に苛まされ国土を喪失してしまうのです。これをみた当時の公爵は王家の亡命を受け入れ、なおかつ王家が存続している限りという条件で土地と行政権を譲渡するのです。時は流れて王家の血も薄れ、現在の王位継承者はアジア系の血が混じっている御落胤である香乃梨だけになりました。現在の公爵は血統主義・白人主義をとっていたのでこれが気に入りません。王家から支配権を取り戻すため、香乃梨を排除しようと暗躍し始めるのでした。

崖っぷち騎士さまエリーゼ


エリーゼは炉利枠担当のちびっこ騎士さまです。普段の行動はアホの子な感じなのですが、屈折っぷりはピカ一でなかなかよい。公国には貴族制度が残存していますが、実質には腐敗しており国家の癌と化しています。特に嫡子以外の家や財産を相続できない次男以下はスペアの役割しかなく、プライドだけは高いものの持て余された存在となっていたのです。そんな貴族を吸収するために作られたのが騎士制度。システム上は警察の上位機関に位置づけられてはいるものの、実力もないのにでしゃばる騎士たちは様々な問題を起こしており、目の上のたんこぶ扱い。せいぜい式典の時に行進や立哨をするなど、御飾りとして刺身の食菊のように添えられるぐらいにしか存在価値はなかったのです。エリーゼはこれを十分に認識しており冷めた目で現実をとらえつつも、そんな現状に甘んずることはできずに騎士としての任務を全うしようとする矛盾に苦しんでいくことになります。その結果、空回りすることもしばしばあり、自分の末路は役に立たない立ちんぼとして一生を終えるか、はたまた政略結婚の道具とされるかと絶望を感じるところは哀愁を誘ってグッときます。また主君であり親友の香乃梨に対しても複雑な感情を抱いているのです。幼少期のエリーゼはバリバリの白豪主義で、ジャップでイエローモンキーの血が混じる香乃梨の存在など許せませんでした。そこで香乃梨に文句を言うのですが、当初は英語が通じずエリーゼの一方通行で終わってしまいます。しかし香乃梨にとっては周囲から遠巻きにされていたので、絡んできてくれた同年代の少女は貴重であり、一生懸命英語を覚えるきっかけになったのでした。そして香乃梨はみるみる王者としての資質を備え始めていきます。初めは見下してた相手が、対等となり、さらに遥かに上に立つようになると、エリーゼのコンプレックスはさらに深まっていくことになります。耐えきれなくなって主人公くんに心情吐露するエリーゼの描写は光るものがあるのでおススメとなっております。

生真面目生徒会長とツンドラ従妹の兄妹関係


都(黒髪ロングツンドラ従妹)の異母兄は生徒会長。生真面目な性格ではあるものの、神経質なメガネで融通が効かず人望はなく孤立しがち。異母妹;都のことを大切に想いながら距離感がつかめず、接し方が冷淡なものとなっていました。そんな折、ぽっと出の主人公くんが仲良しの兄として接している場面を目撃してしまい嫉妬にかられます。当初は主人公くんに対して複雑な感情を抱いていた生徒会長ですが、兄としての資質を持つ主人公くんに、その姿勢を学ぶようになっていきます。一方、都は腹違いの自分がイキナリ引き取られたことを引け目に感じており、その上兄が冷淡な態度を取るので、自分は嫌われていて目障りな存在であると思い込もうとしていたのです。お互いすれ違う二人の仲を主人公くんが取り持ちます。幾度ものチャンスをふいにする生徒会長でしたが、突如飛来したピンチに身を挺して都を守り、自分がどんなにか異母妹のことを思っているかを打ち明けることができたのでした。こうして生徒会長はすれ違っていた兄妹関係を解決することができたのでした。主人公くんは生徒会長に受け入れられ、ヴァレンタインイベントでは友チョコを貰うほどの仲になります。

学校長との戦い

先輩ルートの仮想敵となるのが新しく送り込まれてきた学校長です。学校長は公爵家の息のかかった人物の傀儡であり、自己主張の強すぎる無能さんとして設定されています。かつてはフェミニスト団体に所属していたものの、あまりにもキチガイなので放逐されていました。その無能ぶりを買われて学園に秩序の混乱をもたらすべく送り込まれたのです。人の話を聞かず、自分の思い込みが絶対であると信じ、中身のない話を繰り返し、黒幕の狙い通りに学校を混乱させていきます。この校長のターゲットになったのが我らが先輩というわけです。先輩は研究職にありがちなテンサイであり、学問分野では類い稀なる才能を発揮するものの私生活は残念な感じです。そのため先輩の頭髪や服装に学校長が文句をつけるのですね。自分の命令を目下の者に通す場合でも、きちんと説明責任を果たして、納得させてからでないと、不平不満が募り反乱を起こされかねません。しかし学校長は権威をかさにきて自分の命令に一挙一動従わさせなければ気に食わないのです。そんな学校長は個人攻撃も激しく、家族関係から先輩を攻撃してきます。先輩はどうやら母親に愛されなかったらしく、母親ネタを出されただけでファビョってしまいます。そこを主人公くんに救われるというお約束な展開。身を挺して自分を守ってくれる主人公くんを見た先輩は立ち上がり、学校長に一矢を報います。今まで積極的に行ってこなかった論文投稿や学会発表をモーレツとこなして実績を上げ、マスコミに対して実績を出せたのは自分の学園が自由な校風であるとアピールし学校長の言質もとってしまいます。こうして勘違い学校長の思惑を打破し、自らの自由を勝ち取るのでした。

隠されし学園の謎


子犬系なつっこい後輩ルートのメインテーマとなるのが学園の謎。後輩ちゃんはICT機器に詳しいという設定を持っていますが、他のヒロインと比べるとキャラクター造形は比較的一般枠です。障害となる身分差や経済差もなく、家庭環境に抱える深刻な事情もありまあせん。またツンドラというわけでもなく最初からオープンハートしており人当たりが良くて明るくて懐きやすいという性格です。キャラゲーにおける伝家の宝刀「少女救済」が使えないパターンですが、このような場合はヒロインと協力しての冒険活劇などが描かれることになります。本作品の場合は後輩ちゃんと学園探索を行います。この学園は旧軍事基地の跡地に建設されており、極秘実験の隠蔽のために建てられているようなことが匂わされています。学園で旧軍事基地で地下道とかいうと「かにしの」分校系ルートを思い起こしてしまうのは私だけではないはず。本作品の場合は、隠蔽工作のために「王族による発電施設建設事業の失敗」という噂が流されています。日本の支援が行われる以前、深刻な電力不足の状況に対し、複合的な自然エネルギーによる発電事業という詐欺に食いついてしまったというのですね。この説明によって、主人公くんと後輩ちゃんは一応納得させられるのですが、個別√では改めてチャレンジするという流れに。それにしても子犬系後輩のうざかわいいことこの上ない。主人公くんが性的な目で見てくれないことに対して自虐ネタに走る一方、いざ反応されるとドギマギしてしまうテンプレ展開も楽しめます。主人公くんにヴァレンタインのチョコをあげて御礼にちゅーしてくださいとねだり、ホントウにほっぺちゅーされると意識しまくってしまうというのも微笑ましくて良いですね。