寄木造りの社会的背景とか〜浄土教の流行と末法思想〜

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古代日本史でどうしても切り離せないのが仏像である。
生徒は覚えられないと嘆くが、ただ馬鹿暗記しようとしてもなかなか覚えられない。
仏像の作成方法とそれによって作られた仏像をただ丸暗記しようとしたら教員だってツライ。
教員が覚えていられるのは時代の構造と文化史を結びつけているから。
遠回りに見えても社会的背景とかをきちんと理解せねば。


仏像の社会的背景とか。生徒にはそこまで届かない。無茶ぶり。
例えばどんなのものがあるのかしら?


具体例を挙げると「寄木造り」なんかが有名でしょ?


あ〜、よくプラモデルのパーツのようになってるアレでしょ?
定朝が生み出したとされる。
プラモデルのパーツがどんな社会的背景があるっていうのよ。



そう。そのパーツ化されているというのが重要なんだ。
平安初期の弘仁貞観文化の一木造りは一木から一体の仏像を作り出す。
寄木造りはパーツに分けてるから分業が可能になり、量産が可能となる。
ではどうしてそんなに仏像の需要が伸びたのかを考えよ。


ちょっと待って。寄木造りは・・・っと(調べている)。
寄木造りは国風文化ね。この時代の社会的背景は浄土教の流行。
それに末法思想もあるわね。


今までの仏教は現世利益を求める信仰だったでしょ?
しかし現世の不安から逃れ、来世において極楽浄土に往生する浄土教が盛んになる。
それに拍車をかけたのが末法思想
平安時代の盗賊や乱闘が多くなり、災厄がしきりに起こる世情が末法に比類された。


ふむふむ。
だから来世で救われたいと思ったから阿弥陀如来像が大量に需要されたのね。
寄木造は浄土教の流行に伴う仏像需要に応えるために生み出された、というわけね。
そう考えると浄土教の流行と末法思想を理解していれば他の文化史もいけそう。


まぁ国風文化おける浄土教関連には以下のようなものがある。
阿弥陀如来像の他には来迎図。
往生しようとする人を迎えるために仏が来臨する場面を示した図のことだね。


また往生伝が盛んに書かれたことも有名。
慶滋保胤の『日本往生極楽記』など往生を遂げたと信じられた人々の伝記を集めた。
あとは経塚。
経典を書写し、経筒におさめて地中に埋めます。道長の金峯山経塚を覚えるべし。


なるほどなるほど。
国風文化の背景に浄土教の流行と末法思想があることをおさえておけば
結構なんでもいけるわね。