ゆきこいめると 各個別シナリオの感想・レビュー

気楽にやるキャラゲー。シナリオに内容を求めてはいけない。キャラはとても可愛い。
物語に明確な目的がなく、フラグ構築が大雑把で、冬イベントが散発的なのは少し残念。
「冬ゲー」をメインにしているわりには「冬イベント」の描写があっさりしている気がします。
ヒロインとのフラグ構築との装置にするのではなく「冬」をもう少し深く描いて欲しかった。
あと部長の立ち絵の差分どうにしかしてあげて!私服の立ち絵は常にスコップ持ってる!!
でもまぁキャラはかわいい。特に後輩二人(雪姫と嘩音)はかなり愛でることが出来ます。

白雪姫シナリオ概要


  • 冬が好きなら他の季節は?
    • 雪姫は冬が大好きな女の子。冬が嫌いな主人公くんをみつけると許せないとばかりに冬の魅力を紹介してきます。冬イベントを堪能していく主人公くんでしたが、いつしか雪姫は「冬が嫌いなことを許せない」から「自分の好きな冬という季節を主人公くんに知って欲しい」に変わっていったのでした。こうしてフラグが成立したわけですが、シナリオの中身はハイパーイチャラブタイム。これでもかというばかりにバカップルっぷりを見せつけてくれます。「チョロかわいい」も大分浸透してきたキャラクター表現上の概念ですが、本作中でも称されている通り、主人公くんの天然ジゴロな言葉責めに雪姫がきゅんきゅんしてしまう様子を堪能できます。しかし氷レモンを作るところまでは思い至りましたが、それを召し上がるところまで文章をお書きになるとは!!
    • そんなキャラゲー要素の強い雪姫√ですが、シナリオの根幹となっているのが「雪姫は他の季節はどう過ごしているのか?」という問題です。なんと雪姫は冬以外の季節では精神的ヒキコモリとなり、殆どつまらなそうに諾々と過ごしているとのことでした。実は「ふゆ部」はそんな雪姫のために作られた部活であることが部長の口から明らかにされていきます。つまり「ふゆ部」は氷室のようなもので、冬にしか興味を抱けない雪姫を何とかして社会に適応させるための装置だったのです!そんな雪姫を何とかしてやりたいというのが我らが主人公くん。雪姫のおかげで嫌っていた冬を素晴らしさを知ることができた。じゃあ今度は雪姫が嫌っている他の季節の楽しさを俺が教えてやる!!と雪姫を導くことに成功したのでした。こうして他の季節にも前向きになれた雪姫は主人公くんのこっこが欲しいとねだりハッピーエンドを迎えます。雪姫の家族話は結構ほっこりするので、嫁にくださいイベントは楽しみにしていたのに、モノローグで語られて終わったのは少し残念な気もします。

烈風寺嘩音シナリオの概要


  • 嘩音の家族について
    • 嘩音は豪胆な祖父に育てられたハイパー元気っこ大型犬系ヒロイン。そんな豪快な嘩音を心配した嘩音ママは、女子寮に入れて女の子らしく振る舞うように教育的指導。ゆえに嘩音さんはパワフルでありながらも嫁スキルが高い女子に育ったのです。嘩音に与えられた「女らしくしなさい」というジェンダー的命題は、少女の中でしこりとなって残ってしまいます。実家に帰ればお小言を貰いフラストレーション。そんな男勝りな嘩音が充分に女らしいと認めてあげれば承認欲求を満たしてフラグは成立。今までの活発でアクティブな自分と女らしい自分の間で揺れ動いた嘩音を、その全てが嘩音であると高次元で昇華させてあげたのでした。こうして嘩音に懐かれた主人公くんは大型犬のように愛情表現をしてくる嘩音を愛でていくことになります。†「後輩というものは可愛いものだけど、感情をストレートにぶつけてくる嘩音は可愛がったぶんだけ、喜びや感謝が返ってくる」。また主人公くんも当初は乗り気ではなかった冬イベントに対して、「自分の意思でここにいるんだ!」とまで思うようになっていきます。



  • 冬イベントが散発的
    • 折角の冬ゲーであり、嘩音のキャラクター表現もグッとくるのですが、冬イベントが散発的で少し残念な感じがあります。シナリオに明確な目的があるわけでもなく、ただ嘩音というキャラと冬イベントを体験していく様子がダラダラと垂れ流されていくのです。例えば「ワカサギ釣り大会」に参加するイベントでも「ワカサギ釣り」に対する入れ込み具合がイマイチ伝わってこない。もっと情熱をもってワカサギ釣りについて書いてくださいライターさん。
    • 嘩音√でのメイン?となるのが狐物語。嘩音が食べているモノをしばしば強奪する野生の狐は実は子供を育てるためというお約束的な展開。で、親狐が事故で怪我を負ってしまい、それを看取った嘩音が子狐を育てるという流れに。冬ゲーで狐というとKanonの真琴を思い出すなぁとか個人的のしんみりしていたのですが、その後特にこれといった出来事が起こらない!!!子狐が誤って川に落ちてしまった時には流石に何かあるだろう?と思っていたのですが、数クリックで子狐は自力で助かりましたとさ、ちゃんちゃん。まぁそんなわけで「好きなキャラと冬イベントを一緒に体験する」ということに目的を見出せれば良かったかと。

宇奈月雫里シナリオの概要


  • 汗っかきコンプレックス
    • 宇奈月雫里は年上甘やかし系お姉さん枠。体温が高いため、ふゆ部ではカイロとして親しまれています。そんな雫里のコンプレックスは汗っかきであること。しかし本当の問題はさらに複雑だったのです。雫里は本当は汗っかきな自分が好きでぬるぬるすることに快感を覚えるのですが、それは客観的にみるとあまりにも変態的な性癖なので、自分の欲情を抑えて汗をかかないために寒い冬が好きであると称していたのです。そんな変態性癖を持つ雫里を受け容れてあげましょう。雫里シナリオでは冬イベントを楽しむことはあまりメインに置かれません。では何が根幹をなすかというと、雫里さんを調教していくことなのです。
    • 雫里さんは主人公くんに身体を開発されていくのですが、その途上で匂いフェチに目覚めます。くんかくんかです。火事炊事を一手に引き受ける雫里さんは、洗濯の最中、主人公くんの汚れ物を漁って自分を慰めていたのです。その現場を主人公くんに見られ衝撃を受ける雫里さん。しかしながら主人公くんは複雑なコンプレックスを持つ雫里さんを絶えず肯定していきます。そして最後に雫里さんは汗っかきである自分を自分で肯定できるようになったのです。ふゆ部のみんなにも本当の自分をさらけだすことに成功。今までは汗をかくことを気にして敬遠していた実家の手伝いにも積極的になり、両親からも主人公くんは認知されました→ハッピーエンド!エンドロール後には、雫里さんと同じ大学に合格したことを喜ぶ主人公くんの姿が!!・・・いや、雫里さんの受験話って、冬の追い込みシーズンにもかかわらず一文字も触れられていなかったのに、ここにきてイキナリですか!!

姫廻たるひシナリオの概要


  • ひと一倍変化が怖い女の子
    • 姫廻たるひは周囲から弄られがちな獣耳おぼこ娘。たるひの猫耳を指摘するとバッドエンドになりタイトルへ飛ばされるので、シナリオの伏線を成しているのだろうと期待していたのですが、全く関係がなかった!!!そんなわけで、おぼこなたるひの歩幅に合わせて長期戦でフラグ構築を目論んだ主人公くんは、散発的冬イベントをこなしながら徐々に好感度蓄積をなしていきます。その様子はもうすでにカッポォーといっても過言ではなく、気づかぬは当人たちばかり。ある時たるひが妹たちへのプレゼントに悩んでいるというので、主人公くんはアレコレと一緒に選んでいくことになります。妹たちが喜んでくれたらいいなとサプライズプレゼントをもって実家に帰ったたるひですが、なんと夕方にはご帰還のお知らせ。当初たるひが実家に宿泊してくると言っていたこともあり、主人公くんはたるひがイモウトたちに反抗期を食らってショックを受けたのではないかと勘違いします。よく祖父母が孫が喜ぶかと思ってプレゼントを用意していたらコレジャナイとか言われてショックを受けるというアレ的な展開。主人公くんは傷心のたるひのことを思い駆けつけるのですが、全然イモウトは問題にはなっていませんでした。実家においてたるひはイモウトに主人公くんのことを話していたら惚気だということに気づかされ背中を押されたのでした。こうしてたるひの中の淡い思いは好意という明確な感情に変化し、フラグが成立するのでした。



  • ふゆ部の部長への道のり
    • フラグ成立後はキャラゲー的冬イベントこなしタイムが始まるよ。耐寒トライアスロンにペア部門で参加し準優勝に輝くと、ジモッティー観光スタンプラリーへと突入(※選択肢によりローション√にも入れる)。あと巫女バイトしたりとか?とりあえずダッフルコートがノルウェー漁師の仕事着であることが分かりました。シナリオが終局部に近づくと、部長継承問題が持ち上がります。たるひが部長候補となり、主人公くんがそれをアシスト。たるひは共通√において自分が虚栄心から冬好きであると偽っていたこともあり、引け目に感じて居たのですが、メンバーからの承認を受けて、部長であることをうけいれたのでした。そんな新部長たるひの最初のお仕事が3年生メンバーの卒業式。雫里先輩シナリオでも思いましたが、冬の醍醐味として大学受験とか進路選択とかがあるはずなのに、本作品では完全スルーしており、唐突に卒業式となるからあんまり感慨が湧かないのですよねー。
    • それはさておき、先輩たちとの最後の活動について。ここでたるひは運悪く風邪をひいてしまい、雪像建築にも卒業式にも参加できませんでした。後日、ふゆ部においてお別れ会が開かれたるひが送辞を読み上げるのですが、その文章は型どおりな文言ばかり。主人公くんは本音をさらけだせとたるひの背中を押します。スマートに送りだそうとしたたるひですが自分に正直になり見栄を張るのをやめ、お別れしたくないと本音をさらすのでした。こうしてたるひはふゆ部の活動を通して自己を変えていったのですね。もうヘンに見栄をはることもなく、変化を恐れることもありません。エンドロール後には、参加できなかった雪像建築大会の現場を見に行きます。なんとそこにはイグルーの教会が建てられており、主人公くんとの疑似結婚式が開かれてハッピーエンドを迎えます。