1869年の交通網などのはなし


受験生がひたすら語呂合わせ「だけ」を覚えようとしていると悲しくなります。
世界史で細かい年号「だけ」覚えても無駄だと思っているからです。
全体の構造における位置づけとか背景知識とか因果関係とか流れを意識しないと。
イヤ、別に年号・年代を覚えることは否定していませんよ?
楽しい語呂合わせとか考えるの大好きですしね。
しかしながら重要な年号というのは何回も見るので自然と覚えるものです。


例をあげるなら1453年や1861年などね。
1453年はビザンツ帝国滅亡と百年戦争終結
1861年南北戦争農奴解放令・イタリア王国ね。
あと同じテーマを扱う年号として1869年なんかも大事ね。


1869年といえば「スエズ運河」と「大陸横断鉄道」です。
スエズ運河」といえばレセップスによる開削の完成が1869年。
受験世界史的にはロスチャイルド家の資金を利用したディズレーリの株買収や
ナセルによる国有化と第二次中東戦争などが出題されますね。


「大陸横断鉄道」の完成もまた1869年ね!
やっぱり大陸横断鉄道はアメリカ移民労働者と切り離せないわ。
カリフォルニアからは中国人労働者がセントラル=パシフィック社により使役されたわ。
東方からはユニオン=パシフィック社がアイルランド移民を使うのね。


こうして1869年には世界の交通の距離がぐっと縮まったのですね。
そしてこの二つの交通の発展は、小説にも影響を与えるのです。
それはヴェルヌが1873年に発表した『80日間世界一周』。
スエズ運河、大陸横断鉄道、鉄道網、蒸気船の定期航路を使って世界一周に挑みます。


1880年代になるとトマス=クックが大英帝国圏に海外旅行の事業を広げていくわね。
クックというと太平洋を探検したジェームズ=クックが思い浮かぶけどトマス=クックの方ね。
トマス=クックの歴史的意義は格安パック旅行によって旅行を大衆化したことね。
1851年のロンドン万博の所で地方の団体客を送り込んだことを教員が説明するはずだわ。


説明しよう!
もともとトマス=クックはバプティスト派の伝道師だったんです。
彼は伝導の方法を考えるのですが、「鉄道」を利用することを思いつくのです。
なんとこれが大成功をおさめたことをきっかけに、クックは旅行業者に転じます。
トマス=クックは積み立てによる団体旅行を企画・実施して鉄道旅行を大衆化したのでした。
ロンドンには団体旅行に参加した労働者たちが万博を一目見ようとやってきます。
ロンドン万博の様子は森薫先生の『エマ』にも描写が詳しいですよね。
以上説明おわり。


まぁこんなわけで19世紀には交通網が著しく発達していくわ。
これが帝国主義と地球規模での「世界の一体化」が進んでいくのね。