雑録

18世紀なかばに生じた「グローバルな紛争」について


人類がグローバルな紛争を体験したのは第一次世界大戦が最初かと思った?
残念!18世紀にも「第二次英仏百年戦争」がありました〜。というノリ。
ちなみに一橋大のリード文では
大航海時代がもたらした空間秩序は、しだいに緊密の度を強め、局地的な紛争がグローバルに波及する構造を作りだした」
と述べられているわ。


さぁそんなわけで18世紀「なかば」と指定されているわけですから・・・
七年戦争(1756〜63)を中心にすればいいかと。
オーストリア皇位継承という局地的な紛争が北米・インドにも波及したことを論じましょう。
最終的に1763年のパリ条約でイギリスが世界市場を手に入れました。
それが産業革命の要因となりさらに環大西洋革命へ繋がったという展開です。


この七年戦争で注目すべきなのはイギリスの動向だわ。
戦争ごとに手を組んだ国が違うので丸暗記しようとする受験生は死ぬわね。
「英は植民地獲得戦争を有利にすべく劣勢に支援を行い諸国を欧州に貼り付けさせる」
このことを頭に入れておけば複雑な国際関係も理解しやすいわ。


ではまず七年戦争の前哨戦であるオーストリア継承戦争(1740〜48)から。
「マリア=テレジアの即位」をめぐるヨーロッパの地域紛争から全てが始まります。
カール6世はプラグマティック=ザンクションでマリア=テレジアの即位を確保していのですが・・・
カール6世の死後、ハプスブルク家皇女を妃に持つバイエルン侯はマリア=テレジアの即位に反対します。
反墺勢力としてフランス・プロイセンバイエルンザクセンが戦争を展開。
マリア=テレジアは大ピンチに陥るのですが、イギリス外交の法則により、イギリスはオーストリアに組します
結局、シュレジエンをプロイセンに取られたもののマリア=テレジアの即位は承認されました(アーヘンの和約)。


オーストリア継承戦争における「グローバルな紛争」はジョージ王戦争と第一次カーナティック戦争
アメリカで起こったのがジョージ王戦争。
英仏両国の争いは結局のところ勝負はつかず引き分けに終わったのね。
インドの第一次カーナティック戦争ではフランスのデュプレクスが大活躍するわ。
なんとイギリス軍を圧倒し、マドラスをも陥れているのね。
その後デュプレクスは第二次カーナティック戦争でも戦いを有利に進めるんだけど・・・
デュプレクスの独断が憂慮され解任されてしまうのね。


こうして七年戦争の下準備が整います。
マリア=テレジアはシュレジエン奪回のため、所謂「外交革命」を実施。
ルイ15世の愛妾ポンパドゥール夫人・ロシア皇帝エリザヴェータと同盟を組みます。
女性3人トリオで三枚のペチコート外交とも称されるのですね。
俗説ですがポンパドゥール夫人はロリコンルイ15世のためにパイズリを編み出したことでも有名。


そしてまたイギリスの動向に注目する必要があるわ。
「イギリスはヨーロッパに各国の軍隊を貼り付かせておきたいので劣勢を援助する」法則。
故に今回イギリスは、孤立したプロイセンを、支援することになるの。
プロイセンは苦戦するんだけど、ここでフリードリヒ2世にラッキーなお知らせ。
なんとロシアでエリザヴェータに代わってピョートル3世が即位するの。
ピョートル3世はフリードリヒ2世に惚れていたので、手を引いてしまうという嘘のような展開。


こうしてプロイセンは危機を凌ぎます。
結局フベルトゥスブルク条約によりプロイセンのシュレジエン領有は承認されることになりました。
その後、マリア=テレジアは1765年からヨーゼフ2世と共同統治を行い国力増強に努めていきます。
農奴負担の軽減や小学校設置、ポーランド分割などですね。
負けてしまったとはいえ、オーストリアは強国に成長していきます。


七年戦争のグローバルな展開といえば・・・
 →アメリカではフレンチ=インディアン戦争。
 →インドではプラッシーの戦いと第三次カーナティック戦争ね。
フレンチ=インディアン戦争ではフランスが先住民部族と手を組みイギリスと戦うの。
だけどイギリスはケベックモントリオールを攻略し、勝利するのね。
インドの戦いは南部が第三次カーナティック戦争で、プラッシーの戦いは北部ね。
インドの戦いでもフランスに対してイギリスが勝利するわ。


こうして1763年のパリ条約ではイギリスが世界市場を獲得することになります。
北米では以下の領土移動を覚えておきましょう。
 →フランスからはカナダとミシシッピ川以東のルイジアナをゲット。
 →スペインからはフロリダを得ます。
インドではフランスがインドにおけるイギリスの優越を承認します。
イギリスはベンガル地方の徴税権を獲得し、インドの植民地化を本格化させるのです。


産業革命の要因は?と聞かれたら「資本蓄積」「労働力創出」「世界市場」の3つが挙げられるのだけど・・・。
世界規模での商業覇権は資本蓄積をもたらし、1763年のパリ条約で世界市場を獲得するのね。
これに加えて農業革命による第二次囲い込みで都市に人口が移動し労働力が創出されるのだわ。
こうして産業革命がイギリスで起こることになるの。
これ以後、アメリカ独立革命フランス革命・ラテン=アメリカの独立が連鎖的に起こっていくわ。