桜井光『黄雷のガクトゥーン 〜What a shining braves〜』 (Liar Soft(ビジネスパートナー)) (2012-12-21) の雑感

架空歴史学園異能バトル。雷電魔神(自称72才)が説教をしながら10万学生を救う説教ゲー。
雷電魔神ニコラ=テスラは世界を救うために異能を得たが、それ故に世界の理から除外された。
ニコラが存在し続けるためには、誰かの記憶に残り続けねばならない。
記憶の継承ができるのはスミリヤ家の人々のみだが、そのためスミリヤ家は殺されてしまった。
唯一の生き残りであるネオン=スカラ=スミリヤは一家惨殺を乗り越え、ニコラと結ばれる。
辛い過去を持ち異能を欲する若者達を72才が説教していく様子を眺めることになる。

雑感

  • 架空歴史
    • 時代設定は20世紀初頭、電気エネルギーではなく蒸気機関が高度に発展した世界。マルセイユには有能な若者を集める学園都市が形成されており、そこへ一家惨殺事件の謎を解くためにネオン=スカラ=スミリヤはやってくる。しかしネオンは学園の下層労働力を担う学生として学園都市に潜り込んだ二級学生であった。辛い日常を送るネオンはする切れ限界を迎えていた。さらにネオンは何でも願いを叶える鐘の生け贄にされそうになる。これを救ったのがニコラ=テスラ(72才)であり、彼は10万学生全てを救うと宣言し、その異能を持って説教をしていく。

  • 異能バトル
    • ニコラは思弁的探偵部を創設し、ネオンを助手に据えて活動していく。これに敵対するのが学園都市を運営する優秀な生徒の集団である統治会のメンバー。彼らは過去に深いトラウマを抱えており、それを解消するために強い力を欲し、何でも願いを叶える鐘を成長させようと試みる。鐘を成長させるには異空間においてニコラを倒し、生け贄に捧げなければならない。そんなわけで統治会はニコラに異能バトルを挑んでくるのだが、ニコラはそれらを返り討ちにしながら説教を施し、過去のトラウマを解消させていく。

  • スミリヤ家惨殺事件の謎
    • ネオンはニコラと思弁的探偵部の活動をしていくうちにニコラに惹かれていく。しかし一家惨殺事件の原因はニコラと吹き込まれ疑心暗鬼になっていく。あくまでも間接的な要因なのだが、ニコラはそれをネオンに認めてしまうのであった。ニコラが直接スミリヤ家を殺害したのではない。ニコラの存在のためにはスミリヤ家が必要であり、ニコラを邪魔に思った「結社」がスミリヤ家を斬殺したのである。そして10万学生を集める学園都市が形成されたのは、ニコラの存在を完全に消滅させるためんであったことが判明する。
    • ニコラは世界のルールから除外された存在なので、放っておくと消滅する。ニコラが存在するには誰かの記憶に残っていることが必要。統治会を含め10万学生たちはニコラと過去に関係していた。故に「結社」は彼らを集めて彼らからニコラの記憶を抹消することでニコラの存在を消そうとしていたのである。特にネオンの存在は重要であった。スミリヤ家の祖先はニコラに惚れていた。しかし世界の理から外れたニコラとは思いが遂げられない。故に祖先は自分の一族がニコラを忘れられないように血統の中に組み込んだのである。
    • ラスボスバトルにおいて、ネオンからも忘却されそうになり、ニコラは消滅しかけてしまう。しかしここで大団円のお知らせ。今までニコラに挑戦し説教され救われた人々がネオンを支えるのだ。ここが物語最大の見せ場かもしれない。日本人は大団円パワーに弱いので感動する傾向にある。こうしてニコラの存在を思い出したネオンのお陰で、ラスボスバトルに勝利する。ネオンはニコラと結ばれてハッピーエンドを迎える。