果つることなき未来ヨリ「ユキカゼルート」の感想・レビュー

ホロコーストを行わんとする侵略国VSレジスタンス軍団の最終決戦を描いた総力戦。
ユキカゼ√というよりもドラゴン軍団トカゲ族全体の種族の生き様を描いたルートだといえる。
メインヒロインのユキカゼよりもサブキャラ達の方が人物像を深く掘り下げられており戦争偶像劇の側面が強い。
一応ユキカゼには姉に怨恨を抱くイモウトのセツナとの戦いが用意されてはいるがアッサリ目で終わる。
そして異世界モノあるある展開「形而上学的な神との対話世界システムとの戦い」も挿入される。
「世界の創造主」に対して「世界観の構造」そのものに挑むというメタ的な展開も手垢にまみれてきたの。

ユキカゼルート概要


  • 形而上学的な神との対話と世界史システムとの戦い
    • はいはーい、異世界モノあるある展開が始まるよ。それは世界そのものを構築した創造主である神との対話。神は数多の世界を創造しており、本作の舞台や現代地球世界もそのひとつに過ぎないのさという設定。で、神は生命体を生み出しそれを観ていたのだけれど観測者としての立場に飽き対話を望んでいた。そのため神は自分のコピーとして価値観が異なるライバルとしての「敵神」を生み出した。価値観が異なる以上、対立が生じる。「主神」は生命の進化や文明の発展にできるだけ不干渉の立場を取ろうとしたのに対し、「敵神」は積極的に文明の発展を促すように世界内部に介入するという立場を取る。そして「敵神」は新人種を作り上げ、神である自分と同等の価値観を持つ存在として育成しようと、知恵を与え始めたということだ。この新人種が本作の舞台で亜人種たちを殲滅しようと試みる集団となる。敵神の言い分はこうだ。「新人種は知性に長けて技術革新に優れてはいるが、種としては脆弱で滅亡が近づいている。亜人種と交配すれば子孫は全て亜人種化し、新人種同士の交配は染色体異常を引き起こし雄が生まれづらくなる。新人種の滅亡を防ぎ、さらなる発展を成すには亜人種を滅亡させるしかない」と。こうして物語の冒頭につながりホロコーストを行おうとする新人種の侵略国に対し、レジスタンスが抵抗するという構図になる。主人公のイチローは世界のバランスを取り世界を滅ぼさずに戦争を終結するために「主神」によって召喚された存在。イチロー以外にも適性のある人材は何人も召喚されており、それがたまたま上手くいったのが昭和20年代の軍人であったイチローだったというわけ。



  • 核落とされて忠臣蔵展開になり最終決戦で総力戦な大団円エンド
    • 異世界転生して現代日本の技術でファンタジー世界を無双する。はつみら世界レジスタンス軍もイチローの軍制改革により侵略国との戦争を優位に進め和平交渉にまでこぎ着ける。しかし和平交渉の場で各国の首脳が集まった所に侵略国は核を使用、原爆落っことし、全てを吹っ飛ばす。侵略国の核保有周辺諸国はびびりレジスタンス軍を見放す。こうしてレジスタンス軍は一時解散となったのだ。しかしこれは忠臣蔵パターン展開であり、一度解散させることで決意を試すというもの。レジスタンス軍は再結成する流れとなり世界を救うという大義名分ではなく、ユキカゼの私闘という形で再蜂起する。一方侵略国は、ドラゴン系トカゲ族の王都に原爆投下するため、襲いかかってくる。こうして最終決戦という形になり全勢力を挙げて戦闘が展開される。いやー総力戦展開はそうさせる装置だと分かっていても胸が熱くなるね。今までイチローが育ててきた飛竜隊メンバーが各チームのリーダーとなり部下を率いていく様子はステキ。また陸戦部隊のトカゲたちが兵士としての生き様を見せていく様子は男を感じさせる。ユキカゼのイモウトは姉に対する劣等感と怨嗟により襲いかかってくるがイチローにより甘えだと説教された後でもあり、アッサリと撃退される。最後は敵の飛行要塞にイチローが乗り込みラスボスバトル。新人種の繁栄という普遍的な正義を掲げる敵首相に対し、戦争に善悪も良いも悪いもクソもないと白兵戦で突撃し勝利。ご都合展開で空中要塞は原爆積んだまま何故か上昇を続け空中で爆破。イチロー軍団の主要メンバーは大抵生き残った。戦争終了後、イチローは帰るか残るかの選択を迫られる。帰るとイチローの子をユキカゼが生んだよ子孫繁栄エンドになり、残ると二人で戦後世界を生きるよエンドになる。勝子はどうなんったんだ!?