ISLAND 世界救済編の感想・レビュー

超古代文明をモチーフにコールドスリープを繰り返して世界を救おうとするはなし。
タイムリープものかと思いきや一定した時間軸を2万年ごとに繰り返しているという解釈のようです。
ここで問題となってくるのは「2万年周期繰り返し」の根源となっているのはどこ?かということ。
「4万年前の原初の根源」と「完全なる救済後世界」が描かれていないので読解と想像力が必要となります。
数多のミスリードと伏線の嵐だったので、この感想もミスリードかもしれませんのでご了承ください。

一応時間軸に沿って整理しますが2万年周期の繰り返しなので始まりがどこか分からない


  • 繰り返される世界
    • 物語の主な舞台は二つあり「1999年世界」と氷河期時代の「アイランド」世界です。世界は2万年周期で度重なる繰り返しを続けている、という設定のようです。そのため「1999年世界」の2万年後は「アイランド世界」となるのですが、その「アイランド世界」のさらに2万年後は「1999年世界とそっくりな世界」に至るという展開です。これを背景にすることによってコールドスリープを多用し「原初の根源」→「1999年世界」→「アイランド世界」→「2万年後の1999年世界」→「さらに2万年後のアイランド世界」→「さらにさらに2万年後の1999年世界」・・・というのを繰り返しているようです。物語の世界の究極的な目的は「過去に戻るタイムマシンを開発して、それを使って原初の始まりまで戻り、繰り返しを断ち切ること」なのだと判断されます。しかしながらコールドスリープには記憶除去の副作用があるため、結局は記憶リセットされ、さらなる2万年後世界に飛んでしまうのです。何度も2万年周期を繰り返した主人公くんは無残に終わった数多の自分たちに支えられ「1999年世界」を救済することに成功します。そして今度は「アイランド世界」を救済するためコールドスリープにつき、記憶を保持したまま「アイランド世界」のリンネと邂逅を果たすのです→ここでゲームは終了。果たして主人公くんは「繰り返しアイランド世界」でリンネと共に過去へ跳躍するタイムマシンを開発して、原初の世界へと行き、根源にたどり着くことはできるのでしょうか?とプレイヤーに想像させるオチになっているのだと思います。『ISLAND2』の発売はいつですか?



  • 「1999年世界」
    • 現在の日本における現代文明の時代です。ここで主人公くんは凛音・夏蓮・紗羅の3人を相手に少女救済をします。夏蓮ルートと紗羅ルートはサブヒロイン的な内容です。夏蓮√はそもそもタイムリープ要素はなく、紗羅√ではタイムリープと見せかけてちゃぶ台返しを食らいます(詳しくはサブヒロインズの感想・レビューを見てね)。そして複雑なのが凛音√。幼少期の凛音は御原家の女当主から虐待を受けたため内面世界へ閉じこもることで精神を保とうとしてしました。自らを伝承上のヒロインになぞらえようとしていたのですね。そんな時に出会ったのが、風土病を発症させ隔離されていた御原家の長男でした。凛音は自分と御原家長男を伝承に見立てて仲良くなるのですが、二人は海に流され無人島へ漂着してしまいます。そこで御原家長男は自らを犠牲にして凛音を救い、凛音は無事だったのですが、ここで5年間のコールドスリープにされます。「1999年世界」の凛音は5年間のコールドスリープから目覚めたばかりであり、記憶もあやふや状態でした。そんな凛音の前に、(2万年のコールドスリープを経て)主人公くんがやってくるのです。しかし「1999年世界」では凛音が自殺に至るという結末になってしまいます。そのため、主人公くんは凛音を救うために過去へと跳躍できるタイムマシンが開発されるのを待つため、2万年のコールドスリープに入るのでした。こうして2万年後の「アイランド世界」へとたどり着きます。



  • 「アイランド世界」
    • 「1999年世界」の2万年後の世界です。設定としては地球寒冷化を迎えた文明崩壊後の世界であり、人々は地下シェルターの中で前近代的神権政治による生活をしています。主人公くんはここでも記憶をリセットされます。凛音・夏蓮・紗羅の生まれ変わりもいて、それぞれ苦悩に満ちた人生を歩んでいます。教会のトップの娘である「サラ」を通して支配階級における貧困層への善意に基づく支援の無残さが描かれます。また「カレン」を通して人口統制により戸籍が貰えない黒孩子(闇っ子)が扱われます。主人公くんはタイムマシンを開発している「リンネ」のもとに身を寄せ、それを手伝いながら日々を過ごすのですが、主人公くんの存在は秩序を崩壊させ、「アイランド世界」を破滅へと導いてしまうのです。サブヒロインたちの散りっぷりをお楽しみください。精神崩壊寸前ながらも主人公くんはリンネの存在によって救われつつ、タイムマシンの開発に成功します。こうして主人公くんはヒロインたちの数多の犠牲を踏み台にし、当初の目的を達成→1999年世界へと時間跳躍を試みます。


  • 「繰り返し1999年世界」
    • 「アイランド世界」で精神的成長を果たした主人公くんは、「繰り返し1999年世界」で無双状態となり次々と少女たちの悩みや問題を解決していきます。こうして凛音は救われ自殺せずに済み主人公くんと結ばれハッピーエンドとなりました→めでたしめでたし良かったね。しかしエンディングリストが埋まりません。どういうことでしょう?
    • なんとラストの選択肢群で物語の読解に成功すると玖音√(グランドエンド)に入ることができるのです。そこで真相が明らかにされます。なんと「アイランド世界」で完成したのは「タイムマシン」ではなく「コールドスリープ」装置であり、主人公くんは過去跳躍したのではなく「アイランド世界から2万年後の世界」へと眠っただけだったのことでした・・・。フツーに考えるとそうしたら「アイランド世界」の「2万年後」が「1999年世界」っておかしくね?という疑問が湧くはずでしょうが、ゲーム内では2万年周期で同じ世界が繰り返されているのだと説明されます・・・。「アイランド世界」において主人公くんが「タイムマシン」を使った際、リンネは自分が作ったのが「タイムマシン」ではなく「コールドスリープ」装置であったことにすぐに気づいたため、自分もまた主人公くんを追って「コールドスリープ」したとのことでした。そして2万年後の「繰り返し1999年世界」へと到達したリンネは御原家に侵入。孕んでいた主人公くんとの子供は御原凛音ということになり、御原家の娘として育てられます。そして凛音の母親玖音を殺害すると、自分が玖音に成りすましたのです。
    • 繰り返される「1999年世界」で凛音自殺フラグを回避できないと、主人公くんがコールドスリープして2万年後の「アイランド世界」へ行き、「アイランド世界」ではコールドスリープ装置を開発してさらに2万年後の「繰り返し1999年世界」へと到達する、という過去跳躍しない2万年周期繰り返しが発生することになります。
    • 「繰り返し1999年世界」で凛音の救済に成功し、なおかつ玖音=リンネであることに気づくと、主人公くんにさらなる課題が提示されます。それは「繰り返し1999年世界」の2万年後の「繰り返しアイランド世界」へと行き、ホントウのタイムマシンを完成させて、過去へと跳躍し、繰り返しを発生させた原初の根源に至るというものでした。玖音リンネを信じまたもやコールドスリープした主人公くんはコールドスリープし続けた自分たちに励まされ記憶リセットされずに「繰り返しアイランド世界」へ辿りつきます。そこでまたリンネと再会!というところでゲームは終了。記憶保持状態主人公くんであるためリンネと一緒にタイムマシンを開発できることでしょうと読者に想像させるオチになっています。