サクラノモリドリーマーズ 体験版(序章〜二章)の感想・レビュー

霊視能力を持つ少年が地元を守る為に奮闘する学園異能バトルホラー。
序章は非常によく作られていて、これ単体だけでもフツーに短編ビターエンドモノとして評価できる。
思春期前後の心情変化・幼馴染への恋情とその自覚などが丁寧に描かれているが、その直後に死亡させる衝撃。
しかしその余韻も束の間、第二弾では死んだ幼馴染がフツーに主人公くんの持ち霊となっていて何とも言えない微妙な気持ちになる。
蘇生不可能にして主人公くんの記憶に刻み込まれる展開の方が良かったのではなかろうか。

体験版第1弾 中2編

  • 幼馴染への恋情の自覚及び幼馴染の死
    • 主人公くんは飛行機事故で両親を亡くした天涯孤独の中二男子。同じ飛行機事故で生き残った叔母&従妹、隣に住んでいる幼馴染などに支えられ何とか生きていました。そんな主人公くんの趣味は競技用自転車。幼馴染の父親からすすめられて始めたのですが、なかなか本格的にはまっており、週末には幼馴染と自転車を転がす毎日を送っていました。しかし主人公くんには霊視能力があり、この世ならざるものを見てしまう苦悩に苛まされていました。第一弾ではこの異能に悩まされながら、幼馴染との関係性を変化させていくことがメインとなります。幼馴染は主人公くんに対して好意を自覚したものの、主人公くんはまだまだ子供であり異性の関係などはまるで気にしません。やきもきする幼馴染の様子が可愛いですね。
    • 心情変化の契機となるのは、幼馴染が初潮を迎えたことでした。月経で週末のサイクリングを度々休むようになったり、KAWAIIウェアを身につけるようになったりと主人公くんの気持ちを揺さぶります。異能に対する苦悩は主人公くんに幼馴染がどんなに大切な存在であるかを気づかせることにもなり、とうとう二人は結ばれるのでした。しかし結ばれたとたんに幼馴染死亡展開。衝撃を受け抜け殻状態となった主人公くんが復活できたのは、犯人への復讐心。黒い感情を力に変え主人公くんは立ち上がるのです。

体験版第2弾 本編


  • 異能の自覚と物語の目的の提示
    • 第一弾で死亡した幼馴染への想いが主人公くんの生きる糧となったのに、その幼馴染はあっさりと守護霊化して存在そのものは復活してました。序章の感動が台無しだぜ。幼馴染は、主人公くんの持ち霊となり、不動の嫁ポジションとして陰に日向に大活躍します。
    • 主人公くんは幼馴染殺害事件を通して霊視・幼馴染の守護霊に加え、霊の記憶を読み取る異能を身につけていました。これにより「自分が異能を持っているのは何か意味がある/自分の異能を役に立てたい」という承認欲求を発動させることになり、ストーカー事件に首を突っ込んでいくことになります。この事件は「郷土を異能から守ろうぜチーム」が結成される機能を有しており、主人公くんが霊視で見てしまう怪異の伏線が回収され、物語の目的に結合していきます。
    • 人間の部位を切り刻む描写を撮影したビデオとその実物を送りつけてくる犯人を捕まえることが物語の当面の目的です。守護霊幼馴染、アタッカー系和服剣道黒髪(メインヒロイン)、死亡した親友の姉(支援系)、怪異を捕縛することを目指す化学者枠ヒロインを引き連れて、郷土防衛隊は戦いの中に身を投じるのでした。