かつて故郷を逃げ出した少女が、新天地で大きく成長し、故郷に戻ってその能力を示す話。
スランプや試練に陥った際に、これまで築いた絆や人脈を通して、解決を模索する展開は結構好き。
しかしファンディスクのアフターであり本編でもう既に大きな問題は解決しているため短く単調気味なのは否めない。
つりおつ組は本当に最後の方でちょろっと出てきたけであり、もう少しおとりろ組との絡みが欲しかった。
あともう一つの課題であった大蔵家晩餐会イベントがあってないようなものなのもどうなんでしょうね?
小奇麗に無難にまとまっており、作中で述べられていたある種の「割り切り」が体現されている感もあった。
物語の原動力が「りそなを成長させるために用意された課題にすぎない」から単調なのかと思われます。
- 衣遠お兄様からの二つの課題
- りそなはチヤホヤされ調子こいてしまい迂闊な発言をしてしまいます。しかしその言動は衣遠お兄様の耳に入ることになり、二つの課題が提示されるのです。それは「大蔵家の晩餐会の仕切りを行う」ことと「日本校のファッションショーでつりおつ組とたたかう」こと。しかしこの時点でもう既に衣遠お兄様とは兄弟の絆で固く結ばれており、このりそなに対する課題も、未だ未熟であるりそなを導くための仕組まれたものであることが早々に明示されてしまいます。そのせいもあってかシナリオ全体が予定調和気味というかあっさりと単調に進んでいきます。りそなのスランプが解決されたら、あとはもう服飾制作一直線であり、その服飾描写もほとんどないためダイジェストモード感半端ないです。課題の提示→スランプ→育んだ絆(コネ・人脈)劇場〜サブキャラ達からの啓示〜→遊星さんからのコートのプレゼント→りそなのゴスロリ服販売→大蔵家への手作りプレゼント→つりおつ組との対決に勝利!という流れ。展開早いな!とツッコミを入れてしまうプレイヤの皆さんも多かったのではないでしょうか?本編の魅力であった要素がファンディスクではほぼ欠落状態。パリならではの外国地誌ネタ・世界史ギャグ・服飾制作に関する蘊蓄や専門知識・世界の服飾事情などをもっと入れて欲しかったものです。地誌・世界史ネタでパッと思い出せるのはポンパドゥールの性奉仕技術ネタ・イルクーツク・マトリョーシカ・日独同盟くらい?。最後は、電飾により服の色が変化する演出で勝利をおさめるのですが、この服飾制作についてもパリの小売店でのやりとりが少し行われたぐらい。いや確かに差別的な小売店でパリっ子と認められるところは結構良かったですが。
- 創作活動における「割り切り」がこのファンディスクそのものであることを暗示させているんだ
- りそながスランプに陥った際に、サブキャラたちからアドバイスを貰うのですが、その時に指摘されるのが「割り切り」です。一度大きく成功すると、次からの創作がうまくいかなくなってしまう問題はよくあることです。いわゆる一発屋で終わってしまうことですね。大事なのは「続ける」こと。りそなも自分が納得するデザインをすることができず、努力をして数を重ねるものの、新たな服を生み出せずにいました。そんな時に完全に納得していなくても作品として世に出してしまうことを提唱されるのです。そして遊星さんはりそながボツにしたデザインを使用してコートを作りプレゼントするのですが、これがブレイクスルーとなって、りそなのスランプを乗り越えさせるのです。しかしこの「作品への割り切り」は何かを暗示させていると思いませんか?そうなんです。このファンディスクそのものを指しているのかも?ということなんですね。「つりおつのルナ様√」と「おとりろの大蔵家√」は非常によくできていました。商業的につりおつシリーズは成功といっても過言ではないでしょう。しかしこのファンディスクは延期に次ぐ延期(まぁこの業界の延期はよくあることで10年以上延期して見事大作となった作品などもありましたが)。そのため「割り切って」発売されたんじゃないかなーと一瞬邪推してしまったのでした。他のプレイヤーの皆さんはこの点に関してどう思われたでしょうか?
関連
- つりおつ
- おとりろ
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