見上げてごらん、夜空の星を FINE DAYS「ひなみん」ルートの感想・レビュー

コンビニバイトの引継ぎを通して、天文部の後輩である宇宙好き不思議少女と絆を育むはなし。
主人公くんへの奉仕心から、受験勉強で抜けるバイトシフトの穴埋めに入り、稼いだカネは部の備品に回す健気さよ。
部活を二人で支えてきた絆と自分が稼いだカネで買った双眼鏡で月見をする描写はグッとくる。
しかし短い。天文部を二人で切り盛りしてきた頃から描いて欲しかった→修正パッチじゃ無理か。
あと宇宙創造系ネタをキャラ付けのために使うのではなく、シナリオに絡められれば良かったかと。

山田陽南のキャラクター表現とフラグ生成過程


  • バイト引継ぎから始まるフラグ構築
    • 山田陽南ことひなみんは天文部の後輩。高2編において天文部が主人公くん一人になってしまった時に入部してくれた大切な存在でした。しかもホントウに宇宙に想いを馳せたり思索が好きだったりとミーハーっぽくなくてステキです。それからひなみんは主人公くんと二人で苦労を分かち合いながら天文部を切り盛りし、先輩後輩としての絆を育んできたのです。ファンディスクではいきなり高3編から始まります。主人公くんが部活を引退することになりひなみんが部長となりました。引継ぎが必要だったのは部長の座だけではありませんでした。主人公くんが受験勉強で抜けてしまうためコンビニバイトの後継者も求められていたのです。これを聞いたひなみんは先輩である主人公くんのお役に立てればという奉仕心からバイトに志願し、コンビニ編がスタートします。レジ打ちを見ると私の黒歴史が刺激されるんですよ・・・カネを扱うから気を遣うんですよねー。そんな中ひなみんは順調に仕事をこなしていきます。もう少しバイト編でもコンビニあるある失敗談でひなみんが落ち込むとかやって欲しかったものです。タバコの種類問題も電子マネーも難なくこなしていく優秀なひなみん。バイトの引継ぎを通して学校の部活だけでなく、私生活でも絆が深まってきます。



  • 天体要素は双眼鏡で月見
    • 本編における幼馴染二人の√では天文要素がどっかいってしまい「インターネットミーム拡散」と「自罰的な少女の内面描写」にシナリオのテーマが移ってしまい残念でしたが、ひなみんとは天文活動を一緒にやれてほっこり。ひなみんはバイトを金銭目的ではなく主人公くんのお役に立てればと思ってシフトの穴埋めのためにやっているので、お金の使い道がありません。そのため、天文部の備品として双眼鏡を買うのです。自分のお金を部のために回し、それが自分の使いたい方法だと述べるひなみんのいじらしさが良く表現されており主人公くんは陥落します。購入した双眼鏡を使って二人で月を見る描写も雰囲気が出ていたと思います。ただ、ひなみんのキャラクター表現の要素ともなっている「宇宙創造系が好き」という設定が人物描写の掘り下げであまり触れられておらず、ひなみんの生い立ちとか、それが主人公くんへの想いにどのように伝わってくるかを描けていれば、ひなみん√は個人的良作となったでしょうに。フラグ構築後は急ピッチで進み、受験編とかもなく、フツーに合格してお別れ。卒業式で先輩後輩の区切りをつけるためにお別れをするシーンってのは様式美ながらもじんわりと来るものよ。最後は引っ越しの準備にひなみんが付いてくるよとトラックの荷台エンド。