雑録

フローラル・フローラブ「椿姫こはねシナリオ」の感想・レビュー

現代社会における複雑な家庭環境と救済としての宗教をめぐる問題。あとモモンガを探すはなし。
雰囲気としてはCLANNADの渚√に近く、児童虐待で傷を負った主人公くんが大天使こはねに癒されていく。
シナリオは大きな事件もなく淡々としており平坦だが、辛い時にただ傍にいてくれる感が割と良い。
癒された主人公くんが今度は少女の問題を解決することによって自己肯定感を得る「少女救済の原理」発動。
家族の愛を知らない自分たちが家族を作ることができるだろうか?という問題に立ち向かっていく。

こはね先輩のキャラクター表現とフラグ生成過程


  • 大天使子こはね先輩
    • こはね先輩は母性に満ち溢れた寛大な大天使。児童虐待を受け、両親に対する愛憎の感情に苦しみ、自分は単なる代替品であると打ちひしがれる主人公くんを、ありのまま受け入れてくれるのです。ただ存在しているだけで人間は尊いのだ!!とアガペーを主人公くんに降り注ぐ。何も言わずにただ受け入れるというこはね先輩の寛容さは主人公くんの癒しとなり、ゆっくりと心を回復させていくことになります。その一方で「Pity is akin to love.」(かわいそうは惚れたってことよ)が発動し、こはね先輩もアガペーではなく主人公くん自身に対する愛情が芽生えてくるのでした。主人公くんはお世話になったこはね先輩に恩返しをしたいと思うようになり、時折見せる先輩の「家族に対する憂い」が気になって仕方がありません。しかし先輩が自分にしてくれたように無意味にほじくり返すのではなく、相手がいつ心情吐露しても良いように覚悟だけし、そっと寄り添っていくのです。


  • モモンガ失踪事件
    • こはね先輩の心情を揺り動かすことになるのがモモンガ失踪事件でした。このモモンガはこはね先輩にとって家族ともいうべき存在。主人公くんメンバーズも必死に捜索するのですが、先輩はモモンガが高齢であることからその死を受け入れようとしていたのです。諦念。主人公くんの活躍によりモモンガは発見されるのですが、ここから児童虐待問題に関するはなしに繋がっていきます。なんとモモンガは母親により隔離されて放置されている少女のところにいたのですが、こはね先輩は過去同じような境遇にあったのです。こはね先輩は放置児であり両親に育児放棄されていました。当初先輩は両親の関心を引こうと必死だったのですが、受け入れられないことを悟ると全てを諦めるようになっていったのです。そんな幼少期の先輩を救ったのが、このモモンガの導きであり、以来先輩はしばしば宗教施設を訪れるようになりました。



  • 両親からの愛を知らないのに家族を持つことに対する不安感など
    • こはね先輩は上記の過去を受け入れることができていたのではなく、ただ宗教的な救いにより緩和しているだけに過ぎませんでした。しかし支えとなっていた主人公くんの存在は、こはね先輩をもまた癒していたのです。こうして先輩は主人公くんに自分の境遇を語ることによって、過去と向き合えるようになったのです。家族を望む先輩に対して、お互いに家族愛を知らないことから不安を抱く主人公くん。それでも先輩となら、辛いことがあっても困難があっても歩んでいけると結婚エンドを迎えます。そしてトートツにエンディング後に主人公くんが継承した能力の補足説明が碧衣さんのモノローグで紹介され、人を癒す力をもまた持っていたことが判明します(いやこれ碧生さん√でやれよと思ってしまった)。