アマツツミ 第三話「恋塚愛 -雪- 冷たい夏」の感想・レビュー

テーマは自分の責任で第三者を殺してしまったという自罰に悩まされるシリーズ。
第三話の題材はセカイ系。あなたと私がいさえすればこの世界には何もいらないわ!という展開。
で、最近のセカイ系は二人の世界に閉じこもると社会と文化の否定に繋がると悟るわけだ。社的連帯。
最後は主人公くんが言霊信仰で死霊を口寄せし少女の罪の意識を解き放って呪いから解放されるというオチ。
主人公くんが言霊で愛の認識をずらして自分を姉だと思い込ませたとも解釈できるがたぶん前者じゃない?

恋塚愛のキャラクター表現とフラグ生成過程


  • 自罰意識を持ったヒロインのバーゲンセール
    • 恋塚愛は双子の姉を間接的に自分が殺してしまったと悩んでいました。またそれがうっかりバタフライエフェクトを決めてしまい、閉鎖的なムラに感染症をもたらし、主人公くんの両親も死に追いやり、共同体を破滅に導いたという罪の意識がありました。ではなぜこのような意識を愛が持つに至ったのでしょうか。それは早熟な双子の姉が性的に目覚め主人公くんの貞操を奪ってしまおうとする場面を目撃したからでした。そのショックにより愛は無意識に言霊を使用してしまい姉を村から出る買い出し組に選ばさせてしまったのです。姉はその買い出しの時に感染症におかされて帰ってきます。さらにその感染症が村に広まってしまったという寸法です。姉が死んだことにより愛は主人公くんとの許婚の地位をゲットし、村一番の能力保持者となりました。しかし、その代償として自罰意識により、常に雪と寒さに苛まされる冷え性となってしまったのでした。


  • 呪いからの解放編
    • 愛は当初、許婚である精神的余裕から主人公くんが誰を抱いても特に気にしませんでした。しかしヒロインたちと交流を重ねていくうちに優劣順序を気にするようになり、主人公くんが愛を後回しにして妹系ヒロインと生殖行為を行うと嫉妬に駆られるようになっていきます。ゆえに愛は言霊信仰を用いてセカイ系を発動。主人公くんの認識を世界から切り離し、自分と二人だけの世界にしたのでした。ここで主人公くんが願ったのは愛の呪いからの解放でした。言霊の多様により死にかける愛を救おうとします。その手段が死霊の口寄せ。愛の自罰意識を解放するには、愛が間接的に殺したと思い込んでいる姉から許されることしかありません。そこで主人公くんは言霊を使用して愛の双子の姉の死霊を呼び寄せたのですね。ここはおそらく解釈が分かれるところであり、死霊を口寄せしたのではなく、主人公くんが自身を姉と誤認させて説得を試みたとも考えられます。フツーに文章を読むと後者の誤認説の解釈が妥当っぽいのですが、物語の趣旨とイベントCGを根拠に判断すると死霊口寄せ説と捉えた方が良いかもしれません。まぁ、そんなわけで愛は自罰意識と呪いから解放され現世を肯定して生きられるようになったわけです。