終末なにしてますか?忙しいですか?救ってもらっていいですか?第1話「太陽の傾いたこの世界で」の感想・レビュー

人類滅亡後の世界で、果ての無い消耗戦を強いられる死霊兵器少女たちの最期を描く話。
クトリが自分の死を見つめ、限られた命の中で幸福を見出す様子をみんなで見届けましょう。
冒頭からクトリが玉砕する最期の場面(原作3巻)を提示してその死を視聴者に意識付けしています。
第1話はそんな死を迎えるクトリと主人公くんの出会いの場面が描かれていきます。
映像化されるとこんなにもキャラたちがかわいく見えるものかと驚きです。クトリかわいい。

如何にして主人公くんは死霊兵器少女の管理人となりしか


  • かつて俺TUEEEしていた挫折系主人公くん
    • 物語の舞台となるのは人類滅亡後から500年後の世界。地上では生活できず、亜人種たちが浮遊する島々で暮らしていました。主人公くんは人類滅亡前の世界の唯一の生き残りです。最後の戦いで石化させられてしまうのですが、500年後に遺物発掘で商売するサルベージ船によって引き上げられ、石化の呪いを解かれたのです。自分の愛した人たちが既に死に絶えたことに絶望した主人公くんは、自罰のために低賃金肉体労働でカネを稼ぎ、自分をサルベージしてくれた人たちに恩義を返そうとしていました。これだけの内容を文章の詳細なしに映像の文脈の中でどう表現するかが着目されていましたが、登場人物の振舞いに伏線が散りばめられていたため、なんだか思わせぶりな会話になっていましたね。


  • 冒頭のデートは死霊兵器少女が死を受け入れる儀式
    • ボーイミーツガールとして採用された手段は落ち物系。空から降ってきたクトリを主人公くんが受け止めて出会いが始まります。この時、クトリは主人公くんに観光案内を願うのですが、この観光案内が実はクトリが死を受け入れるためのものだったということを知っていると、切なさが炸裂してしまいます。この時点でクトリは特攻玉砕を命じられており、戦争で命を散らす運命にあったのです。そのため最後の想い出づくりのために浮遊島を回り、島の一番高い場所から全体を眺めて自分の死を受け入れたかったのです。こうして主人公くんはクトリの死の受容に関与することになりました。物語の面白いところは、無意識的にクトリに死を受け入れさせた主人公くんが、事情を知った後、あらゆる努力を尽くしてクトリに生き残る決意をさせるところなのです。


  • 兵器工場は児童収容施設よろしく幼女しかいませんが、彼女たち自身が死霊兵器です(※メイドは違う)。
    • 挫折系主人公くんは自罰のためにわざと自らに苦労を強いているわけですが、それに見かねた友人のナメック星人が就職先を斡旋してくれました。友の熱意にほだされ、軍属となり兵器工場の管理に就任します。しかし向かった先には幼女たちしかおらず、一見すると児童収容施設。そして好奇心溢れ纏わりついてくる幼女たちを捌く様子を見せることで、主人公くんが児童たちの扱いになれており、その理由が孤児院でお父さん的役割を担ってきたからであることを匂わせています。クトリ含め死霊兵器少女たちとのやり取りが楽しいですね。一人だけ死霊兵器ではないのが、人食いトロルであるメイド(企業側の管理人)。初見だと「食べちゃう」が性的な意味にしか聞こえない。そして終局部分は主人公くんの前世の描写で最後の戦いに赴く前のシーン。主人公くんをお父さんと呼ぶこの少女の成れの果てが、クトリたちを襲う魔獣かと思うとこれまた涙がそそりますね。