アマツツミ 第二話「朝比奈響子 -声- 別世界の友人」の感想・レビュー

友人の命を代償に生き残ってしまった少女の罪の意識をめぐるはなし。
自分が死ねば良かった自罰的な少女が生んだ意識がイマジナリーフレンドを具現化する。
このシナリオで面白いところはあくまでも「死霊」ではなくヒロインが生み出した空想物であるところ。
つまりは「生者の自己満足」であり、そのためにヒロインが命を捨てようとするのだが・・・
結局、ご都合主義展開でイマジナリーフレンドに死霊の残滓が残存しているという展開で説得されて終わる。
どうでも良い話だが、イマジナリーフレンドが死ぬ際に水辺に入っていくシーンはナルキを彷彿とさせた。
あと主人公くんのヤリチソぶりがすごく、一本道のシナリオで次々とヒロインたちを食い散らかしてしていきます。

朝比奈響子のキャラクター表現とフラグ生成過程


  • 死霊具現化
    • 朝比奈響子は巫女ヒロイン枠で霊視能力保有者。死霊に悩まされてきたことからぼっち属性であり、友人を欲していたため、転校してきた主人公くんに擦り寄ります。響子が対人関係でトラウマを抱えている理由としては霊視能力以外に、幼少期トラウマ問題がありました。それは友人が自らの命と引き換えに響子を救ったということでした。響子は「自分が死ねばよかった」と悔恨しながらも「犠牲となった友人の命を無駄にしないためにも生き抜く義務がある」との天秤にかけられながら、苦悩の人生を歩んできたのでした。遺族の弟からはお前が死ねばよかったんだと暴言を吐かれたこともあります(物語中で和解)。そんなわけで死に惹かれていた響子だったのですが、主人公くんの「言霊」能力により、死んだ筈の友人を具現化することができたのです。



  • 死霊ではなくイマジナリーフレンドだった
    • しかし、この友人の「具現化系」が物議を醸しだすのですよねー。当初は「友人の死霊」を具現化したと思っていたら、その具現化系は友人の死霊などではなく「響子の記憶を元にしたイマジナリーフレンド」に過ぎないってところがミソなんですよ。友人の命と引き換えに救われた響子が今度は自分の命を捧げて死霊の黄泉帰り(甦り)を行おうとしていたら、それは結局自分の妄想の産物にしかすぎませんでしたーって展開。すごくアイディアとして面白く感じていたのです。そして「例え自分の妄想の産物にしか過ぎなかったとしても」自罰に悩み切った響子が強固な意志で「自分の命を代償にしてまで妄想を実体化させたい」というところが手に汗握るのです。



  • と、思ったら死霊だった
    • けれども、主人公くんの説得を鋼鉄の意志で跳ね返すからこそキャラクターが立っているというにもかかわらず!!なんとイマジナリーフレンドには死霊の残滓が残っていましたよというご都合主義展開。つまりは妄想でない実際の死霊の「友人」の言葉として説得が試みられるのです。えーーーー。今までの展開は何だったの!?・・・で、「友人」の説得にあっさり納得しちゃった響子は即座に手の平を返し、友人が消えていく様子を見守り、明日へと生きる力を得たのでしたとさ。ちゃんちゃん。あれまぁ。私は作中における「本当の意味では死者の介在していない、生者の自己満足に過ぎないのではないかということだ」というセリフに割とコーフンしたため、最後の終局部に対して複雑な感情を抱いたのですが、他のプレイヤの皆さまはどう思われましたか?