なぜイスラーム世界の拡大に際して、キリスト教徒・ユダヤ教徒・ゾロアスター教徒などはムスリムによる支配を進んで受け入れたのか?


と、いうわけで今回はイスラム教徒の支配が受容された理由だけど、「啓典の民」エンドで一発じゃないかしら?と思っていたのだけど・・・ゾロアスター教徒って啓典の民なのかしら?


啓典の民」はジズヤ(人頭税)のとこで触れることなので、知らない人はいませんよね?イスラーム世界では『旧約聖書』と『新約聖書』は『コーラン』に先立つ啓典とされました。だから啓典の民。そして、ジズヤを支払えば信仰の自由が認められ、生命・財産の安全が保障されました。


だーかーら、ゾロアスター教徒啓典の民なの?


啓典の民」は本来、ユダヤ教徒キリスト教徒なのだけれども、イスラーム世界の拡大とともに異教徒の種類が増えていくと、「啓典の民」に準ずる扱いを受ける宗派も現れてきます。正統カリフ時代以降はゾロアスター教も「啓典の民」と同じ扱いを受けましたし、仏教も同様です。ただし多神教偶像崇拝が明確な宗教は厳しい処遇だったようで、ヒンドゥー教などはダメ。


へー、ゾロアスター教って「啓典の民」と同じ扱いをうけたなんて知らなかったわ。あと、イスラーム世界における分業の話をしなさいよ。


イスラーム世界の拡大に際して、ムスリム支配が受け入れられた要因のうちの一つとして、異教徒の活動領域が確保されていたことが挙げられます。


イスラーム法では利子が禁じられているのは有名な話だわよね。だからユダヤ教徒に金融や両替の業務が委ねられていたのも良く知られているわね。あと「進んで」を強調するために単性論派を指摘するのもいいんじゃない?シリアやエジプトはビザンツの勢力下にあったけど、単性論派は異端として圧迫を受け入たのよね。だから信仰の自由を認めてくれるイスラーム支配を「進んで」受け入れる要因となったわけね!!


そんなわけで「啓典の民」と「ジズヤの見返りとしての信仰・安全保障」は必須事項ですね。それに「異教徒の活動領域の確保」と「単性論派」を加えればムスリム支配を進んで受け入れた理由の答えになると思います。

7世紀にアラビア半島に興ったイスラム教は、西アジア北アフリカを中心とする広大な地域にひろまったが、その初期の過程で、各地のキリスト教徒・ユダヤ教徒ゾロアスター教徒などがイスラム教徒の支配を進んで受け入れるということがしばしば見られた。その理由と思われるところを述べよ。(※4行×30字=120字以内)(東大1987-2-C)