2020-09-01 倫理 源流思想【3】イスラーム 倫理 源流思想 1.イスラーム世界の成立 2.イスラームの教え 3.イスラーム世界の展開 (1)シーア派とスンナ派の対立 (2)イスラーム文化 4.現代世界とイスラーム 1.イスラーム世界の成立 イスラームとは 唯一神アッラーへの絶対的服従を意味。 アッラーが定めた人類が守るべき規範(シャリーア)に従うこと。 ⇒ムスリム…シャリーアに従う信徒を指す。 開祖ムハンマド ヒジュラ…神の前での人々の平等を説き、偶像崇拝を批判したのでメッカの支配層の迫害を受け、メディナに逃れる(622年)。 ジハード…聖戦。イスラームを広め神の言葉を普及させるために各地を征服。語源は「神のために奮闘努力する」であり、戦闘行為だけでなく、自己との戦いも意味していた。 2.イスラームの教え 偶像崇拝の禁止…アッラーは創造主で絶対的な存在なので偶像化され得ない。 六信・五行 六信…ムスリムの信ずべきこと 神:唯一神アッラー 天使:神に仕える者。最上位天使ガブリエルはムハンマドに啓示を与える。 啓典(聖典):神が天使を通じて人間に伝えた啓示の書。コーラン、律法の書、福音書など 預言者:人類の指導者。ムハンマド、アダム、ノア、アブラハム、モーセ、イエスが6大預言者 来世:人は現世の行動について神に裁かれ、来世において必ずその報いを受ける。 天命:すべてがアッラーの支配を受ける。 五行…ムスリムが実践すべきこと 信仰告白:「アッラーの他に神はなし、ムハンマドは神の使徒なり」の聖句を唱える。 礼拝:1日5回、メッカに向かってお祈り 断食:イスラーム暦における9月に1か月間、日の出から日没まで飲食を避ける。 喜捨:イスラーム独自の救貧法。財産の一定の割合を教団に納める 巡礼:一生に一度は聖地メッカに巡礼を行う。イスラーム暦12月が正式の巡礼月 用益権…全ての所有権は神にあり、ニンゲンには物を用いる権利だけ与えられているので、物は常に用いられなければならないとされる。そのため、お金は貯めるよりも動かすべきで利子も禁止される。 3.イスラーム世界の展開 (1)シーア派とスンナ派の対立 イスラームの拡大 ウンマ(ムスリムの信仰共同体)はカリフ(預言者の後継者)の指揮のもとで勢力拡大を目指す→拡大を続けるなかで分裂 シーア派 アリーとその子孫のみ指導者と認める。ムスリムの1割。イランの国教。 スンナ派 預言者ムハンマドの言行(スンナ)に従う人々。ムスリムの9割。 (2)イスラーム文化 ギリシャの学問を受けついだイスラーム文化は独自の科学や哲学を打ち立て、西洋近代の学問・文化にも深い影響を及ぼす。 12世紀ルネサンス…12世紀、イベリア半島のトレドやシチリア島のパレルモを中心にアラビア語に翻訳されていた古代ギリシャのアリストテレスなどの著作のラテン語への翻訳・研究が盛んとなって、各地に大学が出現する。 4.現代世界とイスラーム イスラーム原理主義の発生 ①ソ連が崩壊して、アメリカが唯一の超大国となる ②グローバル資本主義が世界を取り巻き、資本主義は競争社会なので経済的敗者が生まれる ③経済的敗者を放っておくと弱者が固定化、再生産され、社会が停滞したり、デモや反乱がおこったりするので富の再配分を行うのが福祉国家。だが、国家財政を圧迫。 ④福祉国家が機能しなくなり、新自由主義経済へと転換。社会保障費を削減。小さな政府は自己責任論を展開する。 ⑤負け組は貧困階層として固定化され社会的上昇も望めず、自己責任論によって自己肯定感も喪失し、社会に対して絶望する。 ⑥人は宗教に救いを求め、資本主義に対するアンチテーゼとして提示された宗教原理主義に走る。