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  • ローマ及び黄河・長江流域における「古代帝国」成立過程期の「社会的変化」の類似点と相違点

    2017年度 東大第1問
     「帝国」は、今日において現代世界を分析する言葉として用いられることがある。「古代帝国」はその原型として着目され、各地に成立した「帝国」の類似点をもとに、古代社会の法則的な発展がしばしば議論されてきた。しかしながら、それぞれの地域社会がたどった歴史的展開はひとつの法則の枠組みに収まらず、「帝国」統治者の呼び名が登場する経緯にも大きな違いがある。
     以上のことを踏まえて、前2世紀以後のローマ、および春秋時代以降の黄河・長江流域について、「古代帝国」が成立するまでのこれら二地域の社会変化を論じなさい。解答は、解答欄(イ)に20行以内で記述し(※引用者註:1行は30字)、必ず次の8つの語句を一度は用いて、その語句に下線を付しなさい。

    漢字 私兵 諸侯 宗法 属州 第一人者 同盟市戦争 邑


    「古代帝国」としてローマ帝国秦漢帝国を比較するというパターンは頻出だわね。東大2017では「古代帝国」が成立するまでの「社会変化」を論じればいいのでしょう?


    ここで気をつけなければならないのは、リード文の第1パラグラフをきちんと踏まえることです。つまり、【古代社会の法則的な発展】が議論されてきたけれども、【ひとつの法則の枠組みに収まらず……経緯に大きな違い】があることを指摘できなければならないのです。


    ・・・【古代社会の法則的な発展】・・・。古代奴隷制社会とアジア式生産様式の相違点とか?いまさら唯物史観もないでしょうに。


    類似点を指摘できればいいのでは?すなわち、【法則的な発展】として「類似点」を【大きな違い】として「相違点」を、それぞれ書ければいいかと。
    ちなみに私は類似点として「ある地方勢力による支配領域の拡大と被支配地域の統合」という観点から文章を作っていきました。


    駿台の分析シートを見ると類似点と相違点については以下のように整理しているわね。

    • 類似点
      • 領域拡大の過程で多民族共生国家となったローマ
      • 帝国形成の過程で元来異なる文化を持つ諸地域を統合し、文化的な一体性を形づくった中国
    • 相違点
      • 「古代帝国」の成立に至る社会変化の差異にどこまで言及できるか


    「古代帝国」成立過程における「社会変化」の観点から文章を構築することが求められているので、それに従って知識を整理・体系化していきましょう。内部的な社会変化として「従来の社会階層の崩壊と新興勢力の出現」、外部的な社会変化として「支配領域の統合政策」で体系できると思います。

    ローマ帝国形成過程
    • 内部的な社会変化
      • 重装歩兵の崩壊と階層分化
        • 属州からの安価な穀物流入による中小農民の没落
        • 属州支配による富裕階層の出現
        • 富裕階層の土地集積と奴隷労働(ラティフンディア)
    • 外部的な社会変化
    秦漢帝国形成過程
    • 内部的な社会変化
      • 鉄製農具と牛耕による生産力の拡大と階層分化
        • 家族単位の小規模経営の成立による氏族共同体崩壊
        • 城郭都市邑の解体と旧支配層の没落
        • 青銅貨幣による流通の拡大と商工業の発展
        • 実力主義諸子百家
    • 外部的な社会変化
      • 秦による領域国家群の統一と中華帝国の形成
        • 法家の採用(商鞅・李斯)による中央集権化
        • 「皇帝」の称号による神格化と皇帝を頂点とする帝国の形成
        • 文字による文化的同一性


    いちおう稚拙ですが自分の答案です。

    ローマ及び黄河・長江流域における古代帝国形成過程には「地方勢力の支配領域拡大とその統合」という類似点が見られるが、その一方で両地域の社会変化の独自性を指摘できる。ローマではポエニ戦争後の社会内部の変化として自作農の崩壊と富裕階層の出現が挙げられる。属州からの安価な穀物流入により自作農が困窮する一方で、有力者はラティフンディアを経営した。グラックス兄弟による自作農再建が失敗に終わると内乱の1世紀に突入するが、これは都市国家連合から地中海帝国へと発展する契機でもあった。無産市民の私兵化による共和政の形骸化と同盟市戦争によりローマ市民権がイタリア半島の全自由民に付与されたことは新たな支配体制を必要とした。これに応じてカエサルが出現するがその独裁の失敗を見たオクタウィアヌスは市民の第一人者として元首政を行った。黄河・長江流域では、鉄製農具と牛耕により生産力が拡大したことで階層分化が始まる。宗法を基礎とする氏族共同体の崩壊、城郭都市の解体、青銅貨幣による流通の拡大と商工業の発展等が起こり、実力主義の時代となると諸侯諸子百家の思想により富国強兵を図った。秦は法家の思想を採用して中央集権化を進めて統一を成し遂げ、国内を統合するために皇帝の称号使用と神格化、郡県制、後の漢字となる文字の統一等を行った。以上により古代帝国形成過程における両地域の地域社会の変化には類似性と独自性を指摘できる。(598文字)



    予備校の解答だと漢字使用と対比するためにラテン語の重要性を指摘せよと言われているけれど、指摘できなかったのね・・・。