ニュートンと林檎の樹「うたかね・よつこ√」の感想・レビュー

愛する女のために歴史改編し科学技術史の発展を遅延させることになるはなし。
よつこがペストに罹患したので全てを放置して現代へと帰還するがそこは改編後のセカイだった。
セカイと断絶されて途方にくれる二人だが、彼らのために祖父が子孫を残してくれていた。
こうして主人公くんはタイムスリップと歴史改編を経て、科学ともう一度向き合う決意をする。
よつこと二人で新しいタイムマシンを開発すべく科学ライフを送るよエンド(2周目はない)。

うたかね・よつこのキャラクター表現とフラグ生成過程


  • 主人公くんを慕い続けるよつこのいじらしさがポイント
    • よつこは主人公くんの幼馴染でクール系リケジョ。数学オリンピックにも選ばれるほどの才媛で人類初のノー〇ル物理学賞を期待されているほどの人物でした。科学をやめた主人公くんにとっては目の上のたんこぶのような存在なのですが、全ての物語はよつこの主人公くんへの執着から始まったのです。
    • よつこは幼少期に引っ越しをしなければならなかったのですが、別離の悲しみに際し、主人公くんは科学の世界で再会しようと約束するのです。『君が計測で、主任が俺で』と交わした約束はよつこの生きる理由となったのです。よつこが主人公くんとの再会のためにひたすら科学を勉強していきます。よつこの実績を積んだのはまさに主人公くんのためだったのです。
    • 一方で主人公くんは科学を諦めてしまいました。幼少期は純粋に科学を楽しんでいた主人公くんでしたが、結果を求められるようになり、理想と現実のギャップに悩むようになっていきます。科学を楽しめなくなった主人公くんが縋ったのが、自分の血統主義ナショナリズム。「偉大なる祖父の血を引きし俺」という幻想に依存するしかなくなってしまったのです。そんな不健全な自己肯定が長く続くはずもなく、あっさりと主人公くんと祖父の血縁関係がないことが判明します。ここで主人公くんの心がぽっきりと折れてしまったのですね。よつこから私じゃ科学を続ける力にはならなかったのですか?と糾弾されるところは名シーンです。最初のフラグ分岐はよつこ√に入るか否かなので、最初に攻略するのがよつこになるプレイヤが多いのではないでしょうか?

  • 主人公くんの祖父がニュートンに成り代わって『プリンキピア』発行
    • さて、フラグ成立後の流れ。主人公くんたちが使用したタイムマシンはラビに奪われてしまいました。当面の目標は林檎作戦であり、ニュートン万有引力の法則を思いつかせることとなります。しかしこの作戦はうやむやになってしまいます。なぜならよつこがペストに感染してしまうからです。これにより主人公くんの優先順位が明確化し、よつこを連れて未来へと帰ることを選びます。でもどうやって?主人公くんの祖父が使用したもう一つのタイムマシンがあるではないですか!!と、いうわけでロバート=フックが押収しているだろうと予測し王立協会へ侵入します。タイムマシンを回収するところまでは上手くいくのですが、フックに見つかり主人公くんは銃弾を食らってしまいます。
    • ピンチの時に駆けつけてくれたのが祖父(34)であり、彼は自分がニュートンでありフックの監視下で『プリンキピア』を書き上げて見せると偽造します。主人公くんは命からがらタイムマシンを起動させるのですが、辿り着いたセカイが元のセカイではなく、改編されてしまったセカイだったのです。主人公くんたちはセカイと切り離された存在となってしまうのですが、17世紀セカイで行きつけであったパブに行ってみると、祖父が子づくりした子孫たちが生き残っていたのです。そこには遺言が残されていて、主人公くんの科学センスを肯定するものでもあり、セカイと繋がるよすがとなったのです。こうして主人公くんはよつこと共にタイムマシンを開発してみせるぜ!エンドとなります。祖父ゲーやん。