学会第1日目では「文脈」が強調されていた印象が強い。すなわち「社会的文脈の中の子ども」が抱いている興味関心(見方や考え方)を分析すること。従来も「子どもの見取り」は行われていたが、それは教師の勘と経験に基づくものであった。そして従来は研究者は規範的な授業を作る「授業開発」を行い、実践は現場教師に任せるという形式であったが、これからは勘と経験ではなく科学的に「文脈」を分析し子どもが求めている興味関心(切実性)に基づき授業を行う必要がある。
これは完全に歴史学習における通史学習は成り立たないことを意味する。通史学習は「ある一定の歴史観に基づく体系的な知識」を伝達する行為であるが、生徒が体系的な歴史像を求めている切実性は皆無である。生徒の興味関心を掬い上げるにしてもそこで扱える歴史は断片的なものとなり通史的歴史像を構築することは難しい。おそらくここで出てくるのが「能力」の育成であり、どのような題材を扱ったとしても、その題材を用いて育てる「能力」が保証されていれば良いというのであろう。
フォーラム? 渡部竜也「社会科教育学のパラダイムを問い直す−アメリカ社会科研究の100年を踏まえて−」
シンポジウム 「見方・考え方」論で社会科は変わるのか?
田中伸「「学びへのモチベーション」を基盤としたカリキュラム論-働かせる「見方・考え方」の前提を疑う-」
- 子どもは「見方・考え方」を理解・応用しているか?
- 子どもは理解していない。生徒は日常知のみであり価値判断が身につかない。
- なぜ子どもは社会諸科学の知識を理解・応用できないのか?
- 理解が現実的に難しい。
- 教師は生徒の理解を理解できない。
- 生徒が何を考えているのか分からない。どう把握すればよいか?子どもたちに活用させ応用させた結果を見て判断させる。
- なぜ子どもが理解しようとしないのか?
- 社会科が子どもの関心を喚起しない。
- 子どもの学びのモチベーションがトリガーになる。
- 規範研究から実証・調査研究へ。「学びのモチベーション」研究。
- モチベーション:「学び」を子ども自身が意味づける動機 → 行為を理解し、連続的な学びへとつなげる。(学びに向かう力の保障)
- Hip Hop Pedagogy ヒップホップを使った社会科
- モチベーションを活用する方法
- 学校や生徒が直面する信念を扱う
- 学習者にとって学びの意味を感じやすい学びの中で意味のある言説
- 「学びへ向かう力」を育成する→子ども・文化
- 開発者・授業者・子どもの間で認識のズレ