家族ゲー。憎悪の対象としていた父親を、その死後に受け入れられるようになるというパターン。
『暗夜行路』してたのに『和解』しちゃった展開ですね。CLANNAD・サクラノ詩・はれわた・撫でディスなどなど。
「生活のためにカネを稼ぐ手段としての職業教師」や「小清水家の家庭問題」もあっさりと解決。
正ヒロインのため正攻法で小奇麗にまとめたような感じになっている。
家族ってのは自然に成り立つものではなく、成り立たせるためには努力しなければならない。
- 理想に溺れて溺死
- 主人公くんは生徒に真摯に接するママンの影響を受けて教員になりましたが、現実に疲れ果て教職をカネを稼ぐ手段としてみなすようになります。しかしながら定時制高校で脛に瑕持つ少女たちを導く中で、情熱を取り戻していくのです。小清水がコンビニバイトで現生パクった容疑をかけられた時にも、主人公くんは最後まで小清水を信じ、冤罪を晴らしてあげるのです(スゲーあっさり解決する)。そして遺産相続の条件として定時制高校で教鞭を執っていることがバレて小清水に糾弾されたことを契機に、カネのためにではなく職業的使命感を抱いていることを受け入れることができたのです。こうして小清水とフラグが成立したため、主人公くんは小清水家の家庭問題解決に関わっていくことになります。
- 小清水家の家庭問題
- 小清水家の問題は小清水の父親にありました。小清水父は政略結婚で娶った妻が自分を愛してなどいないだろうと思い込み、家族に無関心になっていたのです。しかしながら小清水母は夫にゾッコンであり、何とかして気を引くため、女である娘を弾圧し、長男である弟を露骨に贔屓するのです。家族との和解を諦めていた小清水でしたが、本心では全然そんなことはなく本当は家族に受け入れて欲しかったのです。ひとたび主人公くんに受け入れて貰えた小清水は、家族問題についても挑む決意を示します。どんなに冷めきった家族でも自分が諦めなければ仲良くなれる!!と振る舞う姿はまるでピエロ!!!結局、和解などできませんでした。ここで活躍するのが我らが主人公くんということで、小清水を救うためにと憎悪する実父にも頭を下げて小清水父の人物像をさぐり、接触して演説し覚醒させます。強すぎる承認欲求をめぐり口論する母娘の間に、初めて父親が割って入ります。そしてもう一度家族をやり直そうと家族の再構築を目指すのでした。
- 父親を受け入れられるとき
- 父親への鬱屈した想いをテーマとする作品は多々あります。しかしそんな作品群も結局は父親と和解してしまうのです。そこには一種のカタルシスやお涙頂戴があるかと思うのですが、やはり家族関係の微妙なプレイヤーもいるわけでして・・・。そんな際、父親への憎悪ということに大いに共感を覚えるのですが、それが物語の途中で覆されてしまうわけで、複雑な感情を抱いてしまうのです。CLANNADのトモヤを筆頭に、サクラノ詩も結局お父さん大好きですし、はれわたも撫でディスも父親への憎悪は昇華されてしまいます。
- 本作品の小清水√では父親の存命中に和解することはないのですが、後に遺産の日記を見ることによって、父親がどんなにか家族を大事にしていたかを知ることになります。主人公くんはろくに家庭を顧みず、母親が入院していた時にも仕事を優先させた父親を憎んでいましたが、それは母親が望んでいたことであり、母と父は繋がり合っていて自分がそれを知らなかっただけだったんだ!!というオチですね(はれわたは存命中に和解できるが概ね同じパターン。)。こうして今更ながら父親の思いを知り、愕然とする主人公くんですが、今度は一度助けた小清水家の父親に逆に助けられることになります。ままならない人生だからこそ、オープンハートできる人を作るのが大事、うちの娘をそれにしてくれるならば幸いとアドバイスをもらいます。こうして小清水を人生の伴侶に選び支え支えられる関係になります。
- 以上により両親の思いを受け入れた主人公くんは小清水たちを卒業させた後、学園を閉鎖せずに続けていくことを決意。教師としての情熱を取り戻した主人公くんの第二のスクールライフが始まりますとハッピーエンドを迎えます。