進学校を退学し定時制で医学部を目指す医者の息子がロックに目覚める話。
「クラウドファンディングで1億円集めた話題作」ということで遅まきながらもプレイ。
才能を持ちながらも理屈を捏ね回し音楽活動を辞めたオッサンが主人公くんへ想いを託す。
「音楽に絶対的な美はなくその場の雰囲気にしか過ぎない」と主張するオッサンは自殺。
遺作となった最後の曲をひっさげ主人公くんはオッサンのイモウトと共にロックする。
葬式の際、何もかも段取りを無視してオッサンのイモウトと共に音楽を捧げるのだ！！
主人公くんが人生の多様性を知り、それを教えてくれたオッサンに鎮魂歌を捧げるのだ！
- 芸術とは何か、音楽とは何か、ロックとは何か
- (1) 主人公くんは名門私学に通い医学部受験を目指していた、医者の家系の金持ちボンボンエリートです。しかしながら、第三者によって孕ませられた幼馴染を救うため、幼馴染から父親と名指しされたことを否定せず、自主退学することになってしまいます。そして現在は定時制高校に通いながら、再び医学部受験を目指しています。今までは定められたレールに乗って順風満帆な人生を送って来たので、ハイカルチャーなことを文化資本としてきた主人公くんは、定時制高校で価値観の多様性を知るのでした。金八先生でも似たような展開ありましたな。
- (2) 人生の多様性を知った主人公くんは文学表現に目覚め、応募した地域の文学賞で副賞を受賞し、それがきっかけとなってあるバンドのレポートを書くことになります。その時に知り合った「花鳥風月」というバンドが主人公くんの人生を変えることとなったのでした。そのリーダーの花井さんはバンドマンらしくなく世の中を斜めに見ては、理屈をこねる人物でした。そして音楽についても、絶対的な美などは存在せず、その時その時の雰囲気や背景にある物語性を消費しているだけに過ぎないと嘯くのです。しかしライヴの時にはそんな表面的なスタンスとはうってかわって人々の心を動かすのでした。
- (3) 以来、主人公くんは花井さんと仲良くなります。バンドの「花鳥風月」を解散し無職となった花井さんのもとを訪れ、遊ぶようになります。花井さんは主人公くんに自分の音楽を託したくなったのでしょう。自分はもうステージには立たないが、主人公くんがギターをやるなら曲を作るというのです。主人公くんはそれならばと漢を見せます。そして花井さんのイモウトである自称ヒキコモリのアルビノの少女ミカちゃんもヴォーカル役として北海道から駆け付け、練習を重ねるのです。そして二人でライブをすることを夏休みの目標としていたのですが・・・なんと8月の終わりに花井さん自殺。
- (4) 花井さんが死んでショックな主人公くんは、明確な意識がないまま、葬式に参列します。そこで今まで苦楽を共にしたミカちゃんと一緒に花井さんに鎮魂歌を捧げるのです。葬儀の段取りを無視し、花井さんが初めて買ってもらったというギターをひっさげ、ミカちゃんとともに乱入。そして棺桶の前で、練習の成果を見せるべく熱演するのでした。花井さんに始まり、花井さんに終わった一夏の熱い経験。主人公くんは花井さんの死のショックにより呆然としたままであり、花井さんの遺書すら開封できませんでした。ところが、葬儀での熱演の様子が動画に撮られネットにUPされていたのです。ミカちゃんや花井家両親は忘れ去られることなく皆に思い出してもらえてよかったと前向きにとらえるのですが・・・これが一大ムーブメントを生むことになったのでした！と、いったところで体験版はお開き。こりゃークラウドファンディングでカネを投資したくなりますわな。
