自分の問題意識に「なぜ」を問いかけ、「根本思想」を育てよ!
前回までの復習
- やったこと
- 歴史学のトレンド 時代区分論
- 歴史をなぜ書き直すのか → 自分自身を知る 今を知る
- 重要なのは「根本思想」
- この世に対する問題意識 自分の生き方に対する問題意識
- 教授の事例
- 【読め文献】山田ズーニー 『伝わる揺さぶる!文章を書く』(PHP新書) → 根本思想・論点は「何故」である。
- 小論文の指導をするとき 小手先の技術はダメ! マニュアル本が溢れてるけれども 採点官の心を揺さぶれない
- 自分の根底的な問題意識をぶつけろ! 自分の問題意識をどうアウトプットするのか!? 「なぜ」と問え!!
- 日常的な言葉ではないよね ずー二―さんは端的に「なぜ」という 論点の中核を占める 根底的な問はなぜ why
- なぜ我々はここにいるのか 生きているのか
- 集団意識を説くにあたっては色々な方法がある 集団意識
- 小坂井敏晶『民族という虚構』
- 今や常識の部類に位置するかもしれないが 無作為抽出でABCというチームを作る 今まで見ず知らずの人々がまとまる
- 他者との競争 排撃する敵がいるからまとまる 国内の危機があったときには、戦争をするというのは 戦争の常識
- 少数派影響理論 少数意見の方がじわじわ影響していく?
- 中世の日本 文化伝播 圧倒的なマジョリティは中国だが、中国の文化はちょっとずつしか入ってこない 偶然性がある
- 明朝の文化 博多でスクリーンがある 日本に適合しないものは落とされちゃう そのごく少ないものが社会に浸透していった。
- ちょっとしか入ってこないものが日本文化の根本になっちゃう(茶道とか)
- 人間の原理的なもの。歴史を研究しているとこういう手段はとりづらい
- 中華意識がのんべんだらりと続いているのか。ずっとつづいているのか。例外はないのか。コスモポリタンな意識はなかったのか。
- エンスノセントリズム(自民族中心主義)について。鋳型のように縛るのではなく、実は我々が選び取っていゐる。鋳型を鋳型たらしめてるのは我々。
- その意識に変化を探ってみよう。祖先が選び取ってきて。だから続いているように見える。
- 事実が先か認識が先か
- 選び取って来た。まるで太古の昔から存在してきたように続いてきたのはみせかけ。それは選択されてきたもの。
- なぜ選択してしまったのか。どういうときに選択するのか。
- エンスノセントリズム(自民族中心主義)について。鋳型のように縛るのではなく、実は我々が選び取っていゐる。鋳型を鋳型たらしめてるのは我々。
- 上記の問題意識を抱いたからこそ、この教授は近現代史をやめて中世史をやろうとしたのだとか。
- 華夷意識が続いていることをどのように捉えられるのか → 中世史へ
- 勘合の研究 遣明船でいくら儲かるかとか やってるけど 根本意識に繋がっている
- 故に!今の問題意識で歴史をみていくことが必要
【4】倭寇の主体は何者か?
- 中世近世でも民族問題を扱える → 辺境をみる
- 中世にしたって、全ての人が均質ではない。
【4】-1.倭寇とは何か
- 古くから論争がある
- 【史料B】『朝鮮王朝実録』世宗23年〔1441〕6月己丑条
- 朝鮮王朝実録とは → 実録から正史がつくられる。植民地支配により日本が手に入れると研究が進む。
- 朝鮮系倭人の存在
- 「倭(人)≡日本(人)」という認識ではない
- 【史料C】『朝鮮王朝実録』世祖5年〔1459〕4月己未条
- 北九州=倭であり、日本とは区別されている。
【4】-2
【4】-4「倭寇」の定義の難しさ
- しかし、「境界人」の概念をもってしても解決するかというとそうもいかない
- 【個別具体】に進む方針
- 史料的制約はあれどひとりひとりに迫っていかねばならない 微細な具体例
- 【普遍抽象】に進む方針
- そもそも「〇〇人」という「民族」概念について強い疑問符を打たねばならない
- 民族っていうのは近代になってから作られた言葉 ○○民族といういい方はない
- 民族というコトバなどれほど真っ当なの?
- 【参考文献】ここでコザカイトシアキ、ナダイナダ『民族という名の宗教』
- 【個別具体】に進む方針
- 国民国家
- 民族が国家をつくるのではなく、国家が民族を措定している。ステイトができてネーションをまとめあげる
- 「境界人」という概念を推し進めれば「世界史でいう民族という概念をどうするか?」という問題に突き詰められる→人文社会系全般への問いへ
- ちっちゃく具体例か 大きく概念枠組みか
- 歴史は書き換えられる
- その時々の国家や個人によって書き換えられてしまう
- 歴史は自分の発送や歴史認識で書き換えられるし、書き換えなければならない
- 他人の創った概念にのっかってもろくなことはない。他人の風呂敷からでることはできないのですよ
- 新たな概念 よりよい世界の捉え方を知らねばならない
- 不断に繰り返す必要があり 歴史が成り立つ。
質疑応答
【問い】
国家がそれぞれの歴史を創出し、国民に教育すると、それぞれの国民はそれぞれの歴史認識を持たされることとなり、分かり合えないという現状が発生するかと思います。先生の問題意識としてつくられた民族意識を超克することが挙げられていたと思いますが、どうすればいいと思いますか?
【お答え】
国家ではなく、民間の会社で日中韓の共同教科書をつくったりしているし、留学生なんかは歴史認識を相対化しえている。
【質問】
日本に来られる留学生は少数の知識階級ですし、歴史解釈の多様性を受け容れられるのは、人文社会系に造詣が深い人たちだけであり、多くの高校生は与えられた教科書を覚えて、そのまま国家の歴史認識を持ったまま大学生、社会人となっていきますが、大学生と接していて、どのように感じますか?
【お答え】
皆さんがきちんと、歴史解釈の多様性や歴史は書き換えられるものだと認識し、子どもたちを啓蒙していくべき