雑録

キャラクターを利用した群馬県の温泉地における観光資源の創出と地域開発

最近、群馬の温泉地における観光地形成がクローズアップされています。『中央公論』(2018年6月号)ではインバウンド観光地としてみなかみ町が紹介されていますし、青弓社からは2018年5月末に温泉地における観光地形成として名高い草津町の社会史を扱う研究書が出版されたりもしています(『草津温泉の社会史』)。そして「温泉」を題材にしたキャラクターを利用したメディアミックス展開によって地域振興を目指す試みも行われています。そのため、ここでは上毛かるたの札とともに、その一端を紹介していきたいと思います。

  • 上毛かるたとは?
    • 群馬県において郷土教育に用いられてきたカルタ及びそこから派生した種々のコンテンツの総称。従来はフツーにかるた遊びを行い、その遊びの中で自然と郷土への知識と愛情を深めるものであった。しかし、その一方で各地方ごとに多様な遊ばれ方がなされていた(絵札を利用した対戦式バトル、読み札のパロディ、絵札のオリジナルイラスト化、題材となったイベントへの参加、扱われている舞台への聖地巡礼など)。近年では様々なメディアミックス展開がなされ、ソシャゲになったりGPS連動型スマホスタンプラリー化されたりもしている。
    • 下の図は赤城山榛名山利根川が名称の由来となった軍艦を擬人化したキャラクターが、かるた遊びに興じる様子を描いたもの。


各温泉地の観光政策及び温泉地を題材にしたキャラクター

  • みなかみ町 水上温泉 →(水上凛心 | 温泉むすめ公式サイト)
    • インバウンド観光地
      • 群馬県におけるインバウンド観光地として有名なのが、みなかみ町。「インバウンド」とは外国人がやってくる旅行を指し、みなかみ町の外国人延べ宿泊者数は2万5126人(2016年)もいます。そのなかでも台湾人は9008人となっており、割合はなんと約35%!(『中央公論』2018年6月号,p.150)。みなかみ町は地道な努力を重ね、台湾の台南市に出向したり、台南市の職員を町役場の観光商工課に採用したりするなど観光客の誘致を行ってきました。「上毛かるた」では「みなかみ谷川スキーと登山」で有名であり、雪が珍しい東南アジアを中心に人気を集めています。
    • コンテンツ開発と観光資源の創出
      • インバウンド観光地はSNSYoutubeなどの影響も大きいという特徴もあります。と、いうことは、いわゆる「聖地巡礼ツーリズム」(コンテンツツーリズム)の可能性に期待されるわけですね。すなわちキャラクターを作り出してストーリーを語ることで、そのキャラや物語を消費した視聴者が、追体験を求めてその土地を訪れるという行為が発生し、新たな観光資源となるのです。その流れを受けて、「温泉」を題材としてメディアミックス展開を行い、コンテンツを開発しているのが、『温泉むすめ』という試みなのです。2018年5月31日現在、群馬県には5人ものキャラを擁しているのです。みなかみ町のキャラは上記のキャラですが、キャラデザはなんとたかやkiさんです。上毛かるたと並べると壮観ですね!


  • 草津町 草津温泉 →(草津結衣奈 | 温泉むすめ公式サイト)
    • 温泉で全国的に有名な草津町。2018年5月末に青弓社から『草津温泉の社会史』が発売されました(→草津温泉の社会史 | 青弓社)。公式webでの著書のウリは「有数の温泉地草津は、いまや国外からの観光客が押し寄せる一大スポットになっていて、いろんな国・地域の言葉が飛び交っている。それほど人々を引き付ける魅力とはいったい何なのか、どうやって知名度が上がったのか?豊かな温泉を生み出す草津白根山の自然や、草津の特色である共同浴場の発展と取り組み、明治から大正・昭和初期、戦後までの人口と就業者の変動、草津温泉のイメージとそれを作るメディアを丹念に調べて、温泉地と観光の形成史を立体的に描き出す」とされています。
    • 湯畑や行楽地としての印象も強いですが、もともと草津は湯治で有名で上毛かるたでも「草津よいとこ薬のいでゆ」と詠まれています。
    • 『温泉むすめ』のキャラでは何と主人公らしいですよ。


  • 伊香保町 伊香保温泉 →(伊香保葉凪 | 温泉むすめ公式サイト)
    • 伊香保温泉日本の名湯」。武田勝頼が長篠の戦で負けた後、傷ついた武田兵を癒すために真田昌幸に命じて整備させたのは有名なはなし。そしてこの伊香保温泉、湯の華饅頭や水沢うどんで有名ですが、榛名山に車で30分というのも押さえておきたいところ。榛名神社にお参りして榛名の絵馬を眺めて『艦これ』を偲び、榛名湖へ行った後で水沢うどんを食して伊香保温泉につかるという観光パターンを決められます。
    • 『温泉むすめ』では優等生の伊香保葉凪というキャラが作られていますが、芸妓組合が現在も存在し、人身売買された東南アジアの労働者が性産業に従事させられて捕まるなどの暗黒面もあることから、伊香保葉凪が酷い目にあわされる担当になりそうである。


  • 嬬恋村 万座温泉 →(万座千斗星 | 温泉むすめ公式サイト)
    • 嬬恋村はキャベツでも有名。ホラ小学校の教科書で出てきた高速道路を利用して朝採れたキャベツを東京に出荷する輸送園芸農業ですよ!
    • 万座温泉は江戸時代には開けていたそうなのですが、本格的に整備されるのは戦後から。西武グループによりリゾート開発が行われてインフラ整備が整ってからです。と、いうか交通の便、悪すぎ。グンマーの人々は自家用車持ってるからいいけど、公共交通機関だと最寄り駅からめっちゃ時間かかるじゃん。(吾妻線万座・鹿沢口駅から40分、北陸新幹線軽井沢駅から90分・・・)。万座温泉はスキー場でも有名で『私をスキーに連れって』の舞台にもなりましたね。
    • 『温泉むすめ』のキャラクターの中では唯一上毛かるたに読み札がありません。しかし、そこはグンマー。なんとグンマーでは郷土かるたの作成が盛んで、上毛かるた以外にももっと狭い範囲でのご当地かるたがたくさんあるのです。嬬恋も例外ではなく、嬬恋かるたがあり、そこでは万座温泉も出てきます(「湧き出す温泉 万座と鹿沢」)。それとは別にスキー場の読み札まであります。しかも『温泉むすめ』の群馬のキャラでは一番かわいいです。ダントツにかわいいですね。


  • 中之条町 四万温泉 →(四万治佳 | 温泉むすめ公式サイト)
    • 上毛かるたでは少年にトラウマを植え付ける札「よのちりあらう四万温泉」。上毛かるたでは女性の入浴シーンが描かれており、この札を取ると周囲からエローいとからかわれてしまうのです(群馬県民男子児童のトラウマ)。
    • 起源は二つあって、坂上田村麻呂蝦夷征伐の時に入浴した説と、源頼光の家臣である碓井貞光が信託を受けた説の二種類。四万とは『四万(よんまん)の病を癒す霊泉』とのこと。宿が開業したのはこれまた真田氏が関係しています。真田氏が岩櫃城を落城させた時、城主の家来であった田村甚五郎が当主を逃がすために当該地域に土着化し、その子孫が湯宿を開業したのだそうな。
    • 『温泉むすめ』では万病を癒すことを元ネタにした医療系キャラとなっています。