- 今回から(近代)の講義の趣旨
- 日本の近代史を構造的に理解するのに必要な知識について3回に分けてお話しする。
- 明治国家がどのような理念として作られその実態はどうだったのか?
- 判で押したように中央集権国家を目指してると習っているが我が国は全然中央集権国家ではない!
- ニーチェのおはなし
- → 近代人 約束を守る人 遅刻をする人間は文明人ではない
1)明治維新の理念と実態
1-1)理念:天皇親政=明治国家の正統性の根拠
- 明治維新について
- 天皇親政について
- 天皇親政っていうのは何なのか? 親ってのはシタシク・ミズカラと読んでください。→天皇自らが政治を行うことである。
- 明治国家は正統性の根拠に天皇親政を置く 正統性の根拠 何か行動するにあたって悪を根拠に行動するのは難しい これこれこうで正しいんだ!という拠り所が欲しい
- それが正統性 国家の掲げる正統性 ウェーバー 3つの正統性 明治国家の場合 支配の正統性 伝統的支配 天皇が自らやるから権力を持っているんだ
- マックス・ウェーバーの支配三類型は伝統的支配・カリスマ的支配・合法的支配
- その証拠は明治維新 別名は王政復古 王が自ら政治をやっていた政治に戻る 初代天皇 神武天皇のところまで戻る
- 神武天皇は初代の天皇だが伝説上の天皇 実際はどんな政治をやったかは伝わっていない 自ら政治をおこなったことだけは残っている
- なんでこういうことをするのか? → 明治国家 徳川幕府を倒してできた 徳川幕府以上の正統性が必要
- 幕府=仮の出張所という意味 当時の人々は幕府などと言っていない → 江戸時代の人間は幕府のことを公儀と呼んでいる
- 幕府は「公儀」 おおやけのことがら 普通名詞が固有名詞に化けている 江戸時代は公のことがらそのもの 正統性そのもの まさに「おおやけ」のことをやっている存在
- おおやけであった幕府にとってかわったことが正しいことなんだということを理解させねばならない
- おおやけよりももっとすごいおおやけのことをもってこなければならない それが天皇だった
- 神武天皇が始めたことだったのでものすごく正しいことなんだという説明
1-2)実態:天皇超政
- 天皇超政について
- 一般論として 天皇には親政をさせてはならない
- 政治とは、全国民を対象に価値の配分を行う事。全国民 権威的に価値を配分することが重要
- 簡単に言えば 税金をとって福祉のかたちで再配分する
- 関係なく一方的に徴収される 2/15〜3/15確定申告 こんなにとるのかよというくらいとられる
- 【雑談】源泉徴収 確定申告にいくと返ってくる 所得が250万以下の人は確定申告に行くと返ってくる
- 誰に配るかというのは政治をやっていく人が一方的に配る 権威的配分 やってること自体は価値の権威的配分
- だれがどう政治をやっても得をしたと思う人間と損をしたと思う人間がかならずでてくる
- あいつのせいで損したんだと思う人間が一定数でてくる → 民主政治では選挙をして交換させるというシステムになってる
- 天皇親政を掲げて作られている この国がなぜ存在できるか?
1-EX)中央集権国家について
- 理念:中央集権国家
- 実態:地方の隅々まで行政権が行き届いたことがない
- この国において国の権力が個人に到達したのはいつか
- 今に於いてもまだ国家の権力が個人に直接届いているとは自信をもっていえない → 簡単にいうと人手が足りない
- 監視監督して国民をコントロールすることができていない
- 地方の隅々まで国家権力が行き届くのがおかしい
- 幕府はしばしば全国を統治しているというが
- 幕府がやっていたのはなんだったかというと、(1)軍事・警察→治安の維持、(2)徴税→年貢をとる これ以外のことは武士の政権においては無関心
- 鎌倉幕府の成立年代の根拠:源頼朝が幕府を作る時の義経を追討するための日本国総追捕使(1185) 軍事警察権を持ったこと 全国どこでも徴税できるようになった
- 軍事警察、徴税権が武士の本質 それ以外はプラスα 余力があるのでサービスでやってあげている
- 例)町奉行所で町人同士のトラブルを幕府でやってくれといってくる → そのうちに却下するようになる → 相対済令 民事訴訟は管轄外 刑事訴訟はやるよ警察権
- これが武家政権700年の実態 国民に対してサービスする発想はない 軍事警察・徴税のみ
- 日本には行政サービスを行う発想がなかった
- 国民って現在だと大事なことばでしょ? しかし「国民」以前の一般的な人間は「民草」と呼ばれていた 多少死んでも生えてくるから大丈夫 漢文でいえば「億超」
- 多少増減しても全然へーき 飢饉で死んでもそのうち増えるから大丈夫 福祉なんていう考え方はこの国には存在しない
- 結局は、中央権力の及ぶ範囲内で軍事警察、徴税のみだった
- この国において国の権力が個人に到達したのはいつか
- 江戸時代までは日本史は京都と鎌倉の歴史 全国ほとんど関係ない
3)中央集権・地方自治の理念と実態
3-1)中央集権の模索
- 連邦制国家の幕藩体制を否定するべく中央集権の理念を掲げるが・・・
- 失敗する
3-3)地方自治制(1888)
- 府県・郡・市町村 三段階に地方を分けて統治しましょう
- 府県と郡は地方自治と言いながら そのトップは内務省の役人が赴任する 戦前は官選制度 中央から地方に出張する
- 帝大卒業するとすぐに郡長、40代で知事になる。
- 問題は市町村。一番みじかな単位。市町村長は地元で互選。地元の有力者が話し合って誰がやるか決める。
- 地元の有力者とは?江戸時代において名主と呼ばれていた村の指導者たち。
- 元名主たちの間で互選して市町村長を決める 市町村のことは元の名主たちで話し合いでやる 市町村は自治でやる
- 郡までは役人を派遣してなんとかしよう → 郡は明治末年までは形骸化している → 府県と市町村で回っていく
- 府県は政府、市町村は地元 こういうスタイル つまり名目の上では中央集権だけれども、末端は江戸時代のシステムを横滑りさせて代行している
- 府県と郡は地方自治と言いながら そのトップは内務省の役人が赴任する 戦前は官選制度 中央から地方に出張する
- 戸籍
- 戸籍というのは基本的に市町村で代行する
- 本来ならば法務省の仕事だが、全部市町村でやってくださいとなっている
- 国の事業をやってもらっている → 国政委任事務 行政委任事務