全国紙(日経・朝日・毎日・読売)における『サクラクエスト』の報道関係まとめ。
地方紙は追えていない・・・。
- 2017/09/01 読売新聞・東京朝刊・富山2・22頁
- 2017/09/01 毎日新聞 地方版/富山 24頁
- 2017/09/30 日本経済新聞 地方経済面 北陸 8頁
- 2017/10/11 日本経済新聞 地方経済面 北陸 8頁
- 2017/10/11 01:00 日経速報ニュースアーカイブ (※2017/10/11 日本経済新聞 地方経済面 北陸 8頁とほぼ同じ内容)
- 2017/10/23 日経MJ(流通新聞) 9頁 (※2017/10/11 日本経済新聞 地方経済面 北陸 8頁とほぼ同じ内容)
- 2017/12/16 朝日新聞・夕刊・文化芸能・004頁
- 2018/01/18 読売新聞・東京朝刊・富山2・26頁
- 2018/09/30 読売新聞・東京朝刊・富山2・24頁
「「南砺市、架空都市と提携 アニメ「サクラクエスト」の舞台=富山」」(2017/09/01 読売新聞・東京朝刊・富山2・22頁)
- 報道内容分析
南砺市が、同市内のアニメーション制作会社「P.A.WORKS(ピーエーワークス)」が手がけるアニメ「サクラクエスト」の舞台になっている架空の都市「間野山市」と姉妹都市の調印を行うことになった。間野山市のモデルが南砺市とされることが提携のきっかけで、現実とアニメの世界を融合させた地域振興を進める。10月に調印式を行い、アニメを参考に観光などについて考えるシンポジウムも開催する。
サクラクエストは、毎週土曜深夜にチューリップテレビで放映中で、観光や地域振興などをテーマにした物語。観光協会で働く女の子たちがまちおこしに奮闘しながら成長する姿を描いている。
間野山市として描かれる舞台は南砺市がモデルで、ファンの間では作中に登場する風景や駅などがよく似ていると話題になっているという。また、アニメのテーマが「まちおこし」と、現実世界と共通性が多いことから、南砺市が製作委員会に提携を呼びかけた。
市はサクラクエストのキャラクターと協力した合同PRを模索しており、聖地として市内を訪れてもらうアニメツーリズムの促進にもつなげたいとしている。市交流観光まちづくり課の担当者は「アニメの人気との相乗効果でにぎわいを創出できれば」と期待を込める。
調印式は10月9日に市クリエイタープラザ桜クリエで行われ、アニメの間野山市を参考にまちおこしの可能性について考えるパネル討論なども開かれる。
南砺市は「アニメツーリズム協会」が8月26日に発表した「訪れてみたい日本のアニメ聖地88(2018年版)」にも選定されている。
「南砺市:架空都市と姉妹提携へ サクラクエストの間野山市 アニメ通じまちおこし /富山」(2017/09/01 毎日新聞 地方版/富山 24頁)
- 報道内容分析
南砺市はアニメを通じたまちおこしを進めるため、市内のアニメ製作会社ピーエーワークスのテレビアニメ「サクラクエスト」の舞台の架空自治体「間野山市」と姉妹都市提携を結ぶ。アニメファンらに南砺に来てもらう狙いもある。
間野山は南砺市がモデル。サクラクエストは、東京での就職がうまくいかない主人公の20代女性が地方都市の観光大使に任命され、まちおこしに奮闘していく中で成長する姿を描く。県内ではチューリップテレビで毎週土曜深夜に放送している。市によると、間野山の街並みがファンの間で南砺の風景に似ていると評判という。姉妹都市の調印式は10月9日、市クリエイタープラザ桜クリエで行われ、アニメによるまちおこしをテーマにした講演やシンポジウムもある。田中幹夫市長は8月の定例記者会見で「サクラクエストの人気にあやかり新たな観光振興のきっかけとなるよう取り組んでいきたい」と話した。
また、世界のアニメファンが選んだ「訪れてみたい日本のアニメ聖地88」が8月下旬に発表され、ピー社が手がけた「true tears」の舞台となった南砺市が選ばれている。アニメによるまちおこしを進める市にとって追い風となる。【鶴見泰寿】
「「アニメの聖地」観光生かせ、「巡礼」ブーム、自治体動く、富山・南砺、架空都市と提携、福井・あわら、漫画イベント。」(2017/09/30 日本経済新聞 地方経済面 北陸 8頁)
- 報道内容分析
アニメやマンガの舞台をファンが訪れたり、地域が観光資源として活用したりする「アニメツーリズム」への取り組みが北陸で始まりつつある。昨年は映画「君の名は。」の大ヒットで舞台を巡る「聖地巡礼」がブームとなったほか、全国に点在するゆかりの地を盛り上げる組織も設立された。各自治体はこうした動きを追い風に、地域の活性化を模索している。
「念願の聖地巡礼!」「6回目の訪問」――。5人の女性が架空の都市「間野山市」で町おこしに奮闘するテレビアニメ「サクラクエスト」。舞台となった富山県南砺市にある「カフェ トリアン」では、10月下旬まで原画展を開催している。店内のノートには全国から訪れたファンの感想やイラストが満載だ。
ツアーも検討
9月下旬の放映終了に合わせて南砺市は10月9日に間野山市と姉妹都市提携を結ぶ。「作中のお菓子を再現して販売する和菓子屋も出てきており、民間との連携を進めて積極的にPRしたい」と担当者は意気込む。
サクラクエストを制作したピーエーワークス(同市)のグループ会社「地域発新力研究支援センター(PARUS)」は日本貿易振興機構(ジェトロ)と連携、米国やタイのメディアを招いたモニターツアーを行う。
8日に開かれる人気アニメが発祥の「湯涌ぼんぼり祭り」や間野山市との調印式を案内。南砺市の観光地を巡り、井波彫刻も体験してもらう。反応を踏まえ、「地域の企業や住民と連携したツアーを今後、検討したい」(PARUS)という。
北陸3県には「アニメの聖地」とされるスポットが点在する。福井県あわら市は2014年から、競技かるた漫画「ちはやふる」のイベントに取り組んできた。昨年は年間1万5千人が訪れ、9月16〜24日にもイベントを開催。「遠方から来るリピーターは貴重な存在」と市の担当者は語る。
国内各地のこうした場所を盛り上げるため、KADOKAWAや日本航空、JTBなどは昨年9月にアニメツーリズム協会を立ち上げた。国内外のファン投票を踏まえて今年8月下旬に全国88カ所を選定し、北陸では石川県で1カ所、富山県は南砺市を含め3カ所が選ばれた。同協会は今後、ファンへの情報提供や観光案内を担う「アニメ聖地スポット」の設置を各地に働きかけ、会員企業と連携して広域観光ルートやツアーを設ける。
同協会によると、年間に放映される新作アニメは約200作品で以前に比べて増加。深夜放送が多いこともあって熱心なファンを狙った作品が少なくない。実在の街をモチーフにするのもその一環で、ファン同士がネット上で会話して場所の特定が進むという。
情報は少なく
スポット巡りは外国人にも人気だ。観光庁の調査では16年に日本を観光目的で訪れた外国人のうち、複数回答で「映画・アニメゆかりの地を訪問した」と答えた割合は5%。次回やりたいことに挙げた割合は12%だ。
だが、外国人が訪れるための情報は少なく、「海外には海賊版のツアー商品がある」(同協会)という。同協会は情報提供の環境を整えるなどして20年には来日外国人を400万人にまで増やす目標を掲げる。
こうした動きについて、88カ所に選ばれた北陸の4自治体からは「県内の他の聖地と連携したい」(富山県氷見市の担当者)、「他地域の記念館と協力するなどチャンスを生かしたい」(石川県輪島市の担当者)など歓迎の声があがる。
ただ、具体的な取り組みは未定で、「何か話がくれば」と受け身の姿勢も目立つ。同協会はこうした状況を踏まえ、「ほかの地域や版権元との橋渡しや成功事例の発信で機運を盛り上げる」(担当者)方針だ。
法政大学大学院の増淵敏之教授は「(アニメツーリズムでは)地元食材やお祭りなど地域資源とうまく組み合わせる発想が大事」と指摘。「地域の魅力の一つとして息の長い取り組みにする必要がある」と話した。
(金沢支局 中谷庄吾)
「地域振興、アニメ生かす、南砺市、架空都市と提携、桜の再生事業や学会設立。」(2017/10/11 日本経済新聞 地方経済面 北陸 8頁)
- 報道内容分析
富山県南砺市はアニメを絡めた地域活性化に取り組む。同市をモチーフにしたアニメ「サクラクエスト」内の架空都市と姉妹都市提携を締結。来春から市民やファンらと共同で市内の桜の再生を目指す。有識者を中心に幅広い人がアニメをきっかけにして、観光や地域振興を考える学会も発足。活動を広げていく。
サクラクエストは南砺市のアニメ制作会社ピーエーワークスの作品で、4月から9月末まで放映された。東京で就職活動に苦戦する短大生の木春由乃が、ひょんなことから過疎化が進む間野山市の観光大使に就任。廃校の利活用や街並み景観整備、祭りの復興、訪日外国人誘致など様々な課題に挑む様子を描いた。
「我々が抱える課題で間野山市が一生懸命頑張っている。ともに地域・観光振興に取り組みたい」。9日の調印式で南砺市の田中幹夫市長はこう語った。具体策の1つが、市やピーエーワークスらが来春に立ち上げる桜の再生プロジェクト「桜ヶ池クエスト」だ。
作中で登場する池のモデルとなった南砺市の桜ヶ池は35年前に市民が約1千本の桜を植えた花見の名所だが、「今は半数以上が枯れたり傷んだりして花が咲かない」(同市の担当者)。今後はファンや市民が協力して資金を集めたり、枯れ木の伐採や苗木の植樹をしたりし、アニメの主人公らが将来の目標とした「桜の王国」を実現する。調印式を見た千葉県の男性(27)も「桜の再生に協力したい」と話した。
さらに、北海道大学観光学高等研究センターの山村高淑教授は調印式に絡む講演で、「間野山研究学会」を来春発足させると公表。地方や肩書に関係なく、アニメをきっかけに地域・観光振興の課題や経験を議論できるネットワークにして、「日本各地の取り組みにつなげたい」と強調した。
南砺市はこれまでも、ピーエーワークスと連携してアニメを切り口にした取り組みを進めてきた。アニメの登場人物の住民票を購入できるようにしたほか、市内でのみ後編が見られる短編アニメのスマートフォンアプリも配信。若年層の誘客につなげている。
ただ、住民票の販売は累計1万2千枚強で、アプリのインストール数は1万3千弱。年間350万人前後の同市の入り込み客数を考慮すると、効果は限定的と言える。
今回の桜の再生や学会設立は、地域活性化への真正面からの挑戦だ。アニメファンの呼び込みだけでは成立せず、これまで以上に難しい取り組みとなる。田中市長は「アニメへの市民の期待は高まっている」とみるが、その期待を住民の具体的な行動に移せるか。そして、外からやってくるファンとも足並みをそろえた息の長い活動にできるかが問われる。
(金沢支局 中谷庄吾)
「地域振興 アニメ生かす 南砺市、架空都市と提携 桜を再生」(2017/10/11 01:00 日経速報ニュースアーカイブ)
- 報道内容分析
- 「2017/10/11 日本経済新聞 地方経済面 北陸 8ページ」とほぼ同じ内容
富山県南砺市はアニメを絡めた地域活性化に取り組む。同市をモチーフにしたアニメ「サクラクエスト」内の架空都市と姉妹都市提携を締結。来春から市民やファンらと共同で市内の桜の再生を目指す。有識者を中心に幅広い人がアニメをきっかけにして、観光や地域振興を考える学会も発足。活動を広げていく。
サクラクエストは南砺市のアニメ制作会社ピーエーワークスの作品で、4月から9月末まで放映された。東京で就職活動に苦戦する短大生の木春由乃が、ひょんなことから過疎化が進む間野山市の観光大使に就任。廃校の利活用や街並み景観整備、祭りの復興、訪日外国人誘致など様々な課題に挑む様子を描いた。
「我々が抱える課題で間野山市が一生懸命頑張っている。ともに地域・観光振興に取り組みたい」。9日の調印式で南砺市の田中幹夫市長はこう語った。具体策の1つが、市やピーエーワークスらが来春に立ち上げる桜の再生プロジェクト「桜ヶ池クエスト」だ。
作中で登場する池のモデルとなった南砺市の桜ヶ池は35年前に市民が約1千本の桜を植えた花見の名所だが、「今は半数以上が枯れたり傷んだりして花が咲かない」(同市の担当者)。今後はファンや市民が協力して資金を集めたり、枯れ木の伐採や苗木の植樹をしたりし、アニメの主人公らが将来の目標とした「桜の王国」を実現する。調印式を見た千葉県の男性(27)も「桜の再生に協力したい」と話した。
さらに、北海道大学観光学高等研究センターの山村高淑教授は調印式に絡む講演で、「間野山研究学会」を来春発足させると公表。地方や肩書に関係なく、アニメをきっかけに地域・観光振興の課題や経験を議論できるネットワークにして、「日本各地の取り組みにつなげたい」と強調した。
南砺市はこれまでも、ピーエーワークスと連携してアニメを切り口にした取り組みを進めてきた。アニメの登場人物の住民票を購入できるようにしたほか、市内でのみ後編が見られる短編アニメのスマートフォンアプリも配信。若年層の誘客につなげている。
ただ、住民票の販売は累計1万2千枚強で、アプリのインストール数は1万3千弱。年間350万人前後の同市の入り込み客数を考慮すると、効果は限定的と言える。
今回の桜の再生や学会設立は、地域活性化への真正面からの挑戦だ。アニメファンの呼び込みだけでは成立せず、これまで以上に難しい取り組みとなる。田中市長は「アニメへの市民の期待は高まっている」とみるが、その期待を住民の具体的な行動に移せるか。そして、外からやってくるファンとも足並みをそろえた息の長い活動にできるかが問われる。
(金沢支局 中谷庄吾)
「富山・南砺市×アニメ「サクラクエスト」、「次元を超えた」街づくり、作中の都市と姉妹提携、ファンと桜の名所再生。」(2017/10/23 日経MJ(流通新聞) 9頁)
【金沢】富山県南西部の南砺市は同市をモチーフにしたアニメ「サクラクエスト」内の架空都市「間野山市」と姉妹都市提携を結び、アニメを絡めた地域活性化に取り組む。市民やファンと共同で、作品のテーマとなった桜の名所の再生を目指すほか、アニメを機に観光や地域振興を考える学会も発足させる。ファンを一時的に呼び込むだけでなく、住民を巻き込んだ持続的な取り組みにつなげる。
サクラクエストは南砺市のアニメ制作会社ピーエーワークスの作品で、4月から9月末までテレビで放映された。東京で就職活動に苦戦する短大生の木春由乃が、ひょんなことから過疎化が進む間野山市の観光大使に就任。女性5人で廃校の利活用や街並み景観整備、祭りの復興、訪日外国人誘致など様々な課題に挑む様子を描いた。
9日に提携調印式を開き、南砺市の田中幹夫市長は「我々が抱える課題で間野山市が一生懸命頑張っている。ともに地域・観光振興に取り組みたい」と語った。具体策の1つが、市やピーエーワークスらが来春始める桜の再生プロジェクト「桜ヶ池クエスト」だ。
作中の池のモデルとなった南砺市の桜ケ池は35年前に市民が約1000本の桜を植えた花見の名所だが、「半数以上が枯れたり傷んだりして花が咲かない」(市の担当者)。今後はファンや市民が協力して資金を集め、枯れ木の伐採や苗木の植樹をし、アニメの主人公らが目標とした「桜の王国」を実現する。
このほか「作中のお菓子を再現して販売する和菓子屋も出てきており、民間との連携を進めて積極的にPRしたい」と担当者は意気込む。
さらに、北海道大学観光学高等研究センターの山村高淑教授が調印式に絡む講演で、「間野山研究学会」を来春発足させると公表。地方や肩書に関係なく、アニメをきっかけに地域・観光振興の課題や経験を議論できるネットワークとし、「日本各地の取り組みにつなげたい」と強調する。
市とピーエーワークスはこれまでアニメの登場人物の住民票を購入できるようにしたほか、市内でのみ後編が見られる短編アニメのスマートフォンアプリも配信。若年層の誘客につなげてきた。ただ、住民票の販売は累計1万2千枚強、アプリのインストール数は1万3千弱。年350万人前後の入り込み客数と比べると効果は限られる。
南砺市は別のTVアニメ「true tears」で8月、KADOKAWAや日本航空などがつくるアニメツーリズム協会から「訪れてみたい日本のアニメの聖地88」の1つに選ばれた。こうした追い風も生かし、アニメを通じた地域活性化へ正面から取り組む。
「(回顧2017)サブカル・私の3点 虚構の中のリアルを楽しむ 」 (2017/12/16 朝日新聞・夕刊・文化芸能・004頁)
今年も多彩な作品が話題となったアニメ、ゲーム、マンガ、ライトノベル。各分野の専門家が1年を振り返り、「私の3点」を選んだ。
■<アニメ>ローカルに若者描く アニメ評論家・藤津亮太
〔……〕(3)TV「サクラクエスト」(ブルーレイ・DVD発売中)
ローカルを舞台に若い世代の思いを描いた作品が印象に残った。〔……〕(3)は過疎の自治体・間野山市を舞台に「町おこし」を正面から描いた。問題はリアルに解決は理想的に描くバランス感覚が魅力的。増井壮一監督。
「南砺市まちおこし企画展/富山/アニメの架空都市モデル=富山」(2018/01/18 読売新聞・東京朝刊・富山2・26頁)
アニメ「サクラクエスト」に登場する架空都市「間野山市」のモデルとなった南砺市のまちおこしの取り組みを紹介する企画展が、富山市舟橋南町の高志の国文学館で開かれている。2月5日まで。
アニメは南砺市のアニメ制作会社「P.A.WORKS(ピーエーワークス)」が手がけ、昨年4月から9月まで、県内では深夜帯にテレビで地上波放送された。南砺市はアニメでのまちおこしを目指し、「間野山市」と姉妹都市の調印を行った。
館内の特設コーナーには、南砺市と架空都市の風景を比較した写真パネルや、アニメにも登場した伝統的工芸品「井波彫刻」の木彫り靴などが展示されている。
入場無料。火曜休館。問い合わせは同館(076・431・5492)へ。
「[ワイドリポート]アニメ「聖地」/観光資源にファン「巡礼」/北陸で本格化」(2018/09/30 読売新聞・東京朝刊・富山2・24頁)
- 報道内容分析
◆自治体が全面協力
アニメの舞台をファンが訪れる「聖地巡礼」を観光に生かす「アニメツーリズム」が北陸3県で本格化している。ファンが訪れた舞台で登場人物の思いを追体験する従来の形に加え、自治体が全面的に協力し、地域の活性化につなげる動きも始まった。今後も北陸を舞台とするアニメが放送される予定で、関係者は新たな魅力の創出に期待している。(向山拓)
■祭りを再現
「アニメと同じ風景だね」。大阪から訪れた若いカップルが、高台にある神社の鳥居を見上げながら、興奮気味に声を上げていた。アニメの設定や舞台を基に、謎を解きながら散策する金沢市の湯涌温泉の企画「リアル宝探し」だ。
湯涌温泉は2011年放送のアニメ「花咲くいろは」に登場する「湯乃鷺(ゆのさぎ)温泉」のモデルになった。放送から7年が経過した現在も人気は根強く、同温泉観光協会は今年9月、一度完売した宝探しの企画を再開した。
アニメの祭りを現実に再現した「湯涌ぼんぼり祭り」も人気で、毎年1万人を超えるファンが集まる。10月に開催する今年の祭りは、開湯1300年の節目と重なり、アニメの主題歌を歌うグループを招いてライブを行う予定だ。
出版社などでつくる「アニメツーリズム協会」が昨年発表した「アニメ聖地88」には、石川県で1か所、富山県で3か所が選ばれた。福井県では、あわら市がアニメや実写映画で人気となった「ちはやふる」の舞台の一つで、題材の競技かるたの大会を開くなど観光資源化に努めている。
■姉妹都市にも
中でもアニメを生かした地域振興に熱心なのは、南砺市だ。17年10月には、同年放送のアニメ「サクラクエスト」で登場する同市をモデルとした架空の都市「間野山市」と姉妹都市提携を締結した。
サクラクエストは、女子短大生の主人公が市の観光大使となり、公共交通機関の存続や廃校の活用などの問題に取り組む姿を描く。全国初となるアニメの架空都市との姉妹都市提携は、現実とアニメの双方で地域に根付くファンを増やし、地域振興につなげる新しい試みとなっている。
第1弾として、市などは今年5月、南砺市の桜ヶ池の桜を再生するプロジェクトを始動。同所は約1000本の桜が並ぶ花見の名所だったが、近年は手入れがされず、半数は枯れたり、傷んだりして花を咲かせない状態だった。ファンの協力を得ながら植樹やこけ取りなどの手入れを進め、アニメの主人公らが目標とした「桜の王国」を実現させ、観光地に育てたい考えだ。
■広がる聖地
アニメが観光資源として注目されるのは、聖地となれる舞台の幅広さもある。
19年冬には、自衛隊小松基地(石川県小松市)を主な舞台に、「F—15J」などの戦闘機と少女を組み合わせたアニメ「ガーリー・エアフォース」の放送が始まる。9月に同基地の航空祭で催されたイベントでは格納庫を埋め尽くすほどのファンが集まり、同基地の担当者は「作品をきっかけに自衛隊に興味を持つ人が増えるかもしれない」と期待した。
◆物語性味わえる環境を
◇北海道大学観光学高等研究センター 山村高淑教授(47)
地域振興というと、経済的な豊かさの向上をイメージしがちだが、住民たちがそれぞれの地域の特性や魅力に磨きをかけていく過程と、それを応援するファンの数を増やすことこそ大切だ。その点で、アニメは年齢や職業、国籍など立場が異なる人たちをつなぐ共通の言語として非常に重要なメディアとなる。
北陸地方は漆器などの伝統工芸のほか、山や海などの自然や食と、恵まれた資源を持つ。地理的にも、首都圏や中京圏、関西圏の全てに接続しやすいという強みもある。だが、その魅力は十分に浸透しているとは言い難い。
インターネットの発達で人々の好みが細分化されている中で、マニアックな魅力を押し出せるアニメは、地域を知ってもらうための一つのきっかけになる。ただ、単にアニメを放送するだけでは、振興にはつながらない。
住民や行政が地域の魅力を見つめ直し、地域特有の物語性を味わえる環境を整える。そして訪れた人たちがファンとなり、住民と協力していく。こうした循環を生む工夫や仕掛けを考え、実行していくことが大切だ。
◇やまむら・たかよし 1971年、静岡県可美村(現・浜松市)生まれ。アニメ「サクラクエスト」をきっかけに今年4月、アニメと地域振興を考えるネットワーク「間野山研究学会」を設立し、会長を務める。著書に「アニメ・マンガで地域振興」(東京法令出版)。<<