富山県に行くというので同行した。
ピーエーワークスというアニメ会社とその作品群のコンテンツツーリズムである。
「地域振興を餌に地方自治体にコンテンツを売りつけるチンピラ」と揶揄されて悲しくなったりする。
1日目
桜ヶ池(サクラクエスト)→旧大鋸屋小学校(御真影と教育勅語)→善徳寺周辺(true tears)→五箇山(世界遺産)→金沢大学(エンジェルビーツ)→湯桶温泉(花咲くいろは)
旧大鋸屋小学校 奉安殿
「奉安殿」という歴史的コンテンツ。奉安殿とは
天皇の
御真影と
教育勅語が安置されている施設。小学校が廃屋になった後、山田製作所に払下げられ電子工場に使われていた。しかし山田製作所が別に工場を作ったので返却され、その取壊しの可否が論ぜられていた。そこへ地元有力者の方が、奉安殿を発見し復元することになった。
御真影と
教育勅語は欠けていたが、
宮内庁に掛け合うと広報室が
昭和3年撮影の
昭和天皇の写真をくれるとのことで取りに行った(写真はデータ配布だった)。
教育勅語は当初コピーを使っていたが、市長が御名御璽の入った
教育勅語を発掘してきてくれて現在のようになった。旧大鋸屋小学校にはその他忠魂碑があるが、これは自然石が積み重なっているだけのものである。
マッカーサーが来るので、当初は「忠魂」を「
南無阿弥陀仏」に変えたが、その後、元に戻した。
城端地区 善徳寺周辺
『
true tears』というアニメ的コンテンツの見学。その中心地である善徳寺へ行く。この寺は
真宗大谷派の寺院。
城端地区はこの
寺内町によって形成された宗教都市である。
城端は絹織物で栄えた。
城端の
寺内町らしさは伝統的な景観の街並みもさることながら、
山田川と池川で囲まれており、結界が張られているような特異な風情がある。曳山会館には未だに『
true tears』のポスターが貼ってある「りふれ~くてぃあ~」というOPが響いてきそうな感じ。そして
城端地区はかつて盛んだった絹織物産業を途絶えさせない様に色々な産品の工夫をしているという話を聞き、工場を見に行く。これが
五箇山エリアとつながり、
五箇山の蚕が
城端に卸され絹織物は加賀へ行くという流れを聞いて感心したものである。
世界遺産という歴史的コンテンツ。
五箇山における棚田=日本の原風景と言うことに対して批判的な説を聞く。
五箇山で棚田が出来たのは戦後の土地改良があったからであり、それまでは稲作ができる土地ではなかった。そのため、養蚕と硝煙作りを生業としていた。
五箇山は稲作こそできなかったが、硝煙は
加賀藩に密輸され、蚕は
城端に卸されたので、経済的に困窮しているわけではなかった。現在、
五箇山でかつてのように養蚕や硝煙づくりを行っているとは言えない。そのため、かつての
五箇山での伝統的な暮らしが保存し、継承されているとはいえないのだとか。
湯桶温泉
『
花咲くいろは』というアニメ的コンテンツの見学。
ぼんぼり祭りが行われるという池を見てきたが街並みはこじんまりとした感じであり、オーバーツーリズムの例としても話題になった。
ぼんぼり祭りとはコンテンツの中に登場した創作のお祭りであるのだが、アニメ放映を契機に実際に行われるようになったことでも有名である。時期外れに行ったので閑散としており公衆浴場も
ジモティーという感じであった。『
花咲くいろは』コンテンツとしては
自動販売機とキャラの立て看板が見られる。艦これの
痛車が止まっており
カップルが
聖地巡礼をしていたのも見かけた。あと例の車の後ろにディスプレイを設置し後続車に映像を見せつけるとかいう
痛車も初めて見た。
2日目
井波地区・散居村展望台・隠尾集落(砺波市指定史跡・隠尾城跡)・小牧ダム・散居村ミュージアム
地域振興系の一般社団法人の話を伺う
T県N市はコンテンツの中の架空都市と姉妹都市提携を結び地域振興を目指している(た)。
差しさわりのないようなことをメモとして残しておく。
- 収益と立地的特性と特定のコンテンツ
- 行政の予算というものはいつまで続くか分からない非常に不安定なものである。そのため独自の採算で収益を上げる必要がある。多様なコンテンツとコラボする案がでたが、そうすると地域的特性が薄れる。即ち、どこでもできるものとなってしまい地域とは無縁なものとなってしまう。それゆえ、地元発のアニメ会社のコンテンツに拘る必要がある。地元のアニメ会社のコンテンツしか扱わないことで意義が生まれる。また独自の財源を開発して育成することを目指して事業を展開している。
- 高速道路
- 直近のSAでは徒歩で出られるようになっているがスマートインターではないため車は出られない。そのSAにはコンビニしかないため、食事などをするために一社が経営するカフェへ客が入るようになった。コンテンツに興味の無い層の人々がカフェを利用するようになっておりカフェの経営がようやく軌道に乗り始めている。移動の主体は鉄道やバスではなく個人による乗用車となっているので、スマートインターが出来る利点はかなり大きい。またSAが周辺にはなく孤立しているので、休憩所として利用者も多いとのこと。
- 大学との連携
- 大学と何かをやっているということがマスコミのニュースとなる。特に私立大学の場合「地域貢献」をお題目に入れることが多いため上手く取り込んでいける。富山は大学の数が少ないが教育熱心な県であるため、大学の多い金沢が富山の学生をターゲットに進学誘致を図っている。また親も保守的になり近隣の大学を望むようになっている。
井波地区・散居村展望台・隠尾集落(砺波市指定史跡・隠尾城跡)・小牧ダム・散居村ミュージアム
- 井波地区
- 散居村展望台
- 防風林に囲まれた屋敷が平野に点在する様子を山から眺める。
- 隠尾集落
- 途中で廃村に行きたいとの声があり、立ち寄る。後で調べたら、隠尾集落といい、朽ち果てた建築物を見る事ができる。平成7年頃までは人が住んでいたらしい。廃村になっても隠尾城跡は砺波市の指定史跡となっているため、来訪者は多いようだ。富山城郭カードの中にも、隠尾城は入っている。
- 小牧ダム
- 急遽駐車して眺めることになる。昭和5年建設当時は東洋一といわれたことで有名なのだとか。すごい高低差は圧巻で訪問した時にはラジアルゲートの一つが開かれ放水されていた。道路脇に駐車スペースがあり、周辺から徒歩で下に降りることが出来る。
- 散居村ミュージアム
- 巡検者一行はこの後散居村ミュージアムに行ったのだが、私は月曜日に普通に仕事があったので帰る旅程となっており、飛行機の時間を心配されて入館せずに富山空港に向かった。富山空港には1時間40分前に着いていた。
- 羽田空港で乗り継ぎミスって死ぬ
- このまま順調だと思っていたら、羽田空港でアクシデント。乗り継ぎミスって飛行機が行ってしまったのだった。羽田で宿泊して朝一の便で帰ってそのまま仕事行った。